イギリスのバスルーム・洗濯事情を徹底解説|日本との違い・内見チェック・生活改善のコツ

イギリスの典型的なバスルームとキッチンにある洗濯機を並べて比較した写真。左はバスオーバーシャワー付き浴室、右はシンク下に洗濯機が組み込まれたキッチンの様子。

イギリスの賃貸住宅では、日本と異なるバスルームと洗濯のレイアウトがよく見られます。とくに「洗濯機がキッチンにある」「バスルームに脱衣所がない」「シャワーの水圧が弱い」といった点は初めて住む人が戸惑うところです。ここでは、こうした配置になる背景、物件を見るときの確認ポイント、入居後にできる対策をまとめています。

1. イギリスで水回りがこうなる理由

イギリスの家でお風呂や洗濯が日本と違って見えるのは、次のような事情が重なっているためです。

  • 古い建物をそのまま使うことが多い:外壁や構造を大きく変えず、内部だけを少しずつ手直ししている。
  • 水回りの配管を動かすと高くつく:新しく水と排水を引き回すより、既存の場所に機器を置くほうが安い。
  • 脱衣所という専用空間がほぼない:浴室・トイレ・洗面がひと部屋にまとまる設計が多い。
  • 湿度が低い前提で作られている:「床が濡れてもOK」なつくりではないため、日本式の使い方をすると水がはねやすい。
  • オーナーが最低限のリフォームしかしない:バスルームの更新を後回しにしている物件も多い。

このため、浴室に余裕がなく、洗濯機はキッチンや廊下の収納に回されることが珍しくありません。

2. 洗濯機がキッチンにある仕組みと考え方

2-1. 配管と電源が最初から揃っている

キッチンには給水・排水・電源があり、換気もしやすいため、洗濯機を追加するのに都合がいい場所です。浴室側に新たに配管を引くよりも安く済むので、そのままキッチンに設置されます。

2-2. バスルーム側はスペースと安全規定で制限される

イギリスのバスルームは狭く、電気機器を水の近くに置くことへの規定もあるため、洗濯機を置かない(置けない)構成が残りやすくなります。

2-3. 振動を抑えられる場所を選んでいる

欧州製のドラム式は重量があり、脱水時の回転が強いため、床がしっかりしたキッチン側のほうが安定します。上階でバスルームに置くと下の階に音が伝わりやすくなります。

2-4. 入居後にできる対策

  • 防振マットやゴムマットを敷き、動作時の音を抑える
  • 夜間の運転を避け、午前~夕方にまわす
  • 乾燥まで一体でやろうとせず、室内干し+除湿機に切り替える
  • 「utility room」付きの物件があれば優先して選ぶ

3. バスルームの主なパターン

イギリスの賃貸でよく見るバスルームはおおむね次の3タイプです。

3-1. バスオーバーシャワー

浴槽の上にシャワーが付いていて、カーテンまたはガラスで水はねを防ぐタイプです。最も一般的ですが、浴槽の高さが中途半端で、日本のように床にお湯が落ちる使い方をすると周囲が濡れます。

  • シャワーカーテンかガラスパネルかを確認する
  • シャワーヘッドが固定か可動式かを見る
  • シャワーを全開にして水圧を確かめる
  • コーキングにカビやひびがないか見る

3-2. シャワールームのみ

リフォーム済み物件や都市部のワンベッドで多いタイプです。掃除はしやすいですが、湯につかることは想定されていません。

  • 排水の流れが遅くないか、床に水がたまらないか
  • ガラス扉のパッキンが劣化していないか
  • 換気扇がきちんと作動するか

3-3. トイレと分かれたタイプ

トイレと浴室が別になっていると使いやすく、日本人には好まれます。ただしそれでも脱衣のための前室がないことが多く、バスマットなどで濡れを防ぐ必要があります。

4. 水圧と給湯のチェックポイント

イギリスの浴室で不便になりやすいのが水圧です。シャワーを実際に出してみて弱ければ、入居後も基本的には弱いままです。内見時に次を確認しておくと失敗しにくくなります。

  • シャワーを全開にして、手で受けてみる
  • キッチンや別の蛇口も同時に開けて、圧が落ちないかを見る
  • ボイラーの位置と年式を聞く(古いコンビボイラーは弱いことがある)

入居後にできる軽い改善としては、シャワーヘッドを掃除して石灰を落とす、節水型ではないものに替える、といった方法があります。もともとの給湯・水圧が弱い家は、大がかりな改善が難しいため、次の引っ越しで「power shower」などの表記がある物件を選ぶほうが現実的です。

5. 湿気とカビへの対策

浴室に窓がなかったり、換気扇が弱かったりすると湿気がこもりやすく、カビが出やすくなります。以下を確認・実行しておくと傷みを防げます。

  • 換気扇がスイッチで動くか、ドア連動かを確認する
  • シャワー使用後はカーテンを開いて乾かす
  • バスマットを定期的に干す/洗う
  • 窓がない場合は小型の除湿機を置く

6. 内見で見るべきチェックリスト

住んでからのギャップを減らすために、次の項目は現地で必ず確認しておくと安心です。

  • [ ] 洗濯機の場所(キッチン/廊下の収納/バスルーム)
  • [ ] 洗濯機の容量と状態(7kg前後あると使いやすい)
  • [ ] 乾燥の方法(コンデンサー式か、干すスペースがあるか)
  • [ ] シャワーの水圧
  • [ ] バスルームの換気(窓または換気扇)
  • [ ] カビ・黒ずみ・コーキングの切れ
  • [ ] タオルを干す場所(towel radiatorなど)があるか
  • [ ] トイレとバスが同室の場合、着替えスペースが確保できるか
  • [ ] コンセントの位置(電動歯ブラシやシェーバー用)

7. 入居後に追加すると便利なもの

賃貸でも現状復帰しやすい範囲で整えると、イギリス式でもかなり暮らしやすくなります。

  1. 突っ張り式のシャワーラックで収納を増やす
  2. 防カビ仕様のシャワーカーテンに交換する
  3. 厚手のバスマットを敷き、床の水を吸わせる
  4. 除湿機とサーキュレーターで洗濯物を乾かす
  5. ランドリーバスケットで「洗う→干す」の動線を決める

8. 不動産広告で出てくる表現

en-suite
寝室に専用のバスルームが付いている。朝の混雑を避けやすい。
shower room / walk-in shower
シャワーのみ。浴槽はない。
bathroom
浴槽付きのバスルーム。トイレが一緒のこともある。
utility room
洗濯機や乾燥機を置くための小部屋。ここがあるとキッチンがすっきりする。
power shower
水圧を高めたシャワー。髪をしっかり洗いたい人向け。

英国生活サイト編集部から

イギリスでは、トイレがバスルームの中にあるのが当たり前だと思ってください。

また、キッチンに洗濯機が置かれていることもあり、古い洗濯機だと音がとにかくうるさく、会話ができないくらいのときもあります。さらに、使用中に強い振動が起きることがあり、初めて使ったときは地震かと思うほどでした。

とはいえ、バスルームのつくりも洗濯機の音や振動も、すぐに慣れてくると思います。

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