英国の住宅街で悩まされがちなストリートパーキング(路上駐車)。Highway Codeの基本、CPZ(住民許可制)、迷惑駐車への対処、資産価値への影響まで、イギリス人の“常識”に沿って整理します。小さめのYouTube埋め込みで現地の雰囲気も確認できます。
なぜ路上駐車が問題になるのか
英国では、住宅街の多くが19~20世紀の設計で、現代の自動車保有台数や車体サイズに対応していません。 駐車スペース不足・大型SUVの増加・交通量の増加により、通行や安全を巡るトラブルが日常化しています。
道幅の狭い通りに車が連なれば、緊急車両の進入も難しくなり、歩行者や自転車の安全にも影響します。 こうした事情から、ストリートパーキングは「便利」だけでなく「管理が必要な公共資源」として扱われるようになっています。
Highway Code:基本ルール
駐車や待機のルールは、政府公式サイト Highway Code(238〜252) に明記されています。主なポイントは以下の通りです。
ダブルイエローライン(Double Yellow Line)
終日、駐車も停車も禁止です。時間指定の看板がなくても適用されます。 駐車違反は即座に罰金(PCN)対象となります。
シングルイエローライン(Single Yellow Line)
標識に示された時間帯のみ駐車が禁止されます。 時間帯は道路脇のサインプレートで確認が必要です。
ローディング禁止マーク(Kerb Markings)
縁石上に短い黄線が1本または2本描かれています。 1本線=時間制限付き禁止、2本線=終日禁止。 積み下ろしもできません。
学校前マーキング(School Keep Clear)
通学時間帯などに停車自体が禁止されます。 子どもの安全を守るための重要な表示です。
英国人ドライバーにとってこれらは常識であり、免許取得時の筆記試験でも必須知識です。 ただし地域差があるため、現地の標識と路面表示を確認することが大切です。
CPZ(Controlled Parking Zone)とは
CPZは「ゾーン単位で駐車ルールを一括管理する制度」です。ゾーンの入口にある標識に時間帯が示され、区域内ではその条件が適用されます。 住民には「Resident Permit(住民許可)」、来客には「Visitor Permit」が発行され、指定時間以外の駐車を制限します。
この制度により、外部車両の長時間駐車を防ぎ、地域住民が優先的に駐車できる環境を保っています。 ロンドンをはじめ、マンチェスター、ブリストルなど主要都市で広く導入されています。
住宅街で起きやすいトラブル
- 自宅前のドライブウェイを塞がれて出庫できない。
- 歩道上駐車でベビーカーや車椅子が通れない。
- 駐車違反による罰金(PCN)が頻発する。
- 大型車が通行を妨げ、騒音・排気ガスの苦情が増える。
警察の公式ガイダンス(Met Police:Parking advice)では、 危険・違法・迷惑な駐車が続く場合、通報や記録が推奨されています。
住環境と不動産価値への影響
路上駐車が多い通りでは、景観・安全・交通の利便性が損なわれ、物件の印象に大きく影響します。 「駐車が難しい地域=住みにくい街」と評価されることも少なくありません。 一方で「オフストリート(私有地内)駐車」が可能な住宅は人気が高く、資産価値の維持につながります。
取れる対策と実務ポイント
- 証拠を残す: 不正駐車や封鎖を見つけたら、日時と写真を記録。
- 地域のルールを確認: CPZやPermit制度の有無を自治体サイトで調べる。
- 近隣との協力: 来客や配送車の停車ルールを共有しておく。
- 物件選び: 購入・賃貸前に通りの駐車状況を現地確認する。
現地動画(小サイズ埋め込み)
実際の道路幅や駐車列の密度、標識の位置などを視覚的に理解できます。
まとめ
英国の路上駐車は、Highway Codeに基づいた明確なルールと、地域ごとのCPZ制度で管理されています。 標識を読み取り、写真で記録し、必要に応じて自治体と連携することで、多くのトラブルは防げます。 住宅選びや引越しの際には「駐車環境」も重要なチェックポイントとして考慮しましょう。










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