
イギリスは喫煙規制の先進国として知られており、たばこ産業をめぐる法律や社会的意識も日々変化しています。この記事では、現在イギリスで人気のあるたばこ銘柄や価格、購入時の年齢確認制度、喫煙者の割合、そして喫煙可能な場所に関する最新情報を総合的にまとめました。イギリスの喫煙事情を理解する上で欠かせない内容となっています。
1. イギリスで人気のあるタバコ銘柄と価格
イギリスにおけるタバコの価格は、世界でも高水準にあると言われています。これは税金の影響が大きく、政府は喫煙率を下げる目的でたばこに高い税を課しています。その中でも、手頃な価格の製品から高級志向の銘柄まで、様々なブランドが市場に流通しています。
◆ Mayfair Gold(メイフェア・ゴールド)
Mayfairは、日本たばこ産業(JTI)が展開しているブランドで、特に「Mayfair Gold」はコストパフォーマンスの高さから人気を集めています。最近では価格が80ペンス引き下げられ、最も安価な部類のたばことなっています。これは低価格志向の喫煙者層にとって非常に魅力的であり、学生や若年層を中心に需要が高まっています。
◆ Lambert & Butler Original Silver
こちらは伝統あるイギリス発のブランドで、20本入りで£14.95(約2,800円相当)。1日1箱を吸うと仮定すると、年間出費は約£5,456.75に上ります。中価格帯でありながら、吸いごたえや品質のバランスが取れているとして、中年層を中心に安定した支持を得ています。
◆ Marlboro Gold / Red(マールボロ)
世界的な知名度を誇るMarlboroは、イギリスでも根強い人気を持つブランドです。Gold(ライト)とRed(レギュラー)の両タイプが販売されており、価格は20本入りで£16.25。年間で約£5,931.25の支出となります。価格はやや高めながらも、「確かな品質とブランド価値」で選ぶ人も多くいます。
◆ Silk Cut Silver(シルクカット)
イギリス生まれのSilk Cutは、タールとニコチンの量を抑えた「ライト系」たばことして評価されています。Silk Cut Silverはその代表格で、価格は20本入りで£18.15と高級路線。1年間で£6,624.75を要することになります。特に健康意識の高い層や女性喫煙者に人気があります。
2. タバコ価格の上昇傾向
これらの価格は年々上昇しており、その要因は以下のようなものが挙げられます。
- たばこ税の引き上げ
イギリスでは、たばこ製品に高額な関税やVAT(付加価値税)がかけられており、年間を通じて徐々に増税が進められています。 - 製造・輸送コストの上昇
燃料費や物流コストの増加、また包装に関する法規制(プレーンパッケージ制度など)によって、企業の製造コストが上昇しています。 - 健康保護政策の強化
喫煙抑制の一環として価格を意図的に高く維持し、喫煙者数の減少を促進しています。
今後も、たばこの価格はインフレや政策的な要因によって上昇し続けると予想されています。
3. タバコ購入時の年齢確認制度
イギリスでは、たばこの購入に関して厳格な年齢確認制度が導入されています。18歳未満への販売は法律で禁止されており、販売者には購入者の年齢確認義務があります。
◆ 使用可能な身分証明書
- 有効なパスポート(イギリスまたは他国発行のもの)
- 運転免許証(英国またはEU発行)
- 「PASS」ロゴ付き年齢確認カード(CitizenCard、Young Scotカードなど)
「No ID, No Sale(IDなしでは販売しない)」という方針が全国的に徹底されており、スーパー、コンビニ、たばこ専門店など全ての小売店でこのルールが適用されます。
◆ オンライン購入の規制
オンラインでのたばこ購入でも年齢確認が必要であり、身分証明書のアップロードやビデオ認証などの方法で本人確認を行います。これにより未成年者によるインターネットでの不正購入も防止されています。
4. 喫煙者の割合とその変化
イギリス政府は「スモークフリー社会(喫煙率5%以下)」を目指しており、その取り組みは一定の成果を上げています。
◆ 喫煙者の全体割合
2023年の統計によると、イングランドにおける成人喫煙者の割合は11.6%にまで減少しました。これは過去数十年間にわたる継続的な禁煙支援政策と教育の成果と言えるでしょう。
◆ 非日常的喫煙者の増加
一方で、「毎日吸わないが、たまに喫煙する」という非日常的喫煙者の割合は増加傾向にあります。2006年~2013年までは平均10.5%でしたが、2024年には27.2%まで上昇しました。特に若年層や電子タバコ(Vape)利用者にこの傾向が強く、従来の「ヘビースモーカー」から、「ライトスモーカー」や「嗜好型喫煙者」への移行が進んでいることを示しています。
5. 喫煙可能な場所とその規制
◆ 公共の場での喫煙禁止
2007年に施行された健康法(Health Act 2006)により、イギリスでは多くの屋内公共施設での喫煙が禁止されています。対象には以下が含まれます。
- パブやバー
- レストラン、カフェ
- 職場(オフィス・工場など)
- 公共交通機関(バス、電車、地下鉄など)
この法律は、喫煙者のみならず受動喫煙の被害を防ぐことも目的としています。
◆ ホテルでの喫煙
一部のホテルでは喫煙可能な客室が設けられていることがありますが、全面禁煙の施設も多いため、事前の確認が必要です。
◆ 屋外での喫煙
屋外における喫煙は禁止されていませんが、以下のような場所では制限されていることがあります。
- 病院・学校の敷地内
- 鉄道駅のホーム
- 特定のイベント会場(音楽フェスなど)
- 子供が集まる公園やプレイグラウンド
ローカル自治体によって条例が設けられている場合もあるため、現地のルールを確認することが大切です。
6. 今後の見通しと社会的意識の変化
イギリスでは、2030年までに「喫煙ゼロ社会(スモークフリー)」を実現するという目標が掲げられています。そのため、以下のような動きが今後も加速することが予想されます。
- さらなるたばこ税の引き上げ
- 電子タバコへの規制強化
- 禁煙支援サービスの充実
- 若年層への教育・啓発活動の拡大
喫煙に対する社会の風当たりは強まっており、公共の場だけでなく家庭内でも「禁煙」が推奨されるようになっています。喫煙者にとっては厳しい時代とも言えますが、その一方で健康被害を未然に防ぐための前向きな取り組みとも捉えることができます。
まとめ
イギリスにおけるたばこ事情は、価格、規制、社会意識の全ての面で大きく変化しています。価格は年々上昇し、購入には厳格な年齢確認が必要となり、喫煙可能な場所も限られています。その一方で、喫煙者の割合は減少し、社会全体が「脱喫煙」へと進んでいるのです。
旅行者や在住者を問わず、イギリスでたばこを吸う場合には、こうした背景をよく理解し、マナーと法律を守って行動することが求められます。
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