イギリスで再流行中の感染症7選:アフリカからの移民と感染リスクの現状

イギリスでは近年、特にアフリカ諸国からの移民の増加とともに、感染症の発生や拡大が注目されています。本記事では、イギリスで流行している主な感染症とその背景、特にアフリカからの移民との関連性について詳しく解説します。

1. 結核(Tuberculosis, TB)

結核はイギリスで再び注目されている感染症であり、特に移民コミュニティでの発症率が高まっています。2023年には結核の症例が11%増加し、2024年にはさらに13%増加しました。この増加の主な要因は、インド、パキスタン、ナイジェリアなどの高発症国からの移民の増加とされています。実際、イギリスでの結核症例の約80%は海外生まれの人々に関連しています。

特に黒人アフリカ系の人々は、白人イギリス人と比較して結核による緊急入院のリスクが15倍高いと報告されています。 The Guardian


2. HIV(ヒト免疫不全ウイルス)

HIVの新規感染者数は長年減少傾向にありましたが、最近では再び増加傾向にあります。特にアフリカからの移民の間での感染が注目されています。2023年には、イングランドで報告されたHIV症例の53%が海外で既に診断されていたものであり、これは初めて国内診断を上回りました。

この状況を受けて、元保健大臣のニール・オブライエン氏は、高発症国からの移民に対してビザ取得時のHIV検査を義務付けることを提案しています。彼は、オーストラリアやニュージーランドなど、すでに同様の措置を講じている国々を例に挙げています。


3. 麻疹(Measles)

麻疹は、特に子供たちの間で再び流行しています。2023年から2024年にかけて、10歳未満の子供たちの間で麻疹の症例が急増しました。これは、MMR(麻疹・おたふく風邪・風疹)ワクチンの接種率が過去15年間で最低水準に落ち込んでいることが一因とされています。 The Sun

特に経済的に困難な地域では、ワクチン接種率の低下が顕著であり、これが麻疹の再流行を招いています。


4. 百日咳(Whooping Cough)

百日咳も再び注目されている感染症です。2024年には、3か月未満の乳児で433件の症例が報告され、そのうち10人が亡くなりました。これは、妊婦への百日咳ワクチン接種率の低下が影響していると考えられています。 The Sun


5. Mpox(旧称:サル痘)

Mpoxは、かつてアフリカの一部地域に限定されていた感染症でしたが、2022年以降、イギリスを含む多くの国で症例が報告されています。2025年4月には、ケンブリッジのアデンブルックス病院でMpoxの感染者が救急外来を訪れ、約30人の患者と20人のスタッフが接触した可能性があるとして追跡調査が行われました。 The Scottish Sun

Mpoxは、感染者の皮膚病変や体液との接触、または呼吸器飛沫を通じて感染する可能性があり、特に免疫力の低下した人々にとっては重篤な症状を引き起こすことがあります。


6. コレラ(Cholera)

2025年3月、イギリスで4件のコレラ症例が報告されました。これらの症例は、エチオピアの聖水「ベルメル・ギオルギス」を摂取したことに関連しているとされています。この聖水は、エチオピア正教会の信者によって持ち込まれたものであり、薬剤耐性を持つビブリオ・コレラ菌が検出されました。 Latest news & breaking headlines

この事例は、宗教的・文化的慣習が感染症のリスクを高める可能性があることを示しています。


7. 健康格差と公衆衛生の課題

イギリスでは、経済的に困難な地域や特定の民族グループで感染症の発症率が高いことが報告されています。例えば、最も貧困な地域では、呼吸器感染症による入院率が2倍、結核では7倍、麻疹では6倍高いとされています。 The Guardian

これらの健康格差は、ワクチン接種率の低下、医療サービスへのアクセスの制限、劣悪な住環境など、複数の要因が絡み合って生じています。


まとめ

イギリスにおける感染症の再流行は、アフリカからの移民の増加、ワクチン接種率の低下、医療サービスへのアクセスの不平等など、複数の要因が複雑に絡み合っています。これらの課題に対処するためには、移民コミュニティへのターゲットを絞った健康教育やワクチン接種の促進、文化的背景を考慮した公衆衛生政策の策定が求められます。

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