イギリスにも事故物件はある?事件・死亡・スティグマ物件の実態と法律対応

イギリスの事故物件をテーマにしたイラスト。ロンドンの住宅シルエットに「イギリスにも事故物件はある?」というタイトルが描かれている。

公開:2025年10月10日 | 最終更新:2025年10月10日 | 英国生活編集部

「事故物件」という言葉は日本ではよく使われますが、イギリスではどうでしょうか? 実は英国にも「スティグマ物件(stigmatized property)」という概念が存在し、 過去に死亡・事件・事故があった物件が心理的に敬遠されることがあります。 本記事では、イギリスで事故・事件物件が存在するのか、法律上どのように扱われるのか、 そして物件価値や取引への影響について詳しく解説します。

事故物件/スティグマ物件とは何か?

不動産業界で「スティグマ物件」と呼ばれるものは、物理的な欠陥がないにもかかわらず、 過去の事件・死亡・事故などが理由で心理的なマイナスイメージを持たれる物件です。 英国でもこの概念は認識されており、不動産業界で話題にされることがあります。 Avery Associatesの記事を見る

英国で報告されている事例とデータ

英国には「 Housecreep」というサイトがあり、ユーザーが「過去に事件や死亡があった物件」を登録・共有しています。 これらはいわゆる“スティグマ物件”をまとめたデータベースですが、あくまでユーザー投稿によるもので、 公的な事故物件リストではありません。

また、英国の掲示板 Reddit / AskUKスレッド では、「英国では事件・死亡があった物件を人々は気にするか?」という議論があり、 「価格が下がることもあるが、日本ほど強いスティグマはない」という意見が多く見られます。

法律・告知義務:英国における扱い

英国では、日本のように「事故物件だから告知義務がある」という明確な法律は存在しません。 しかし、不動産売買や賃貸契約の際に、 misrepresentation(虚偽表示)non-disclosure(情報の不開示) があった場合、 契約無効や損害賠償の対象となる可能性があります。

実際に英国の法律事務所 Stephensons Solicitors LLP は、過去に「物件の欠陥・虚偽説明・過去の出来事を隠した売主」に対する訴訟を扱った事例を紹介しています。

心理的瑕疵・物件価値への影響

過去に死亡・事件があった住宅は、実質的な損傷がなくても心理的抵抗をもたらすため、 価格や需要に影響を与える場合があります。特に住宅購入層の中には、 「過去に事件のあった家は避けたい」と考える人も多く、地域によっては 値下げや売却期間の長期化を招くケースもあります。

一方で、ロンドンやマンチェスターなどの大都市では「立地>背景」と捉える傾向が強く、 価格への影響は限定的とされる見方もあります。

日本人が英国で物件探しをする際の注意点

  • 過去の所有者や入居者の死亡・事件履歴を確認する
  • 不動産会社に「過去に重大事故・事件があったか」を質問する
  • 地元ニュース・フォーラム・アーカイブを調べる
  • 契約書に「既知の事実を開示する」条項を入れてもらう

よくある質問(FAQ)

イギリスでは事故物件が公的に登録されていますか?

いいえ。日本のような「事故物件公開サイト」や「告知義務制度」は存在しません。 ただし、過去の出来事を意図的に隠した場合は、misrepresentationとして訴訟対象になる可能性があります。

過去に死者が出た家は買っても問題ありませんか?

法律的には問題ないことが多いですが、心理的要因によって価格が下がることもあります。 納得のいく情報開示がない場合は、契約前に専門家へ相談するのが安全です。

不動産会社はこうした情報を開示する義務がありますか?

明文化された義務はありませんが、直接質問された場合は誠実に答える必要があります。 虚偽回答は契約無効や損害賠償の原因となる可能性があります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。 実際の契約や法的対応については、英国の不動産専門弁護士にご相談ください。

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