
会社の業績が落ちていないにもかかわらず、内部で代表を陥れようとする動きがある。日本でもイギリスでも、そして多くの国で同じようなことが起きている。だが、この現象ほど「会社の未来を台無しにする愚かなムーブメント」はないだろう。なぜなら、その行為は結局、自分たちの首を絞めることになるからだ。この記事では、そんな「置こうなうプレデター」現象について、事例や比喩を交えつつ掘り下げていきたい。
■ なぜ業績が落ちていないのにトップを潰すのか
普通に考えれば、業績が落ちているならトップに責任を求めるのは自然だ。だが、業績が落ちていない、むしろ成長軌道にあるのに「代表を引きずり下ろせ」と声を上げる人たちがいる。彼らは「もっとよくできるはず」「自分たちのやり方のほうが正しい」と言いながら、会社の成果を軽んじ、トップの手腕を無視する。
心理的に見ると、これは「自分が評価されていないことへの不満」「自分たちが主導権を握りたい欲望」が根底にあることが多い。つまり、組織や業績のためではなく、あくまで自分のための動きである。
■ 「置こうなうプレデター」の正体
この手の動きを私は「置こうなうプレデター」と呼んでいる。プレデター、つまり捕食者。自分たちの利益のために会社という生態系を食い荒らす存在だ。しかも彼らは必ずしも有能ではない。むしろ「群れで動くことによって強く見えるが、個では弱い」という烏合の衆である。
彼らは「俺たちが会社を支えている」「代表は自分たちがいなければ何もできない」などと口にする。しかし実際には、代表がいるからこそ方向性が示され、顧客からの信用が保たれているケースがほとんどだ。方向性を失った会社は、迷走し、顧客からも市場からも見放されるのがオチである。
■ イギリスでも同じ現象が起きている
「そんなの日本だけだろ」と思うかもしれない。だが実はイギリスでも同じことが頻発している。イギリス企業では、しばしばCEOが株主や一部の取締役によって追い込まれるケースがある。しかもその多くは、会社が赤字に転落したわけでも、経営が崩壊寸前なわけでもない。ただ単に「彼が気に入らない」「もっと自分たちがコントロールしたい」という理由で、トップが追い落とされる。
だがその結果どうなるか。往々にして会社は短期的な混乱に陥り、長期的な競争力を失う。株価も一時的に下がり、従業員の士気は落ち、優秀な人材が去っていく。まさに「自分で自分の船底に穴を開けている」ようなものだ。
■ 烏合の衆の危険性
集団で声を上げると、それが正しいことのように見えてしまうのが人間社会の怖さだ。SNSでもそうだが、「みんなが言っている」ことはあたかも真実のように錯覚される。だが実際には、数の多さと正しさは全く別問題だ。
烏合の衆が動き出したとき、彼らは論理や事実ではなく「空気」で物事を進める。結果として合理的な意思決定ができなくなり、会社の屋台骨が崩れる。空気に流されてトップを追い落としたその瞬間から、会社の未来は不確実性に包まれるのだ。
■ 本当に苦労するのは誰か
一見、代表を追い落とした側が勝利者に見える。だが、長期的に苦労するのは彼ら自身である。なぜなら、代表という「盾」を失った瞬間、外部の圧力や市場の厳しさがダイレクトに彼らに降りかかるからだ。
顧客は「前の代表だから信頼していた」というケースもある。金融機関や取引先も「トップが変わるなら契約を見直す」ということは珍しくない。結果として業績は本当に悪化し、「あれ、代表の時の方がよかったのでは?」という逆説的な状況に陥る。
そして、その時にはもう遅い。内部で権力闘争を繰り返した「置こうなうプレデター」たちは、自分で自分の食い扶持をなくしてしまうのだ。
■ 伸びている会社に共通すること
これまで私が見てきた「伸びている会社」には、一つの共通点がある。それは内部で代表を足の引っ張り合いの対象にしていないということだ。もちろん、代表が絶対権力を持ちすぎても健全ではない。だが、少なくとも「代表が育てた方向性やブランドを社員が共有し、外部に対して一枚岩で動く」ことができている。
逆に「代表を引きずり下ろせ」という動きが強まる会社で、成長しているところを見たことがない。短期的に変化があっても、長期的には停滞か衰退に向かう。これは歴史的に見ても明らかだ。
■ まとめ──「置こうなうプレデター」への警鐘
業績が落ちていないのに代表を追い込む。それは愚かであり、将来的に自分たちを苦しめるブーメラン行為である。日本でもイギリスでも、結末は同じ。会社は迷走し、社員は疲弊し、結局はプレデターたち自身が食い潰される。
組織の未来を本当に考えるならば、代表を陥れることではなく、代表とともにどう成長するかを模索すべきだ。烏合の衆がプレデターと化す前に、自分たちの行動が会社にとって何を意味するのかを冷静に見つめ直す必要があるだろう。
そして最後にもう一度言いたい──
「そんな会社で伸びている会社なんて、見たことがない」。
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