万引きが「日常」になりつつある現実
イギリスでは万引きがとにかく流行っており──いや、実際には“食料を買うお金がない”人たちが増えすぎて、万引きをしなければ生きていけない層が存在するのが現状です。
公式データによれば、万引きは1日に約1,400件。非公式、つまり店側が通報すらしていない“隠れ万引き”は約55,000件とも言われています。
被害はスーパーだけではありません。薬局、化粧品店、ガソリンスタンド、街角の小さなコンビニ、酒屋など、ありとあらゆる場所で万引きが日常化しています。
彼らはスリルを求めているわけではなく、ただ必要だけれど金がない。仕事もない。だからやむなくやっているのです。
店側が「見て見ぬふり」をやめた理由
数年前まで、万引きに対して店側はそこまで神経質ではありませんでした。しかし今では事情が違います。
被害額があまりにも膨れ上がり、国民の消費意欲が下がり続けているため、スーパーはついに本格的な対策を取り始めました。
・高級食材に万引き防止タグを装着
・お酒の棚をガラスのショーケース化し、常時施錠
・スタッフによる巡回の強化
こうした光景を目にするたびに、私は肌で感じます。
「本当に景気が悪くなってきた」と。
インフレがすべてを狂わせている
万引きが増え始めた最大の理由──それは止まる気配のないインフレです。
イギリスでは毎月のように少量品が値上げされており、以前の感覚で買い物をすると、レジで告げられた金額に思わず二度聞きしてしまうほど、ありとあらゆるものが高くなっています。
そして厄介なのは、このインフレに収束の兆しがまったくないこと。
急激なインフレのせいで、あらゆる市場データが崩壊し始めているのです。
見えていないだけで、すでに始まっている不動産クラッシュ
「イギリスの不動産市場はクラッシュする」と数年前から言われていました。しかし最近になって、実はもうすでにクラッシュは始まっているという声も出てきました。
表面上は値下がりが見えにくいのですが、その原因は2つ。
- インフレのペースが速すぎて、実質的な値下がりに気づいていない人が多い
- 素人の集まりのようなイギリスの不動産会社が、インフレに便乗し、売れない不動産に荒唐無稽な価格をつけて市場に出している
つまり、すでに実質的な価値は落ちているのに、それを理解していない人が多いということです。
これから訪れる「底なしの未来」
実際に目に見えて価格が下がるのは恐らくもう少し先になるでしょう。
しかし、一度下がり始めれば、底なしの状態になるのではないか──そんな恐ろしい未来が、今まさに現実味を帯びつつあります。
私がイギリスのスーパーで見た光景は、その崩壊が静かに、しかし確実に進行しているサインなのかもしれません。










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