
「イギリスの国技」と言えば、ほとんどの人がサッカーを思い浮かべるでしょう。事実、プレミアリーグは世界中に多くのファンを持ち、イングランド国内でも週末はスタジアムが満員になるほどの熱狂ぶりを見せています。
しかし、実はテニスもイギリスにおいて重要なスポーツのひとつであり、サッカーに負けず劣らずの熱いファン層を抱えています。特に、毎年6月末から7月上旬にかけて行われる**ウィンブルドン選手権(The Championships, Wimbledon)**は、テニス界でもっとも格式ある大会として、世界中の注目を集めています。
イギリス国内の主なテニス大会
イギリスでは、ウィンブルドン以外にもいくつかの国際大会が開催されています。
- ウィンブルドン(Wimbledon)
- 開催地:ロンドン・オールイングランド・クラブ
- 開催時期:6月末~7月上旬
- 特徴:世界四大グランドスラムの1つ。伝統ある芝コート。ドレスコードも厳格。
- クイーンズ・クラブ選手権(Queen’s Club Championships)
- 開催地:ロンドン・クイーンズクラブ
- 開催時期:6月中旬(ウィンブルドンの前哨戦)
- 特徴:ATP500大会。トップ選手の調整試合として注目。
- イーストボーン国際(Rothesay International Eastbourne)
- 開催地:イーストサセックス州イーストボーン
- 開催時期:6月末
- 特徴:男女混合大会(ATP250 & WTA500)
- ノッティンガム・オープン(Rothesay Open Nottingham)
- 開催地:ノッティンガム
- 開催時期:6月初旬
- 特徴:ウィンブルドン前の調整に適した芝大会
このように、6月を中心にイギリスではいくつものテニストーナメントが開催されており、国内外から多くの観戦客が訪れます。
テニス観戦チケットの価格帯——本当に高いのか?
テニス観戦のチケットは、時期や大会、席種によって大きく異なります。以下に、主な大会の一例を紹介します。
■ ウィンブルドン(2024年の参考価格)
- グラウンドパス(入場券・外コート観戦可):£30〜£50
- センターコート(1回戦):£80〜£120
- 準々決勝以降のセンターコート:£170〜£255
- 決勝戦(センターコート):£275〜£275以上(公式抽選/再販以外は高騰)
■ クイーンズ・クラブ選手権
- 平日1日券(1回戦):£40〜£85
- 準々決勝・準決勝:£95〜£150
- 決勝戦:£130〜£200
これだけ見ると、「サッカーのチケット(£30〜£70)より高い」と思う方も多いでしょう。しかし、ここにはテニス観戦ならではの特徴があります。
テニス観戦の魅力:1日で複数の試合が観られる
テニスの大会では、1日券で入場すると、その日予定されている複数の試合を観戦できます。これはサッカーのように90分で1試合が終わる競技とは大きく異なる点です。
たとえば、ウィンブルドンでは朝から夕方までに3〜5試合が各コートで行われます。センターコートのチケットを持っていれば、芝の上で繰り広げられるトップ選手の熱戦を朝から晩まで楽しむことができます。さらに、外コートを自由に回れるグラウンドパスでも十分楽しめます。若手選手やダブルスの試合を間近で観戦できる機会もあり、コアなファンにはむしろ外コート観戦の方が魅力的だという声もあります。
年間を通しての開催数は少ない——だからこそ特別な体験に
サッカーはほぼ毎週末に試合があるのに対し、イギリス国内の大規模テニス大会は、前述のとおり主に6月〜7月に集中しています。そのため、チケットを手に入れるにはタイミングが重要で、ファンにとってはまさに“年に一度の祭典”とも言えるでしょう。
この「希少性」が、観戦の価値をさらに高めています。たった1日で何試合も楽しめる上、選手の練習やウォームアップを眺めたり、芝生でピクニックをしたりと、テニス大会独自のゆったりした雰囲気も堪能できます。
結論:テニスの観戦チケットは“高い”というより“価値が高い”
サッカーが日常のスポーツ観戦であるとすれば、テニスは“イベント”としての観戦体験です。価格だけを見れば高価に感じることもあるかもしれませんが、それに見合うだけの内容が詰まっています。1日中楽しめて、トップ選手の試合を間近で見ることができる機会はそう多くありません。
イギリスではサッカーに比べて目立ちにくいかもしれませんが、テニスファンの存在は確かにあり、ウィンブルドンのチケット抽選は毎年激戦です。静かな熱狂と上質な時間を求める人にとって、テニス観戦はまさに“価値ある投資”と言えるでしょう。
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