日本では風情、イギリスでは「駆除したい厄介者」?竹やススキをめぐる意外な違い

竹林を吹き抜ける風、秋の夕日に輝くススキの穂。日本では、どちらも季節や風情を感じさせる身近な植物です。竹は七夕や竹細工、ススキはお月見など、暮らしや文化とも結び付いています。

ところが、イギリスの住宅の庭では、竹が「もう見たくない」「何とか駆除したい」と思わせる厄介者になることがあります。地下で広がり、隣の敷地にまで入り込む竹に悩まされれば、その存在を害虫のように感じても不思議ではありません。

ただし、竹もススキも一律に嫌われているわけではありません。竹は種類と植え方によって問題になりやすさが異なり、ススキはイギリスでも観賞用に親しまれています。この違いを押さえると、植物への評価がどう変わるのかが見えてきます。RHS Advice

目隠しのために植えた竹が、隣の庭へ

イギリスでも、竹は常緑の目隠しや庭の装飾に使われます。しかし、地下茎を横に伸ばすタイプは、条件が合えば植えた場所から離れた所に新しい芽を出します。英国王立園芸協会(RHS)も、境界沿いに植えた竹が隣の敷地へ広がる問題を説明しています。RHS Advice

植えた本人にとっては、おしゃれな庭づくりのつもりだったかもしれません。けれども、隣人の庭から勝手に竹が生えてくれば、話は変わります。

自分で選んでいない植物のために、庭を掘り返し、時間や費用を使う。そうなれば、「自然が豊かでいいですね」と眺めている余裕はなくなるでしょう。

遠くの竹林を楽しむことと、自分の庭に侵入してきた竹を片付けることでは、受け止め方がまったく違うのです。

「切れば終わり」にならない厄介さ

竹が嫌がられる理由は、地上に見える茎を切るだけでは済まない点にもあります。地下に残った地下茎から再び芽が出ることがあり、撤去には掘り取りや、その後の確認が必要になります。RHS Advice

片付けたはずなのに、また出てくる。見えている部分を処理しても、見えない所で広がっている。こうした性質が、竹を「育てたい植物」から「駆除したい相手」へ変えてしまいます。

また、RHSは、竹が舗装などに被害を与えた事例や、既存の隙間・ひび割れに入り込む可能性も紹介しています。ただし、健全な基礎を竹が突き破るという説明ではありません。被害の可能性を考える際にも、実際の状態を見極める必要があります。RHS Advice

住宅の庭では、美しさと同時に「この先も管理できるか」が問われます。地下で勝手に広がる植物は、その点で厳しく評価されやすい存在なのです。

ススキは、イギリスでも秋の庭を彩る植物

ここで、竹と分けて考えたいのがススキです。

ススキの学名は「Miscanthus sinensis」。RHSはススキ属の植物を、葉の姿や晩夏の穂、冬まで続く見どころを楽しめる園芸植物として紹介しています。複数のススキの園芸品種には、優れた園芸植物に与えられる賞も付いています。rhs.org.uk

つまり、日本でお月見を彩るススキは、イギリスでは花壇や庭の景観を彩る植物でもあるのです。

庭の広さに合わない大きな株や、手入れされずに邪魔になった植物が嫌がられることはあるでしょう。しかし、「イギリスではススキも害虫同然」とまで言うと、実際の園芸での扱いとは合いません。

なお、イギリスで強く警戒される日本由来の植物には、ジャパニーズ・ノットウィード、つまりイタドリがあります。これは竹ともススキとも別の植物です。イングランドの政府案内では、敷地外への拡散防止や処分について注意事項が示されています。GOV.UK

日本でも、放置された竹は問題になる

日本には竹を好意的に見る文化がありますが、管理されていない竹林まで歓迎されているわけではありません。

林野庁も、竹材やタケノコの生産の減少に触れ、竹林の拡大によって森林の公益的な働きに支障が出ることを懸念しています。日本でも、竹の広がりは管理上の問題になっているのです。rinya.maff.go.jp

こうして見ると、日本とイギリスの違いを、単純な好き嫌いだけで説明するのは難しそうです。文化的な思い出と結び付いた植物を見るのか、実際に自分の土地へ広がってきた植物に対応するのか。その立場の違いも、評価を大きく変えると考えられます。

「風情がある」の先まで考えて植える

イギリスの庭で竹を楽しむ方法はあります。RHSは、株立ちするタイプを選ぶことや、鉢植え、地下茎を抑えるバリアの利用などを紹介しています。RHS Advice

植える前に、その植物がどこまで大きくなり、どのように広がるのかを知る。それは庭の見た目と同じくらい大切です。

竹が風に揺れる音を楽しむ人の隣で、誰かがその地下茎を掘り出しているかもしれません。「風情がある」という感想だけでは、片付ける側の苦労までは見えません。

美しい植物として楽しみ続けるには、隣の庭にまでその管理を押し付けないこと。その境界を越えたとき、竹は風景の一部から、害虫並みに厄介な存在へと変わってしまうのです。

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