イギリスにも“一発屋”はいるのか?

一曲の栄光、そして静寂へ──消えていったスターたち

「一発屋」という言葉を聞いて、日本の視聴者ならすぐに某芸人や一曲だけ流行った歌手を思い浮かべるだろう。だが、この現象は日本独特のものではない。実はイギリスにも、似たような“一瞬の輝き”を見せて去っていったアーティストやコメディアンたちが数多く存在している。


音楽業界の一発屋たち

イギリスの音楽シーンは、ビートルズやアデルのような長く愛されるアーティストを生み出してきたが、裏を返せば「一度きりのヒット」で終わった人々もいる。

例:Baz Luhrmann「Everybody’s Free (To Wear Sunscreen)」

この語り口調の曲は1999年にUKチャートでヒットしたが、実際に歌っているアーティストの名前を今でも覚えている人は少ない。

例:Babylon Zoo「Spaceman」

1996年、ジーンズのCMで使われて一躍ヒット。だが、デビュー後すぐに姿を消した。「イギリス版・消えたヒットメーカー」として今も語り草だ。

例:Chesney Hawkes「The One and Only」

1991年の青春ソングで大ヒット。だが、その後はヒットに恵まれず、本人もネタ的に一発屋であることを認めている。


コメディ界の「一発ネタ」芸人

日本で「一発ギャグ芸人」が一時期テレビを席巻したように、イギリスでも「旬」が短いコメディアンは少なくない。

例:Little Britain(リトル・ブリテン)

2000年代初頭に大人気だったスケッチコメディ。登場人物の口癖やキャラクターが社会現象となったが、風刺の強さが批判を招き、番組は打ち切られた。出演者の一人、デヴィッド・ウォリアムスはその後作家に転身したが、他のメンバーの露出は激減した。

例:Leigh Francis(リー・フランシス)

「Bo’ Selecta!」というキャラクター模写コントで一時代を築いたが、現在ではその過激な演出が批判され、テレビから距離を置いている。


「一発屋」はむしろ世界共通のカルチャー

一度スポットライトを浴びたが、持続的な人気にはつながらなかったという意味での“一発屋”は、どの国にも存在する。イギリスにおいても、文化の消費スピードが速まる中で、「一瞬の話題性」にすべてを賭けたアーティストや芸人が消えていくのは、避けがたい現象なのだ。

興味深いのは、多くの一発屋たちが自らの“儚い栄光”をネタにしたり、SNSで再浮上を図ったりしている点だ。時代が変われば、忘れられた名前が再評価されることもある。それはイギリスでも、日本でも、同じことである。


まとめ

イギリスにも当然「一発屋」は存在する。そして、彼らの多くは“終わった人”ではなく、“語り継がれる人”として、どこかの記憶の中で生き続けている。瞬間的なインパクトで記憶に残ること自体が、ある意味では立派な功績なのかもしれない。

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