イギリス観光の謎:“美しいのに誰も行きたがらない”国の秘密

イギリス。歴史と伝統に彩られた国。壮大な古城、美しい田園風景、ロンドンの華やかな街並み。なのに、どうして観光地としてヨーロッパの中であまり注目されないのか?

フランスのパリには年間約3,000万人もの観光客が訪れるが、ロンドンはその半分程度。イタリアやスペインに比べると、イギリスは「観光目的地」としての魅力において大きく後れを取っているのが現実だ。

なぜなのか?その理由を考えてみよう。

1. 天気が圧倒的に悪い

まず最初に思い浮かぶのが「天気」だろう。ロンドンは「霧の街」と呼ばれて久しいが、実際には霧よりもしとしと降り続ける雨とどんより曇った空が問題だ。太陽が顔を出すことはほぼ奇跡。雨が降っていない日は「ラッキー」、晴れた日は「何かの間違い」レベルである。

誰が好き好んで、寒くて暗い、雨がちな国に旅行するだろうか?

例えばスペインでは、青空の下でサングリアを飲みながらのんびり過ごせる。フランスでは、セーヌ川沿いでエッフェル塔を眺めながらカフェに座るのが絵になる。イタリアでは、地中海の陽光を浴びながらジェラートを頬張ることができる。

一方、イギリスでは?

傘を差しながら、冷たい風に震えつつ、パブの外でビールを飲むのがデフォルトだ。天候がもたらす「ヨーロッパの夢」との乖離は激しい。

2. イギリス料理は“罰ゲーム”レベル

次に問題になるのが食文化だ。

イタリアのピザやパスタ、フランスのクロワッサンやワイン、スペインのパエリアとタパス。どれも魅力的で旅行者の心をつかんで離さない。

では、イギリスは?

・フィッシュアンドチップス(油まみれ)
・ミートパイ(胃もたれ必至)
・ビーンズ・オン・トースト(えっ、缶詰の豆をトーストに乗せただけ?)

「食は旅の楽しみ」という世界の常識に対して、イギリスは「食は忍耐」と言わんばかりの挑戦を突きつけてくる。

確かにロンドンには高級レストランもある。しかし、それは「お金があれば何とかなる」という話であって、「イギリス料理が美味しい」という話ではない。

3. 物価が高すぎる

ロンドンに行った旅行者が必ず口にするのが、「とにかく物価が高い!」という感想だ。

・パブでビール一杯=約1,000円
・地下鉄1回乗車=約500円
・ホテルの朝食=「無料」ではなく「別料金」

これに加えて、サービスは「悪い」とまでは言わないが、フレンドリーではない。フランスのカフェ文化のように「居心地がいい場所」というわけでもない。

結局、「高いお金を払ってまで行く価値があるか?」と問われると、よほどのイギリス好きでない限り「他の国でいいか…」となるのは仕方がない。

4. 人々の冷たさ

イギリス人は紳士的?

確かにマナーはあるかもしれないが、それは「丁寧に距離を置く」ということでもある。

例えば、イタリアでは「観光客?ようこそ!」と陽気に迎えられ、スペインでは「お祭り好き」の国民性が楽しめる。フランスでは「ちょっと気取っているが、それもまた文化」という魅力がある。

しかし、イギリスでは?

「お前、何しに来たんだ?」という無言の圧を感じることもしばしば。サービス業でさえ「俺は最低限のことしかしないけど、それで?」という雰囲気が漂う。

5. ライバル国が強すぎる

単純に、ヨーロッパには観光に最適な国が多すぎるのも問題だ。

・フランス→おしゃれ、グルメ、歴史
・イタリア→絶景、美食、陽気な人々
・スペイン→ビーチ、祭り、アート
・ドイツ→ビール、クリスマスマーケット、精密な歴史文化

この中で、イギリスがアピールできるものは何か?

「歴史」?
→フランス、イタリア、ドイツにもある。

「パブ文化」?
→でも物価が高いし、他の国でも美味しいお酒は飲める。

「ロンドンの多様性」?
→ニューヨークやパリでも楽しめる。

どうしても「イギリスならではの魅力」が他国と比べて霞んでしまう。

まとめ:なぜイギリスに行くのか?

ここまでイギリス観光の厳しい現実を語ってきたが、それでもイギリスには他にない魅力もある。

・歴史的建造物やハリーポッターの聖地巡礼
・独特のブラックユーモア
・ロイヤルファミリー関連のスポット巡り
・パンク発祥の地としてのカウンターカルチャー

つまり、イギリスは「万人向けの観光地」ではないが、特定の文化や歴史に興味がある人にとっては最高の国なのだ。

「陽気なヨーロッパ旅行」を求めるなら、スペインやイタリアへ。
「優雅なカフェ文化」を楽しみたいなら、フランスへ。

そして、「皮肉と紅茶と雨が好きなら、イギリスへ。」

結局のところ、イギリスに行くかどうかは、あなたの趣味次第ということだ。

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