ロンドンの家賃は、これから確実に下がっていく――。そう断言できる状況が、いま静かに広がっている。
一見すると、ロンドンの賃貸市場には依然として需要があるように見える。人口は増え続け、海外からの流入もあり、住まいを求める人は多い。いわゆる「借り手はいる」状態だ。しかし、ここに大きな落とし穴がある。
借り手はいても、「適正価格でなければ誰も借りない」という現実が、はっきりと表面化しているのだ。
強気価格が招いた空室リスク
近年、多くの大家は需要の高さを背景に家賃を引き上げてきた。物価上昇、金利上昇、住宅ローン返済負担の増加――それらを理由に賃料を上げるのは当然の流れだったとも言える。
しかし、問題は「市場が受け入れられる価格」を超えてしまったことだ。
物件の問い合わせはある。内見も入る。だが、最終的に契約に至らない。
理由は単純だ。
高すぎる。
借り手は以前よりもはるかに価格に敏感になっている。同じエリアで数百ポンド安い物件があれば、そちらを選ぶ。少し郊外に出れば広さも条件も良い物件が見つかる。結果として、強気の価格設定を続ける物件は空室期間が長引いている。
大家の焦りが広がっている
いま、多くの大家が直面しているのは「値下げ」という選択肢だ。
空室が1か月続けば、その損失は大きい。
2か月、3か月と埋まらなければ、当初の高めの家賃設定はむしろ逆効果だったことになる。
そのため、これまで値下げを避けてきた大家たちも、徐々に価格を調整し始めている。水面下では、更新時の据え置きや、広告価格の引き下げ、インセンティブ(数週間無料など)の提示が増えている。
これは明確なシグナルだ。
市場が「今の家賃は高すぎる」と判断している証拠である。
価格は需要と支払い能力で決まる
不動産市場は、最終的には「支払えるかどうか」で決まる。
どれだけ需要があっても、借り手がその金額を払えなければ契約は成立しない。ロンドンの生活費は全体的に上昇しており、光熱費、食費、交通費も家計を圧迫している。その中で家賃だけが上昇し続けることは現実的ではない。
つまり、
借り手はいる。
しかし、適正価格でなければ借りない。
この単純な事実が、いまの市場の核心だ。
家賃はどんどん下がる可能性
この流れが続けば、家賃は今後も下落傾向を強めるだろう。
なぜなら、最終的に価格を調整するのは大家側だからだ。
空室は最大のコストであり、ゼロ収入よりも適正価格での契約の方が合理的である。市場が受け入れる価格帯に収束していくのは自然な流れだ。
ロンドンの賃貸市場は今、転換点にある。
これまでの「強気相場」から、「現実的な価格設定」の時代へ。
その変化を最も痛感しているのは、ほかでもない大家たちなのである。










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