イギリスといえば、紅茶、フィッシュ・アンド・チップス、雨ばかりの天気――そんなイメージが強いかもしれません。しかし、イギリスの食文化を語る上で絶対に欠かせないのが「じゃがいも」です。イギリス人はどんな料理にもじゃがいもを取り入れ、どんな場面でもじゃがいもを楽しんでいます。
マッシュポテト、ローストポテト、フライドポテト（チップス）、ジャケットポテト、ありとあらゆる形で食卓に登場するじゃがいも。この国民的食材に対する愛はどこから来るのでしょうか？その謎を解き明かしていきましょう。
1. 歴史とじゃがいもの深い関係
じゃがいもは16世紀後半、南アメリカからヨーロッパへと渡り、18世紀にはイギリスの主要な作物として定着しました。なぜここまでイギリス人の心をつかんだのか？その理由はシンプルです。
- 気候に適していた：寒冷で雨の多いイギリスの気候でも育つ！
- 栄養価が高い：ビタミンC、カリウム、炭水化物をたっぷり含み、エネルギー源として優秀。
- コスパ最強：安くて腹持ちがよい。
特に産業革命期の労働者階級にとって、じゃがいもはまさに「命をつなぐ食材」でした。パンよりも安価で、簡単に調理でき、何にでも合う。その結果、「じゃがいもさえあれば生きていける」という文化が生まれ、イギリスの食生活に深く根付いたのです。
2. じゃがいもなしでは成り立たないイギリス料理
イギリス料理と聞くと、「味が薄い」「単調」といったイメージを持たれることも多いですが、実はじゃがいもを使った料理には名作が勢ぞろい。代表的なものをいくつか紹介しましょう。
フィッシュ・アンド・チップス
言わずと知れたイギリスの国民食。カリッと揚げた白身魚と、厚切りのフライドポテト（チップス）が絶妙なコンビネーションを奏でます。モルトビネガーをたっぷりかけて食べるのがイギリス流。
サンデーローストとローストポテト
イギリスの日曜日といえば、家族みんなで楽しむ「サンデーロースト」。ローストビーフやチキンに欠かせないのが、外はカリカリ、中はホクホクのローストポテトです。オーブンでじっくり焼かれたじゃがいもは、もはや芸術品。
シェパーズパイ＆コテージパイ
ひき肉の上にたっぷりのマッシュポテトをのせて焼き上げる、まさに「じゃがいもラバー」のための料理。寒い冬の日にはぴったりの、心も体も温まる一品です。
ジャケットポテト
シンプルながらもイギリス人に愛される定番ランチ。皮ごと焼いたじゃがいもに、チーズ、ベイクドビーンズ、ツナマヨなどをたっぷりのせて食べます。学生からビジネスマンまで、誰もが気軽に楽しめる一品。
3. じゃがいもにかける情熱
イギリス人のじゃがいも愛を象徴するエピソードはいくつもあります。その中でも特に面白い話を紹介しましょう。
「ポテトは野菜か？」論争
2015年、英国政府で「じゃがいもは野菜なのか？」という議論が真剣に行われました。その結果、「でんぷん質の食品」として分類されることに。しかし、今でも「じゃがいもを食べているから野菜は十分！」と思っているイギリス人は多いとか。
最高のローストポテトを求めて
イギリスの新聞やテレビでは、「世界一美味しいローストポテトの作り方」をめぐる議論が毎年のように巻き起こります。ラードを使うべきか？オリーブオイルがいいのか？茹でる時間は何分がベストか？まるで科学実験のように、ローストポテトの研究が続けられています。
4. 未来のじゃがいも愛
最近では、健康志向の高まりにより「じゃがいも離れ」が進んでいると言われることもあります。しかし、イギリス人がじゃがいもを諦めることは決してありません。
スーパーには低カロリーな「スイートポテトフライ」や、新品種のクリーミーなじゃがいもが登場。イギリス人は昔ながらの料理だけでなく、新しい形のじゃがいも料理を生み出し続けています。
まとめ：じゃがいもなくしてイギリスなし
イギリス人がじゃがいもを愛する理由は、歴史的な背景、伝統料理の豊かさ、そして国民的なこだわりにあります。たとえ食のトレンドが変わろうとも、フィッシュ・アンド・チップスやローストポテトを楽しむ文化は永遠に続いていくでしょう。
あなたもぜひ、本場イギリス流のじゃがいも料理を味わってみてください。そして、イギリス人の「じゃがいも愛」を実感してみてはいかがでしょうか？
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