
イギリスの賃貸物件では、外観が整っていても、住み始めてから予期せぬトラブルが起きることがあります。ときには命に関わる事故、建物崩壊、被害拡大など「最悪のケース」まで起こりうるため、事前知識と対処法が肝要です。本記事では代表的なトラブルを示しつつ、実際のニュース事例を交えて解説します。
よくあるイギリス賃貸トラブル一覧
- ガス漏れ・爆発などの安全トラブル
- ボイラーや暖房の故障
- 上階からの水漏れや配管破裂
- ネズミ・虫などの害獣被害
- カビ・結露による健康被害
- 修繕対応の遅延・家主無対応
- 保証金(デポジット)返金トラブル
最悪のケース①:ガス漏れ・爆発事故
英国では、老朽化したガスボイラーや配管が原因で爆発や一酸化炭素中毒が発生することがあります。実際に2025年、スウォンジーでガス漏れによる爆発事故が発生し、住宅が全壊し1名が死亡しました。
ガス漏れの兆候(異臭・音・炎の色の変化など)を感じた場合は、すぐにガスの元栓を閉めて外に避難し、「0800 111 999(National Grid)」へ通報してください。
関連ニュース動画:
出典:BBC News(Nottinghamshire explosion footage)
- 入居前に Gas Safety Certificate(ガス安全証明書) を確認
- ガス臭・異音・異常感知時は速やかに避難し、通報
- 家主には年1回のガス点検義務があり、未実施は法令違反
ガス設備が古い物件では特に警戒が必要。警報器を常備し、定期点検記録を必ず確認しましょう。
最悪のケース②:ボイラー・暖房停止による寒冷被害
冬季にボイラーが故障し、暖房が使えなくなるケースは珍しくありません。修理が遅れると体調不良や凍結事故につながる恐れもあります。家主には「適切な居住環境を維持する法的義務」があるため、放置された場合は正式な苦情申し立てが可能です。
参考動画:
出典:TDS(Tenancy Deposit Scheme)公式チャンネル
- 故障発覚後24時間以内に家主・エージェントへ書面で報告
- 修理が長引く場合は代替ヒーターを要請
- 対応がない場合は地方自治体(Council)へ通報可能
冬場はボイラー保険や緊急修理オプション付き契約を検討すると安心です。
最悪のケース③:水漏れ・天井崩落・配管破裂
上階からの水漏れや経年劣化した配管の破裂により、天井や壁が崩れる被害が報告されています。放置するとカビ発生や漏電にもつながります。
- 漏水を発見したら写真・動画で記録し、家主へ即時通知
- 修繕費や宿泊費を保険でカバーできるか確認
- 対応が遅い場合は自治体または保険会社に相談
最悪のケース④:ネズミ・害虫被害
ロンドンやマンチェスターなどの築古賃貸では、ネズミ・ゴキブリ・クモなどの害獣被害が頻発します。構造的な欠陥や配管の隙間が原因で侵入することが多く、健康被害を及ぼす場合もあります。
- 発見時は即写真を撮り、エージェントとCouncilへ報告
- 家主責任での駆除が基本(構造不良が原因の場合)
- 市の Pest Control サービスも利用可能
最悪のケース⑤:デポジット返金トラブル
退去時に「清掃費」「修繕費」を理由にデポジットを返してもらえないケースが多発しています。英国ではデポジット保護スキーム(TDSなど)に登録が義務付けられています。
- 入居時にInventory(状態記録)を残す
- 返金遅延や不当請求時はTDS・ADRに異議申し立て
- スキーム未登録なら罰金請求可能
安全チェックリスト・予防策
- Gas Safety・EPC・Electrical Certificateの確認
- 火災・一酸化炭素警報器の作動チェック
- 修繕責任範囲を契約書で明確化
- 緊急連絡先を常備
- 異常時は記録・書面通知を徹底
よくある質問(FAQ)
家主が修理してくれない場合?
書面で通知後、改善がなければCouncilの「Environmental Health」に通報可能です。
ガス爆発が起きたら?
即避難し、「0800 111 999」または緊急サービスに通報。安全確保を最優先に。
ネズミ被害は誰の責任?
構造的欠陥は家主、生活環境によるものはテナント責任と判断される場合があります。
デポジット返金を拒否された場合?
TDSまたはADRへ異議申立て可能。未登録家主は法的ペナルティ対象。
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