ロンドンの賃貸物件市場に異常な現象がおきている

コロナ禍が落ち着きを見せてきたロンドンではありますが、賃貸物件市場は異常な現象が起きています。
何が異常かといいますと物件数です。通常は1月から春先にかけは増加傾向で、夏場には最多となります。
ただ今年2022年に関しては物件数が激減しています。

なぜ、賃貸物件数が減ったのか?

投資対象としての魅力がなくなった

1つに金利の引き上げを見越して投資家が物件を手放しているというのもあると思います。
Bank of England(イングランド銀行)が今年にはいり、既に2回の金利の引き上げを実施しました。
年初に0.25%だった金利ですが、今は1.25%となっており、年内には2%まで上がると言われています。
中央銀行の金利が引き上げで個人の住宅ローンの金利も必然と上がり、不動産投資への意欲が落ち、投資手として物件を買うひとが目減りしました。
今までは安い金利でローンを組んで物件を購入、維持することができていたが、金利が上がると月々の返済額も増え家賃収入が目減りするどころか、逆にマイナスになってしまうことも想定されます。
また、需要と供給のバランスが崩れ物件の価格が下落するという見方をしている投資家が、
高く売れるうちに売っておこうということで、賃貸物件を手放すひとも増えたことから物件数が減ったことも説明がつきます。

住み替えをするひとの減少

コロナ禍のロックダウン中はロンドン市内から市外に出ていく人ばかりで、ロンドンから一時期ひとがいなくなりました。
結果、多くの家主は家賃を大幅に引き下げでテナントの獲得に躍起となりました。
過去2年の間にテナントを獲得した家主は家賃の引き上げをできずに、通常1~2年周期で引っ越しを繰り返すテナントたちも引っ越しをせず、現在の物件に住み続けようというのも賃貸物件を減らしている原因の一つです。

賃貸物件の質が悪くても借り手がつくほど品不足

私もロンドンで賃貸物件を扱い10年ほどたちますが、今年のようなマーケットは経験したことがありません。
4,5年前にある家主にこんなボロな物件は借り手がつきませんと言っていたような物件でも市場に出せば1~2日で借り手が見つかってしまう完全な売り手市場です。
粗悪な賃貸物件に住むはめになった人たちには申し訳ない気持ちでいっぱいです。
最近も私どもで宣伝していた物件で2ベッドルームの物件がノースフィンチリーというところにあったのですが、とにかく通気性が悪く、すぐにカビが発生してしまう物件がありましたが、他の不動産会社が日本人のテナントさんを見つけたという報告を家主から受けました。
現在のテナントさんは英国人の男性が2人でシェアフラットとして住んでいるのすが、彼らもカビの発生に悩まされ退去することとなりましたが、新しく入居する方にはそういった情報はいっさい入っていないでしょう。
家賃も2,3年前は2ベッドルームのアパートで平均1,400~1,600ポンドが今は1,700~2,000ポンドとなってしまいました。

内覧せず物件を契約するひとがコロナ禍より多い

コロナ禍中は、コロナに感染することを恐れて実際に物件に行かず、ビデオを通しても内覧で契約をしてしまうひとがいましたが、今年は内覧の予約を取っている間に物件が他のひとに決まってしまうということで内覧せずに契約してしまうひとの数がコロナ禍中に比べても2倍から3倍に増えました。
特に日本人の場合は日本から契約したいというひともいますので、内覧せずの契約がかなり増えているのではないでしょうか。
渡英する日や内覧する日を待っているよう余裕などないのです。
いいと思ったら即決で契約しなければいい物件に住むことはできない時代になってしまいました。

今後心配されることは?

今年にはいって賃貸物件の更新をされた方は、恐らくすでに気づいているひともいると思います。
そうです、家賃の値上げです。
もし今後も賃貸物件数の品薄状態が続いたとしたら、家賃は年々上がっていくことになります。
では、テナントして家賃の値上げに対してどういった対策をとることができるのでしょうか。
まずは、契約年数を長くすることです。
通常ロンドンの賃貸契約は最低1年となっていますが、別に1年でなければいけないといことはありません。
ひとによっては2年、3年という契約期間もできます。
長くすることによって家主側に家賃の値上げするチャンスを与えないということです。
ただ、長期間の賃貸契約を結ぶことにより、家賃の値上げは避けられますが、契約中の退去は難しくなってしまいますのでご注意ください。
では長期間の賃貸契約をせずに2年目、3年目の家賃を据え置きにする方法ですが、契約書に最初の2年は家賃を据え置くという条項をいれてもらうことです。
この交渉はオファーを出す時点でやらないといけません。
オファーが受諾され契約書を交わす時点でそのような交渉をすると家主から契約を破棄される可能性があります。じゃんけんの後出しと同じです。
英国で交渉する場合、そんな卑怯なやり方ではなく正々堂々と正直に話したほうがうまく行くことが多いからです。
今年ロンドンに来られる方は賃貸物件探しに苦労するかと思いますが、根気よく探せば必ずいい物件に巡り合えます。

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