
1. イギリスにもビーチがある!でも泳げるの?
まず、「イギリスといえば海じゃないでしょ?」と感じるかもしれませんが、実はイギリス各地には本当に美しいビーチがたくさんあります。長い海岸線と変化に富んだ地形が魅力で、南部のコーンウォール地方や南西イングランド、北部のスコットランドや北アイルランドまで、様々なビーチが存在します。観光地としても人気で、夏のピーク時には多くの人が訪れます。
ただ、泳げるかどうかは「水質」と「気候」の2つの問題があります。
水質:最近、下水道の老朽化や農業・工業排水による汚染が進んでおり、一定以上の水質ではないビーチが増えつつあります。
気候:イギリスは日本に比べて気温が低く、夏でも水温は16〜18℃程度が普通です。冷水に慣れていれば泳げますが、寒がりには厳しい温度でもあります。
結論:美しいビーチはたくさんあるけれど、安全に泳ぐには水質情報を確認し、身体も冷たくならない対策が必要ということです。
2. 水質汚染が進行中!遊泳禁止のエリアも
最近、特に問題になっているのは「汚染による泳げないビーチの増加」です。
- “Do not swim” 警告が40か所以上!
直近週末、イギリス国内で「泳がないで!」という警告が出されているビーチが、40か所以上も報告されましたThe Sun。原因は主に細菌の大量発生で、ヒーチャム・ビーチやカラコーツ湾などが繰り返し汚染されており、特にハンプシャー州ヒルヘッドでは下水道の破損による影響が顕著です。 - 2024年には「Poor(最低水準)」のビーチが37か所に
英国の指定ビーチ(Englandで451か所)のうち、2024年に「Poor(最低基準に達していない水質)」と分類された場所が37か所に上り、前年(18か所)の約2倍になりましたThe Times+5The Guardian+5Dover District Council+5。特に河川や河口の汚染が深刻で、観光地として知られるウォラシーや、タイネマス、ブラドフォード、ブライトンなどでも警告が出ています。 - PFAS(永遠の化学物質)汚染も広がる
イングランド内の河川や湖、池でPFAS(いわゆる「永遠化学物質」)が法定基準を大きく超えて検出されており、110箇所中92%が提案基準を超過とかなり汚染が進んでいますThe Guardian+1Reuters+1。これは発がん性やホルモン障害の原因となりうるため、海だけでなく淡水域で泳ぐ人にとっても警戒すべき問題です。 - 下水道(Combined Sewer Overflow=CSO)による汚染
ビクトリア時代に造られた合流式下水道が現代の人口や気候変動に対応しきれず、ふだんは下水処理されない雨水+下水がそのまま海へ流れ込むCSO(combined sewer overflow)が頻発しています。2024年には4.7 百万時間以上汚水が海に流されたという驚愕の統計もThe Times+1Reuters+1。これは、整備不足や未投資の問題に起因する大規模な汚染です。
結果として、英国人の健康被害(胃腸炎など)や犬の体調不良まで報告されており、見た目がキレイでも潜在的に危険な水質汚染が存在しています。
3. 水質改善のための取り組み
とはいえ、すべてが暗い話ではありません。政府やNGO、地域コミュニティによる対策が進んでいます。
- 政府のWater Actによる強化措置
2025年5月からバスィングウォーター規制が一部改正され、「泳ぐ人(bather)」の定義にサーファー、パドルボーダーなどが含まれるようになり、年中モニタリングや複数地点での検査が可能になるなど、法改正と監視強化が進行中ですGOV.UK。 - 年間モニタリングへの動き
従来は5月〜9月の“バスィングシーズン”に限定されていた水質検査が、冬期もモニタリングできるようになる方向です。EA内部の調査では、例えばウィスタブルなど、夏に「Excellent」だったビーチでも冬場にはE.coli値が急上昇する傾向が報告され、年中の安全確認が必要とされていますGOV.UK+4unearthed.greenpeace.org+4Dover District Council+4。 - インフラ投資と規制強化
英国内では下水道インフラの更新や、排出水会社(Thames, Severn Trentなど)への罰則や罰金が強化されています。2024年にはThames Waterに対し£1.23億の罰金、Ofwatの取り締まり強化が行われ、投資回帰への流れも生まれています。 - 一般市民・NGOの活動
“Two‑Minute Beach Clean” や Surfers Against Sewage, Rivers Trustなどがビーチ清掃、リアルタイムの汚染アラートアプリの配信、署名活動などを行い、政府や企業に対し監視の目と圧力を与えていますThe Times。
4. 今、泳ぐなら?安全なビーチの見極め方
以上を踏まえ、「泳げるビーチはどこか?」という問いに答えるなら、
- Swimfo や Safer Seas and Rivers Service(SSRS)アプリで事前確認
EAやNGOがリアルタイムで汚染情報や警告を出しています。雨の多い翌日や潮位変動時はリスクが高くなり、特に漁港近くは注意。 - 「Excellent/Good」の指定ビーチを狙う
2024年には指定ビーチの約64%がExcellent、91.8%が最低基準をクリアしていますwired-gov.net+3The Times+3the-independent.com+3researchbriefings.files.parliament.uk+1Environment Agency Blog+1。ただし、新しく指定されたスポットはPoor評価の例もあるため注意。最新分類は常に確認を。 - 淡水ではさらに慎重に
川や湖(専門の英語では“open water”)は淡水ゆえに塩水より消毒効果がなく、農業・動物排水の影響も大きく、53%しか最低基準クリアできていません。泳ぐ際は専門サイトや地元ガイドを活用しましょう。 - 泳いだ後は自己管理を忘れずに
泳いだ後は身体をよく洗い、特に耳・目・喉に異常があれば早めに医療機関(GP)へ。夏は体温差による体調不良にも気をつけてください。
5. ビーチの水質改善、そしてこれから
今年(2025年)は大きな転機。規制改正、年中モニタリング強化、規制強化、アプリの普及と、水質の「見える化」と規制・インフラの改善が進んでいます。
一方で、2024年には37か所の低評価ビーチ、400万時間の下水放出、PFAS汚染の拡大など、汚染は依然深刻。とりわけ合流式下水道の問題は人口増と気候変動という構造的課題を抱えています。
しかし、市民、NGO、自治体、政府、企業が共同で解決に取り組む姿勢を見せており、未来は決して暗いだけではありません。今後10年〜20年かけてインフラ投資が進めば、日本同様に欧州平均レベルかそれ以上の水質改善が期待できます。
✅ まとめ:「泳げる」英国ビーチの条件
チェック項目 | 内容 |
---|---|
水質 | Swimfo/アプリで “good” 以上か確認 |
天気・潮・雨 | 特に短時間雨後は細菌増加の可能性大 |
淡水か海水か | 淡水は海水よりリスクが高い |
泳いだ後の手入れ | シャワー・洗浄・体調チェック必須 |
最新情報の確認 | 規制改正・汚染情報・現地看板を確認 |
最後に(私の視点)
イギリスのビーチは、日本とはまた違った大自然と文化を感じられる魅力が詰まっています。ですがその裏には、水質汚染によるリスクと、それを改善しようとする努力が交錯しているのが実情です。
泳ぐためには単なる「見た目の美しさ」や「水温」だけでなく、「水質のリアルタイム状況」と「自分の免疫力」も考慮する必要があります。でも、正しい情報を使い、少し気をつければ、今でも多くのビーチで安全に泳げます。
これから暑い夏が始まります。
もし遊びに行くなら、ぜひSwimfoやSSRSアプリをチェックしつつ、心地よく“英国らしい海”を楽しんでください🏖️
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