イギリスのYouTuber文化は衰退するのか

イギリスの国旗を背景に、パソコンとカメラの前で悩む表情のYouTuberを描いたイラスト。

イギリスにおけるYouTuberの存在は、近い将来、大きく衰退していく可能性があると感じている。現在、AIはさまざまな分野で活用されており、動画制作においても例外ではない。しかし、AIが生み出す意見は総じて無難で、核心を突かず、個性に欠ける。だからこそ現段階では、まだ人間が作る動画の方が「面白さ」を保っているといえる。


AIが生み出す動画の限界と今後の可能性

今後さらにAI技術が発達すれば、YouTube動画の制作がAI主体になる可能性は高い。実際、AIが自動で動画を生成する仕組みはすでに広まりつつある。しかし現時点では、AIには「主張を避け、意見を曖昧にまとめる」という傾向があり、視聴者の心に強く刺さる“癖”や“熱量”を生み出すことが困難である。

ただし、もしAIが強い主張や偏った視点を持つようになれば、その個性はむしろ人間が作る動画よりも新鮮で魅力的なコンテンツを生み出す可能性がある。その時、YouTube内の勢力図は根本から変わるだろう。


視聴者が求めているのは「知識」ではなく「刺激」

現代のSNS、特にTikTokに集まる視聴者は、「新しい知識を得たい」あるいは「趣味を広げたい」といった目的で動画を視聴しているわけではない。多くの人々は、ただ強い刺激を求めている。

かつては芸能人のチャンネルや趣味系コンテンツが人気を集めていた。しかし現在では、それらは目新しさを失い、より刺激性・刹那性の高いコンテンツが求められるようになっている。


なぜ過激な動画が再生されるのか

“普通に面白い動画”では人々は満足できなくなり、視線はさらに刺激の強い映像へと向かっている。

例として次のような内容の動画が挙げられる。

  • 交通事故の瞬間
  • 発砲事件の映像
  • 暴力行為が発生する場面

こうした動画は1日で1億再生を超えることすらある。一方、芸能人の日常系YouTube動画は3〜5万再生に留まることが多い。

これは、予想外の出来事を目にした際に、驚きやショックにより脳内でドーパミンが大量に分泌されるためである。人々は今、その“化学的刺激”を欲している。


イギリスで特に再生されるコンテンツの傾向

イギリスでは、以下のような「事件性・対立・衝突」を含む動画が特に再生されやすい。

  • 白人が黒人やアジア人に差別的言動をし、口論に発展する映像
  • ファストフード店で若者が外国人スタッフを罵倒する映像
  • 殺人事件の被害者・加害者の直前の監視カメラ映像
  • 交通事故の瞬間映像
  • 家庭内暴力が記録された映像

いずれも「刺激性」と「滅多に見られない稀少性」によって、極めて高い再生数を獲得している。


今後のYouTubeとコンテンツの未来

この傾向が続けば、YouTubeは今後、過激な事件性のある動画が中心を占めていくと考えられる。芸能人が食事や旅行をするだけの動画は、確実に需要を失っていくだろう。

観光地と提携したプロモーションなど、依頼型のコンテンツには一定の価値が残るかもしれない。しかし、ただ「地元のレストランを紹介しているだけ」の動画は、正直な評価ができない分“嘘っぽさ”が強く、視聴者にも不自然さが伝わってしまっている。


YouTuberが過激化し、暴走する可能性

現在のイギリスにも、違法行為を撮影して警察に通報する「犯罪摘発系YouTuber」や、企業の不正をドローンで撮影するタイプのチャンネルが存在する。しかし、これらは見ていて「いつか刺されるのではないか」と感じるほど危険と隣り合わせだ(半分以上はやらせだとは思うが)。

また、「自分にできないことに挑戦」する系のYouTuberが再生数のために過激化し、人に危害を加える映像が投稿される可能性も高い。すでに、学生同士のいじめ動画が投稿される事例も存在している。

この過激化の行き着く先として、暴行や性暴力、さらには殺人の瞬間を動画として投稿するような、逸脱したYouTuberが登場する可能性は否定できない。
「動画を投稿して、そのまま逮捕される」という一連の流れが、現実になるかもしれないと想像すると、非常に恐ろしい。

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