ロンドン超一等地が示す“静かな崩壊”
「英国の住宅価格はバブル崩壊しているのか?」という問いに対し、全国平均の価格だけを見ると大きな下落は見られません。しかし、 最も価格が高騰していたエリア――ロンドンのプライム(超一等地)市場――の動きを見れば、すでにバブル崩壊後の長期調整局面に入っている可能性が高いことが分かります。
1) ロンドンの超一等地では価格が20〜30%以上下落している
ロンドンの中でも最も高額な住宅市場を対象にした独自の価格指数によると、ピーク時以前と比べて以下のような大きな下落が確認できます。
- ナイツブリッジやベラビアでは、ピーク時より約30%程度価格が下落している
- チェルシーなどの一部エリアでもピーク時より約20%以上下がっている
- プライム市場全体として見ても、ピーク時の水準を大幅に下回る水準が続いている
このような下落幅は、バブルとして考えられる価格の「急騰 → 継続的な下落」という典型的なシナリオと一致します。
2) 成約ベース(実際の取引価格)でも下落傾向が続いている
実際の取引価格を集計したデータでも、ロンドンのプライム物件は以下のように前年比で価格が下がっています。
- プライムロンドンの平均成約価格は前年に比べて数%程度ダウンする月が複数見られる
- 高級物件は特に価格調整が先行して進んでいる
これは単なるサンプルではなく、複数月・複数エリアで一貫した傾向として観測されています。
3) なぜ“全国平均では崩壊に見えない”のか?
一方で、英国全体の住宅価格の統計を見ると、値下がりが大きく目立つ状況にはありません。全国平均では何年も横ばい〜若干の上昇を続けているのが実情です。このギャップが生まれる理由は次の通りです。
- 英国の不動産市場は二重構造になっている:
ロンドンの高額市場と、それ以外の一般的な住宅市場では動きが全く異なる。 - ロンドン以外の都市は価格が堅調:
マンチェスターやバーミンガムなど、多くの地方都市では住宅価格が下がらず、上昇または横ばいで推移している。 - 全国平均は高価格帯の動きを吸収してしまう:
たとえロンドンの超高額物件が大きく下がっても、広い英国全体の平均値にはそれほど強い影響が出ない。
結果として、 「全国平均=崩壊していない」ように見える一方で、最もバブルだった部分はすでに崩壊している という構図が浮き彫りになります。
4) 「バブル崩壊」はどのように定義すべきか?
ここでもう一度、「バブル崩壊とは何か?」という問いに立ち戻りましょう。単に「価格が下がる」だけでは不十分です。次の4つが揃うとき、経済学的にバブル崩壊と呼んでいい状態といえます。
- 価格が急速に上昇した後の大幅下落または長期の調整が起きていること
- 実際の取引価格が名目値を下回ること
- 市場参加者の心理が買い控え・期待値の修正へシフトしていること
- 特定セグメントが長期間にわたりピークを回復できないこと
ロンドンのプライム市場では、これらがかなりの程度満たされていることがデータから読み取れます。
5) これからの展開――“調整後”の市場とは
不動産市場が調整期に入った後、一般的に次のような動きが見られます。
① バリューゾーン化が進む
価格が大きく下がったエリアや物件は、長期的な視点で見ると割安感が出て資産としての魅力が戻ることがあります。実際、プライムロンドンでも「下落が収束し、長期保有ニーズが再燃する」という局面が想定されています。
② 長期的な横ばい・ゆるやかな回復へ
全国平均が大きく崩れていないことから、価格が極端に落ちるよりは「調整の後の横ばい〜緩やかな回復」になる可能性が高いという予測もあります。
③ 地域差の拡大は当面続く
ロンドン高額エリアとそれ以外の地域との乖離は依然として大きく、今後も二極化傾向は続くとみられています。
まとめ — 現時点で言えること
✔ ロンドンのプライム(超一等地)住宅価格は、ピーク時から 20〜30%以上下落している
✔ これは単なる一時的調整ではなく、バブルの中心が「長期調整期に入った」ことを示す動き
✔ 全国平均では崩壊が目立たないが、これは市場の二重構造によるもの
✔ すべての都市で破壊的な崩壊が起きているわけではないが、最もバブルだった領域はすでに崩壊していた










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