イギリスで起きた無差別殺傷事件の背景

イギリスで発生した無差別刺傷事件を象徴するイラスト。ナイフを持つ手とロンドンの街並み、背景には下降する赤い矢印が描かれている。

イギリスで頻繁に起こる無差別殺傷事件の種類

イギリスでは、時々無差別殺傷事件が発生する。
無差別殺傷事件は大まかに分けて2種類ある。

1つ目は、いわゆる怨恨によるものである。
交際していた彼女に振られた腹いせに、彼女やその家族を刺し殺してしまうという、典型的な「もてない男」が起こす最低の行動だ。精神的に未熟で、脳の成長が10代で止まってしまっているような人物による事件である。

2つ目は、より深刻なケースである。
精神的な疾患を抱えた人が妄想に取りつかれ、被害妄想の結果、周囲の人々を無差別に刺してしまうものだ。映画のように「頭の中で声がして、その声に命じられて犯行に及ぶ」というケースもある。
イギリスでは、実はこの2つ目のケースが大半を占めている。


福祉サービスの劣悪さ

私の知人にも、精神疾患を抱え、最近自殺してしまった人がいる。
彼は20代前半から約20年もの間、施設への入退所を繰り返していたが、症状は改善せず、最終的に病院に助けを求めたものの、相手にされずに自ら命を絶ってしまった。
家族は病院の対応に納得せず、検死審問(Inquest)を請求し、現在も手続きが続いている。


自殺に関しては、まだ家族にとっての救い

精神疾患が原因の自殺は、遺族にとって大きな悲しみをもたらすが、他人を傷つけるよりは被害が限定的である。
しかし、もし他人を傷つけたり殺めてしまった場合、残された家族の社会的立場は失われ、引っ越しを余儀なくされるなど、遺族の人生まで破壊してしまう。


なぜイギリスでは精神疾患を持つ人が多いのか

イギリスは先進国の中でも、精神疾患を抱える人が多い国として知られている。
理由はいくつかあるが、まず第一に挙げられるのは日照時間の短さである。
夏は日が長く、夜9時や10時まで明るい一方で、冬は雨や曇りの日が多く、午後3時頃には暗くなり始め、4時半には真っ暗になってしまう。
精神的に悪影響を及ぼすのは当然であり、実際、冬場には精神疾患を抱える人の数が増加する。


さらに深刻な問題

天候に次いで深刻なのが、お酒と違法薬物の問題だ。
イギリスでは、違法薬物が比較的簡単に入手できるため、アルコールやマリファナに対する抵抗感が薄い。
私の知っている10代の子どもを持つ親の中には、週末に子どもが友人とビールを飲んでも咎めない人もいる。
「強く止めることで、より危険な薬物に走るよりはまし」と考える親もいるが、これは問題である。

法律では18歳未満の飲酒は禁止されているが、16歳以上で親と一緒であれば飲酒が認められている。
この曖昧な法律が、10代の飲酒を助長しているのは間違いない。
若いうちにお酒を覚えると、大人になったときにアルコールだけでは満足できず、違法薬物に手を出す可能性が高くなる。
その結果、精神に悪影響を及ぼすことになる。


精神疾患を抱えた人たちが野放しに

イギリスでは、精神疾患を抱える人々が滞在する施設が各地に存在する。
多くは一般住宅地の中に建てられ、出入りは自由である。
つまり、妄想や幻覚に苦しむ人たちが、一般社会の中で普通に生活しているという状況だ。

もちろん、隔離すべきだという話ではないが、妄想に取りつかれた人による無差別殺傷事件が実際に起きている以上、現状のまま放置してよいのかという疑問は残る。


人手不足・施設不足・医療費の問題

なぜ精神疾患を抱える人が普通に電車に乗ったり、街を歩いたり、パブにいるのか。
理由は、管理体制が整っていないためである。
というよりも、患者数が多すぎて管理しきれていないのが実情だ。

病院に行けば向精神薬を処方してもらえるが、多くの患者には収入がないため、薬代を支払う必要がない。
つまり、医療費はすべて国の負担となり、財政的にはマイナス支出となる。
さらに、頻繁に病院を訪れ薬を求める患者に対し、医療従事者が「薬を乱用するだけだ」と冷たく扱うケースもあるという。


まとめ

今後の対策として、イギリスは「精神疾患者を生まない社会づくり」に力を入れるべきである。
未成年の飲酒や喫煙に対して法律を厳格化し、罰則や親への罰金制度を設けるなどの対応も必要だろう。
このままでは、精神的問題を抱える人々の増加が、イギリス社会そのものを崩壊させかねない。

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