イギリスに長く住んでいると、権利の主張が日常的であることに驚かされます。「権利?そんなの日本でも聞いたことあるよ!」と思うかもしれませんが、イギリスではその「権利」が、日本以上にしっかり生活に根付いているのです。逆に日本では、権利の話題が上がると、「それで…本当に主張するの?」という空気が流れがち。これが日本人の「泣き寝入り」の多さにもつながっているかもしれませんね。
例えば、「権利」と言われてイギリス人がまず思い浮かべるのは「人権」です。そう、人として当たり前に持つ権利。健常者だろうが障害を持っていようが、性同一性が異なろうが、全ての人に平等に与えられるべき権利です。イギリス人にとって、人権というのは「人が生まれた瞬間に発生するもの」。赤ちゃんの泣き声が響いた瞬間、すでに「この子には人権があるぞ!」と、社会全体が意識し始めます。
では、日本ではどうでしょう?「周りに迷惑をかけたくないから」と遠慮してしまい、自分の違いを隠してしまう人も多いのではないでしょうか?イギリスではそんなことはあまり気にしません。「違ってもいいじゃないか!」という考えがベースにあるからです。イギリス人にとっては、「自分のことは自分で守るし、あなたのこともちゃんと尊重するよ」というスタンスが基本。引け目を感じて自分を小さくすることは「ちょっともったいない」と見なされるんですね。
労働者の権利:イギリスでは「立場」より「中身」重視
さて、イギリス人が重んじるもう一つの権利に「労働者としての権利」があります。ここが日本と大きく違うポイントです。日本では、雇う側が「上」で、雇われる側が「下」という、無言の了解があるように感じられます。しかし、イギリスでは少し違います。イギリスではどちらかといえば、「能力があればどこまでも上に行ける!」という風潮が強いのです。
イギリスには階級制度が歴史的に根付いており、一般的に「上流階級=成功者」のイメージが今も少し残っています。でも、現代においては上流階級出身でなくても、ポット出の新人がトップに上り詰めることが実際に起きています。時には、会社の創業者が「天下を取った!」と思っても、アイデア豊富な新参社員がいつの間にかそのポジションに収まることさえあります。この「上に行ける自由」がイギリス人にとっては「権利」であり、「信じて努力すれば自分もいつかは!」という考えを後押しするのです。
この柔軟な労働観の背景には、「立場よりも中身を重視する」というイギリスならではの考え方があるように思います。頭が良いとか悪いとかはあまり関係なく、「現場で機転がきかせられるかどうか」が評価ポイント。日本のように、年齢や経験年数で上下が決まるのではなく、「その人が持つ能力や姿勢」がポイントなのです。だから、入社して3年目の若者がある日いきなり「あなた次のプロジェクトのリーダーね」と抜擢されることも珍しくありません。
イギリス人が求める「対等な立場」
イギリス人の権利意識には、もう一つ面白い特徴があります。それは「対等な立場」を重んじること。イギリスでは、役職に関係なく誰もが「一人の人間」として認められる傾向が強く、上司であっても「Hey, ジョン!」とフレンドリーに呼び合ったりします。この文化は、上司と部下の関係にも表れていて、日本のように「上司には絶対服従」ということはほとんどありません。あくまで「仕事をする仲間」という意識が強いのです。
たとえば、会議で上司が「いやー、これはどう解決したものか…」とつぶやいたら、若手社員が「じゃあ、こうしてみたらどうですか?」とあっさり提案することがごく普通です。逆に、上司も「それいいね!やってみよう!」とすぐに応じることも多い。日本だと「上司が言うまで黙っている」ことが求められがちですが、イギリスではむしろ自分の意見を言わないと「何も考えていないのか?」と心配されることもあります。
権利の文化が生む「自由な発想」
イギリスでは、権利を大切にすることで、個々の自由な発想が生まれやすい土壌が整っています。イギリスの学校教育も、個性を尊重することを重視しています。例えば、学校では「みんながやっているから自分もやる」ではなく、「自分がやりたいからやる」ということを子供たちに教えます。こうした教育環境で育ったイギリス人は、やはり「自分はこうしたい!」という意識が強く、自由な発想を持ちやすくなるわけです。
このような文化が企業にも浸透し、「他と違ってもいい、違っていることがむしろ価値だ」という風潮が作り出されています。だからこそ、「周りに合わせることが美徳」とされがちな日本とは少し違い、イギリス人は自分の権利や意見をしっかり持ち続けるのです。そして、それが最終的には新しいアイデアや社会的な進展にもつながっていくのです。
まとめると、イギリスにおいて「権利」というのは「人として、労働者として、個人として」しっかりと守られるべきもの。日本でも「権利」は存在しますが、イギリスのように「まず自分の権利を知って、それをきちんと主張する」姿勢があるかどうかが大きな違いかもしれません。日本でもこうした「権利の主張」をもう少し自由にできる文化が広がれば、もっと個々の力が発揮できる社会が生まれるかもしれませんね。
以上、イギリスと日本の「権利文化」の比較でした。日本でも少しずつこうしたイギリス流の権利意識が浸透すれば、未来はさらに明るいかもしれません。
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