イギリス人はとにかく働くのが大嫌いなのか、それとも給料が悪すぎるのか。
まずは、現在のイギリスの労働状況をおさらいしていきましょう。
イギリスの労働人口の目安(2025年時点)
就業者数(働いている人)
約 34.2 million(約3,420万人) が就業している状態です。
労働力人口(就業者+失業者)
「労働力人口(Economically Active)」は、約 36.0 million(約3,600万人) と推計されています。
失業者数
約 1.8 million(約180万人) が失業者としてカウントされています(労働力人口に含まれます)。
全体としては、以上のような状況です。
労働人口と生活支援給付受給者の比率
では、労働人口と給付受給者の比率はどうなっているのでしょうか。
生活支援給付(Universal Credit など)を受給している人は、約 750〜800万人 と言われています。
これを労働人口と比較すると、
- 労働人口:約 3,400〜3,600万人
- 生活支援給付受給者:約 800万人
となり、労働人口の約20〜25% が何らかの給付を受けている計算になります。
※なお、労働人口には失業者も含まれます。
なぜ「働いているのに」給付を受けられるのか
失業者が給付を受けているのは理解できますが、なぜ働いている人まで生活支援給付を受けられるのでしょうか。
理由は非常に単純で、給料が少なすぎるからです。
「20〜25%もの人が生活支援給付を受けている」と聞くと多いように感じますが、比率だけで言えば日本もそれほど大きな違いはありません。
実際に働いている人の受給率は?
では、現在働いている人に限定した場合、受給率はどのくらいなのでしょうか。
実は、約40% にも上ります。
生活支援給付の基本額(目安)
単身・カップル世帯
| 世帯・状況 | 月額 |
|---|---|
| 単身・25歳未満 | £316.98 |
| 単身・25歳以上 | £400.14 |
| カップル・両方25歳未満 | £497.55 |
| カップル・一方または両方25歳以上 | £628.10 |
子どもがいる場合
| 子どもの状況 | 月額 |
|---|---|
| 第1子(2017年4月6日以前に出生) | £339 |
| 第1子(2017年4月6日以降)/第2子以降 | £292.81 |
| 障害のある子ども(低レート) | £158.76 |
| 障害のある子ども(高レート) | £495.87 |
「それほど多くない」と感じるかもしれませんが、これはあくまで支援金の一部であり、住宅手当などは別途支給されます。
実例①:20代前半の男性の場合
最近、生活支援金を受給している20代前半のイギリス人男性と話す機会がありました。
彼は料理を作って販売する、いわゆるケータリングサービスを個人で行っていますが、それだけでは生活できず、支援金を受給しているとのことでした。
内訳は以下の通りです。
- 住宅手当:約 £1,700
- 生活支援給付:約 £800〜900
つまり、ロンドン市内で収入がほぼなくても普通に生活できる給付額です。
実例②:40代シングルマザーの場合
一方で、40代のシングルマザーとも話をしました。
彼女はロンドン消防署で働いており、
- 年収:約 £45,000
- 月の手取り:約 £3,700
しかし、家賃に £2,000 が消えるため、実際に使えるお金は £1,700 程度です。
彼女も生活支援給付を受給しており、金額は 月約£440。
「生活に困らない程度」と言えるレベルです。
イギリス社会が抱える根本的な問題
イギリスは、人の価値を良い意味でも悪い意味でも平等に見すぎていることが問題だと考えます。
- 20代前半でまともに働きもしない若者が、たまたま障がい者認定を受け、
遊びのようなビジネスで小銭を稼ぎ、主な収入は国からの生活支援金。 - 一方で、40代のシングルマザーは消防署で毎日汗水たらして働き、
一人娘を育てながら、かつかつの生活を強いられている。
この状況は明らかに歪んでいます。
見直されるべき生活支援金制度
イギリスは、この生活支援金制度を一から見直すべきです。
最近では、障がい者認定を申請する若者が後を絶たず、
16歳〜64歳の労働人口の4人に1人が障がい者認定を受けているという、驚愕のデータも発表されました。
結論
ここまでの内容を見て、
イギリス人が働き者なのか、それともそうではないのか――
答えは、もはや明確ではないでしょうか。










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