
明日、2025年3月4日は、イギリスで「パンケーキの日(Pancake Day)」と呼ばれる特別な日です。「シュローブ・チューズデー(Shrove Tuesday)」とも呼ばれるこの日は、イギリスをはじめとするいくつかの国で毎年盛大に祝われます。
日本ではあまり馴染みがないこの日ですが、イギリスではパンケーキを食べる伝統が根付いており、特に子供たちはこの日を心待ちにしています。では、この「パンケーキの日」はどのようにして生まれ、どのような意味を持つのでしょうか?また、日本との文化的な違いはどこにあるのでしょうか?
「パンケーキの日」の起源
「シュローブ・チューズデー」は、キリスト教の伝統に由来します。これは、イースター(復活祭)の前に40日間行われる「四旬節(レント)」の始まりである「灰の水曜日(Ash Wednesday)」の前日にあたります。
中世ヨーロッパでは、四旬節の間は肉や乳製品などの贅沢品を控える習慣がありました。そのため、四旬節に入る前の日に、家にある卵やバター、小麦粉を使い切る目的でパンケーキを作る風習が生まれたのです。こうして「パンケーキの日」が誕生しました。
イギリスでは現在でもこの伝統が続いており、多くの家庭でパンケーキを作り、家族や友人と一緒に楽しむ習慣があります。
世界のパンケーキの日
「シュローブ・チューズデー」は、イギリスだけでなく、他の国でもさまざまな形で祝われています。
- フランス:「マルディ・グラ(Mardi Gras)」と呼ばれ、「太った火曜日」という意味を持ちます。パンケーキだけでなく、クレープや揚げ菓子などを食べるのが一般的です。
- アメリカ:ルイジアナ州のニューオーリンズでは「マルディ・グラ」として盛大なパレードが開催され、カーニバルのようなお祭りになります。
- ドイツ:「ファストナハト(Fastnacht)」と呼ばれ、揚げパンやドーナツを食べる習慣があります。
国によって呼び名や食べるものは異なりますが、共通しているのは「断食前にごちそうを楽しむ」という精神です。
イギリスのパンケーキ文化
イギリスで食べられるパンケーキは、日本のふわふわなホットケーキとは異なり、クレープのように薄く焼かれます。そして、レモンジュースと砂糖をかけて食べるのが定番のスタイルです。
また、イギリスでは「パンケーキ・レース(Pancake Race)」というユニークなイベントも開催されます。このレースでは、参加者がフライパンにパンケーキを乗せたまま走りながら、パンケーキを宙に投げて裏返す「フリップ」を繰り返すというルールがあります。この伝統は1445年にオルニー(Olney)という町で始まったとされ、現在もイギリス各地で行われています。
日本にはなぜ「パンケーキの日」がないのか?
日本では、パンケーキ自体は人気があるものの、「パンケーキの日」として特別に祝う習慣はありません。その理由のひとつとして、宗教的背景の違いが挙げられます。
日本の食文化は、キリスト教よりも仏教や神道の影響を受けています。そのため、イースターや四旬節に関連した習慣はあまり根付いていません。また、日本には「断食」の文化があまり浸透していないため、その前に食べ納めをするという概念も薄いのです。
さらに、日本では「パンケーキ」というと、ふわふわのホットケーキが一般的で、イギリスのように薄いクレープ状のパンケーキを家庭で作る習慣があまりありません。そのため、「パンケーキの日」を祝う文化も生まれにくかったのかもしれません。
日本でも楽しめる「パンケーキの日」
とはいえ、パンケーキ好きな人にとって「パンケーキの日」は魅力的なイベントです。日本でも、少し工夫すればこの特別な日を楽しむことができます。
1. イギリス風パンケーキを作ってみる
日本のパンケーキとは違う、イギリス風の薄いパンケーキを作り、レモンジュースと砂糖で食べてみましょう。これだけで、イギリスの「パンケーキの日」を疑似体験できます。
2. パンケーキ・レースをしてみる
友達や家族と一緒に、フライパンでパンケーキをフリップしながらレースをするのも面白いでしょう。屋外でやれば、ちょっとした運動にもなります。
3. 世界のパンケーキを楽しむ
イギリス風だけでなく、フランスのクレープ、アメリカのバターミルクパンケーキ、ドイツのパンケーキ「ダッチベイビー」など、世界のパンケーキを食べ比べるのも楽しいかもしれません。
まとめ
「パンケーキの日」は、イギリスを中心にキリスト教の伝統に基づいて広まった文化ですが、パンケーキそのものを楽しむイベントとして、日本でも十分に取り入れることができます。
日本では祝われることのないこの日ですが、たまにはイギリスの文化を取り入れて、特別なパンケーキを味わってみるのも良いのではないでしょうか?今年の3月4日は、ぜひパンケーキを食べて、イギリスの「パンケーキの日」の雰囲気を味わってみてはいかがでしょうか?
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