
イギリスのノーベル賞受賞者:世界トップクラスの厚み
イギリスは、米国に次ぐ世界有数のノーベル賞受賞国として知られ、 物理学・化学・生理学/医学・文学・平和・経済学のあらゆる分野で受賞者を輩出してきました。 ここでは代表的な受賞者と分野別の強み、そしてなぜ英国から多くの受賞者が生まれるのかを、分かりやすく整理します。
物理学:ブラックホール理論から素粒子まで
- ロジャー・ペンローズ(2020):一般相対性理論からブラックホール形成が必然であることを証明。
- ピーター・ヒッグス(2013):ヒッグス機構の理論的提案(ヒッグス粒子の発見の理論的基盤)。
- ブラーグ親子(1915):X線回折で結晶構造を解明、構造科学の扉を開いた。
- ディラック(1933):量子力学の基礎を確立、反物質の存在を予言。
化学:受容体・材料・触媒まで幅広く
- デービッド・マクミラン(2021):有機分子触媒の開発(不斉合成を革新)。
- グレッグ・ウィンター(2018):ファージディスプレイ法による抗体医薬の創出。
- ハロルド・クロトー(1996):フラーレン(C60)の発見。
- ジョン・ウォーカー(1997):ATP合成酵素の仕組み解明。
生理学・医学:ゲノム・細胞周期・低酸素応答
- ピーター・ラトクリフ(2019):低酸素応答の分子メカニズム解明(HIF)。
- ジョン・ガードン(2012):体細胞の初期化(iPS細胞の理論的基礎)。
- ポール・ナース/ティム・ハント(2001):細胞周期の制御機構。
- フレデリック・サンガー(1958/1980):タンパク質・DNA配列決定法(史上2度の化学賞受賞者としても英国ゆかり)。
文学:イシグロ、ピンター、ゴールディング
- カズオ・イシグロ(2017):日の名残りなど、記憶・喪失・アイデンティティを静謐に描く英国作家。
- ハロルド・ピンター(2005):ピンター・ポーズで知られる劇作家。
- ウィリアム・ゴールディング(1983):蠅の王で人間社会の本質を問う。
- ウィンストン・チャーチル(1953):歴史家・弁論家として文学賞を受賞。
平和賞:チャーチル、北アイルランド和平など
- デーヴィッド・トリンブル(1998):ベルファスト合意(北アイルランド和平)への貢献。
- ジョゼフ・ロトブラット(1995):科学者の倫理を掲げたパグウォッシュ運動を主導。
経済学:計量経済・契約理論・産業組織
- アンガス・ディートン(2015):消費・貧困・厚生の計量分析。
- オリヴァー・ハート(2016):不完備契約理論。
- クリストファー・ピサリデス(2010):労働市場の探索理論(失業のメカニズム)。
- クライヴ・グレンジャー(2003):共分散・因果性検定(グレンジャー因果)。
なぜ英国から受賞者が多いのか(要因のまとめ)
- 研究基盤:オックスフォード、ケンブリッジ、インペリアル、UCL、MRCやクイーンズ・メディカル、フランシス・クリック研究所などの層の厚いエコシステム。
- 長期的資金と自由度:ロイヤル・ソサエティ等による学術支援、長期テーマを許容する文化。
- 国際性:英国籍に限らず、英国の大学・研究所での業績が評価されるケースが多い(出生地と所属は区別される)。
- 翻訳・出版・舞台文化:文学・演劇の蓄積が文学賞での存在感につながる。
よくある質問(FAQ)
Q. 「英国のノーベル賞受賞者」は国籍で数えるの?それとも所属?
ノーベル賞公式は授賞時の所属機関と出生地/国籍の両方を示します。各国の「受賞者数」は、出生・国籍・所属のどれで数えるかにより異なるため、統計の前提を確認しましょう。
Q. 直近の英国ゆかりの代表例は?
たとえばロジャー・ペンローズ(物理 2020)、デービッド・マクミラン(化学 2021)、アブドゥルラザク・グルナ(文学 2021・タンザニア生まれ英国在住)などが挙げられます。
Q. イギリスは世界で何位くらい?
統計の数え方により増減はありますが、総受賞数で世界2位級と広く紹介されます(米国が最多)。
参考リンク(一次情報)
※ 年度ごとの最新受賞者はノーベル賞公式サイトでご確認ください。統計はカウント方法(出生/国籍/所属)により差異があります。
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