イギリスの歯科医療はどんな感じ? 「イギリス人は歯並びが悪い」という都市伝説のような話を聞いたことがあるかもしれません。でも、実際のところ、イギリスの歯医者事情はどうなっているのでしょうか?イギリス在住の人々の体験談を交えながら、イギリスの歯科医療システムを徹底解説していきます。 イギリスでは定期検診が当たり前!? 日本では「歯が痛くなったら歯医者へ行く」という考えの人が多いですが、イギリスでは違います。イギリスの国民健康保険制度(NHS)は、定期検診を推奨しており、多くの人が半年に一度のチェックアップを受ける習慣があります。 ただし、「義務」というわけではなく、受診しないからといって罰則があるわけではありません。しかし、定期検診を怠ると、次回の予約が取りにくくなるなどの不便が生じることもあるため、多くの人が定期的に受診しています。 NHSの歯医者は無料ではない! NHSと聞くと、医療費が無料だと思いがちですが、歯科治療は例外です。イギリスのNHSの歯科治療は段階的に費用が設定されており、基本的な検診は約40ポンド(約7,000円)かかります。治療が必要になると、料金はさらに上がり、例えば詰め物をする場合は70ポンド(約12,000円)、クラウンやブリッジなどの治療になると300ポンド(約50,000円)以上になることも。 日本のように健康保険が適用される歯科診療とは異なり、NHSの料金体系は一定額が設定されているため、「思ったより高い」と感じる人もいるかもしれません。ただし、民間の歯科医(プライベートクリニック)と比べると、NHSの方が圧倒的に安価です。 NHSの歯医者は予約が取れない!? イギリスで歯医者を探すのに最も苦労するのが「予約の取りづらさ」です。特にNHSの歯医者は人気が高く、新規の患者を受け付けていないクリニックも多いのが現状です。 NHSの歯科診療を受けるためには、まず登録する必要がありますが、「どのクリニックも満員で登録できない!」というケースも少なくありません。運よく登録できても、次の予約が半年以上先ということも。 一方で、プライベートの歯科医院は予約が取りやすいですが、費用が高額になるため、経済的な負担が大きくなります。 NHSの歯医者は自分で選べない!? 日本では「この先生が良さそう!」と自分で歯科医院を選ぶことができますが、イギリスではNHSの歯医者を利用する場合、基本的にクリニックの指定された歯科医に診てもらうことになります。 「この先生が下手だったらどうするの?」という疑問もあるかもしれませんが、基本的に歯科医を変えることは容易ではありません。そのため、質の良い歯科医に当たるかどうかは「運次第」という面があります。 イギリスの歯医者にはインド人が多い!? イギリスの歯科業界で興味深いのは、「歯科医の多くがインド系」という点です。イギリスでは医療系の職業にインド系の人々が多く従事しており、特に歯科医療の分野ではその割合が高いといわれています。 インドでは歯科医療の教育水準が高く、多くの歯科医がイギリスに移住しているため、NHSの歯科医もインド出身者が多いのです。 「英語のアクセントが強くて聞き取りにくい」という問題もありますが、技術レベルは高いと評判です。「むしろ、インド人歯科医のほうが丁寧で信頼できる」という意見もあります。 イギリスの歯科医療の良いところ&悪いところ ✅ 良いところ ❌ 悪いところ まとめ:イギリスの歯医者はアリ?ナシ? 結論として、イギリスの歯科医療は「悪くないけど、いろいろと制約がある」という感じです。 定期検診の文化が根付いているのは素晴らしい点ですが、NHSの予約が取りにくいのはかなりのストレスポイント。また、担当の歯科医を選べないのも不安要素です。 イギリスに住む予定のある方は、できるだけ早めに歯医者を探し、NHSの登録を済ませておくことをおすすめします。また、定期検診を受ける習慣を身につけることで、歯の健康を長く維持できるかもしれません。 「いい歯医者に当たる運」も大切ですが、それ以上に「定期検診を欠かさないこと」が、イギリスで健康な歯を保つ秘訣と言えるでしょう!
Category:医療
【イギリスの医療制度】健康診断ってどうなってるの?NHSは無料だけど…?
イギリスに住んでいると、「NHSって医療費が無料らしいけど、健康診断ってどうなの?」と疑問に思うこと、ありますよね。日本では会社の健康診断が当たり前ですが、イギリスではちょっと事情が違います。今回は、イギリスの医療制度と健康診断の関係について、わかりやすく解説していきます! NHSの基本ルール:診療は無料だけど… まず、イギリスの医療制度 NHS(National Health Service) では、基本的な診療や治療が無料です。具体的には、以下のようなものが無料で受けられます。 ✅ GP(かかりつけ医)の受診(診察・相談)✅ 入院治療(手術などを含む)✅ 救急医療(ERや救急車利用)✅ 慢性疾患の管理(糖尿病・高血圧など) つまり、病気になったときの治療は、基本的に無料! これはNHSの大きなメリットですね。 健康診断(Checkup)は有料?無料? では、健康診断はどうなのか? 実は、 基本的に有料 なんです。 日本では会社の健康診断が義務付けられていますが、イギリスでは「定期健康診断を受ける習慣」があまりありません。イギリスの医療制度では、 「症状がない人が定期的に健康診断を受ける」という概念がない んです。 そのため、以下のような違いがあります。 診察の目的 NHS(無料) プライベート(有料) 風邪・頭痛などの診察 ✅ 無料 ❌ 必要なし 血圧や血糖値の異常が疑われる場合 ✅ 無料 ❌ 必要なし 病気のスクリーニング検査 ✅ 条件付きで無料 ✅ 有料でより詳細な検査 定期的な健康診断(症状なし) ❌ 原則有料 ✅ 有料 つまり、 「何か問題があるかも?」というときの検査は無料だけど、特に問題がない人の健康診断は基本的に有料 ということになります。 NHSで無料で受けられる健康診断 とはいえ、NHSでも一部の健康診断は無料で提供されています。 🔹 NHS Health Check(40歳以上対象)40歳以上の人向けに、心臓病・糖尿病・腎臓病のリスクをチェックする無料の健康診断があります。これは …
Continue reading 【イギリスの医療制度】健康診断ってどうなってるの?NHSは無料だけど…?
いまだに収まらないコロナウィルスの感染ですが英国ほぼスルー
これから北半球の国は冬になります。冬といえば、風邪、インフルエンザの蔓延は避けて通れない季節です。温暖化が進んでいるとはいえ、それでも気温はグンと低くなるのがロンドンの冬です。ちなみにロンドンの冬場の平均気温ですが、11月は最低気温7度/最高気温12度、12月は5度/9度、1月は4度/9度、2月は5度/9度となっています。意外に暖かいのではと思われた方も多いのではないでしょうか。ロンドンは緯度で言うと北緯51度で、日本でいうと北海道より高い位置になりますが、気流の関係で北海道みたいに大雪が降ったりしないようです。雪が見られるのは1年のうち1回か2回ぐらいです。 ロンドン冬場でのコロナ感染者数の傾向 ロンドンでクリスマスを過ごしたいと思っている人もいるかと思いますが、ロンドンでも寒くなる冬場にコロナウィルスの感染者は爆発的に増加するのでしょうか。昨年の感染状況を見てみますと、11月初旬から徐々に増え始め、12上旬に急激に増加し1月初旬にピークを迎え、それから徐々に減少しました。ロンドンでも冬場は感染者が急増する傾向にあるのです。 英国政府のコロナ対策 感染傾向がはっきりわかっていても、英国政府はまったく対策はとりません。病床がひっ迫したり、死者数が増加したりしてくれば何かしらの対策を打ってくるのでしょうが、英国人はコロナに感染することに慣れてしまった感じです。 現在の感染状況は? 新規感染者数:1日約3400人死者数:1日約90人新規入院患者:1日約530人といった感じです。日本に比べてかなり少ないです。ただ、検査するひとの数が少ないのは事実としてあります。もともと、無料でもらえた検査キットが今は1セット1ポンド89ペンス(約310円)で販売されています。高いわけではありませんが、検査したところで自主隔離が必要なわけでもありませんし、普通にみなさん仕事に行っています。コロナよりも食費、光熱費、燃料費が上がり続けているためコロナに感染したぐらいでは、仕事を休んでいる場合じゃないというのが英国人の本音でしょう。 英国ではコロナはインフルエンザと同じ扱い 英国政府がコロナ対策をやめた2021年の9月以降は、事実上、コロナはインフルエンザと同じ扱いになりました。では、どういった根拠のもとコロナとインフルエンザを同等のものに分類したのでしょうか。コロナパンデミックが起こる前の2018年、2019年のインフルエンザによる死者数を見てみましょう。2018年にインフルエンザまたはインフルエンザによる肺炎で亡くなられた人の数は約2万9千人。2019年は2万6千人。そしてコロナで亡くなられた人の数ですが、2020年~現在までで約21万人となっています。3年で21万人ということは、年間約7万人がコロナによって命を落としたことになります。インフルエンザは年間3万人弱、コロナは倍以上の7万人、それでも英国政府はコロナとインフルエンザは同等だと言い張っています。皆さんはどう思いますか?
イギリスは医療費が無料って本当なの?
イギリスは医療費が無料って本当なの? イギリスは医療費が無料だと聞きましたが、本当にそうなのでしょうか。日本から来たかたにこの質問をよくされます。正直私も12年前にイギリスに来たときは同じ質問をイギリスに長く住んでいる日本人にしました。では、実際のところどうなのでしょうか。 イギリスで一般的に医療費といいますと、下記のものとなります。 GP(General Practitioner)日本語で言い換えますと一般開業医となります。 救急病院 精密検査費用 手術代 入院費用 などです。 GP(General Practitioner)一般開業医とは? GPとは、いわゆる町医者です。登録さえすれば誰でも無料で診察を受けることができます。もちろんイギリスに住んでいない旅行者でも登録さえすれば、無料で受診することができます。イギリスは各地域に開業医が点在しており、「自分が病気かもしれない」「体調が悪い」といった場合にまずこのGPを訪れて診察をしてもらいます。そして症状に見合ったお薬の処方箋を出してもらいます。と、ここまでの過程はいっさい料金がかかりませんが、薬代はかかります。イギリスは薬代がべらぼうに高いのではないかとご心配される方もいるかと思いますが、薬代は普通です。 気軽にGPには行けない? GPでお医者さんに診てもらうのはそんな簡単なことではありません。まずは電話での予約が必須となります。地域によって誤差はありますが、基本的に1週間~2週間は待たされることとなります。ですから、朝起きたら体調が良くないので、GPに電話して午後いちばんで診てもらうなんてことはできません。ただ小さなお子さまや持病をお持ちのかたは優先して見てもらえますので、その日のうちの受信も可能です。「1~2週間も待たされたら体調普通になってるよ!」とツッコミを入れたいところですが、「1~2週間で体調がもとに戻っているぐらいのひとは病気じゃないでしょ!」と逆にGPの受付けのひとにツッコまれるので注意してください。小さなお子さまでもなく、持病もちのひとでもないひとがすぐに受診してもらいたい場合はどうすればいいのか?その場合はA&E(Accident and Emergency)いわゆる救急病院に行きます。もちろん無料です。 GPは、診察して処方箋を出してくれるだけではない GPは総合病院へ紹介状を書いてくれたりもします。GPには残念ながら精密検査をする医療機器がないため、本格的な検査をするとなると総合病院に行かなければできません。総合病院はGPなどから他のお医者さんからの紹介状がないと、検査や手術をしてくれません。つまり、大きな総合病院に行くには、まずGPに行かなければいけないのです。ちなみにですが、総合病院での検査や手術も無料で受けることができます。また、入院もGPではなく総合病院となります。 歯医者も無料なの? ここまでの話を総合すると、イギリスでは薬代以外は何もかからないと勘違いされるかたも多いかと思いますので、少し補足いたします。日本では歯医者も医療費としてあつかわれていますが、イギリスでは歯医者は医療費としてあつかわれていません。イギリスでは歯医者へ通うことが義務付けられています。周期は6か月に1回です。かかる費用ですが、1回の受診で何も問題がなければ20ポンドぐらいです。かりに虫歯が見つかったとして、詰め物をするとなった場合は別途で65ポンドぐらいかかります。 その他にかかる医療関係の費用は? 歯医者以外にかかる医療関係の費用ですが、目の検査です。イギリスは、目の検査をするとき眼鏡屋さんに行きます。眼科の病院に行くのは眼鏡屋さんで検査を受けたときに何か異常が見つかったとき、眼科の受診をすすめられます。その場合は眼鏡屋さんから紹介状を書いてもらうことになります。 まとめますと、イギリスでは基本病気になっても治療にお金がかかることはありませんが薬代はかかります。また、歯医者と目の検査は無料ではありません。