英国内での日本人の「常識」とは異なる現実

英国に住む日本人の間でしばしば聞かれる誤解があります。それは、「12歳以下の子供を一人で通学させたり、留守番させることは違法である」というものです。この誤解は、英国に滞在している日本人が他の日本人に対して、「12歳以下の子供を一人にするのは違法ですから気を付けてください」といったアドバイスをする際によく見受けられます。しかし、これは厳密には正しくありません。 英国の法律とガイドライン まず、英国の法律では、12歳以下の子供を一人で通学させたり留守番させること自体を違法とする規定は存在しません。実際、英国政府の公式ガイドラインには、「12歳以下の子供を一人で出歩かせることは推奨されないが、最終的には親の判断に委ねられる」と明記されています。つまり、法律違反ではないが、親としての責任を果たすために慎重に判断することが求められているのです。 子供の安全を考える英国社会 それでは、なぜ英国では子供が一人で通学する姿をほとんど見かけないのでしょうか? その背景には、英国社会が子供の安全に対して非常に敏感であるという事実があります。例えば、子供の誘拐事件や変質者による事件が英国では一定数発生しており、これが親たちの慎重な行動を促しています。2023年には998件の子供の誘拐事件が報告されており、これは2020年の983件や2019年の1,145件と比較して若干の増加を示していますが、パンデミック前の水準よりはまだ低い状況です。それでも、日本と比較すると、こうした事件の発生率は非常に高く、英国の親たちは子供を一人にすることに対して強い警戒心を抱いているのです。 家庭内でのリスクと法的責任 また、子供を家に一人で留守番させることにもリスクがあります。もし、親がいない間に子供がケガをしたり、危険な行為に及んだりした場合、親はネグレクト(育児放棄)とみなされる可能性があります。例えば、子供が一人で刃物を扱ってケガをしたり、料理中に火傷を負ったりした場合、親が逮捕されるケースや、子供がソーシャルサービスに保護されるケースも実際に起こっています。英国では、子供の安全を最優先に考える社会的な背景があり、親が子供を一人にしてしまうことが、場合によっては重大な結果を招くことになります。このため、「法律で許されているから問題ない」と考えるのは、非常に危険な誤解です。 文化の違いを理解する重要性 英国で子育てをする日本人にとって、こうした文化や法的な背景を理解することは非常に重要です。日本では、子供が比較的早い年齢から一人で行動することが一般的であり、地域社会全体で子供を見守る風土が根付いています。しかし、英国ではそのような地域社会のサポートが同じ程度に存在しないことが多く、親が自らの判断で子供を守る必要があります。特に、日本から英国に移住したばかりの家庭にとって、これらの違いを理解しないまま日本と同じ感覚で子育てをしてしまうと、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性が高まります。そのため、現地の文化や法律をしっかりと理解し、適切な対応を心がけることが求められます。 実際の事例から学ぶ 例えば、ある日本人家庭では、親が仕事で家を空ける際に、10歳の子供を一人で留守番させていたところ、近隣住民が心配して通報し、ソーシャルサービスが介入する事態となりました。このようなケースでは、親が子供を一人にすることのリスクを十分に理解していなかったことが問題となりました。一方で、別の家庭では、近隣の英国人家庭と良好な関係を築き、互いに子供を見守り合う体制を整えることで、安心して仕事に出かけることができるようになりました。これは、現地の文化に適応しながらも、自分たちの価値観を尊重する方法として成功した例です。 最後に 英国で子育てをする際には、日本と同じ感覚では通用しない部分が多々あります。特に子供の安全に関する問題は、親として慎重に対応する必要があります。「法律で許されている」という理由だけで行動を決定するのではなく、現地の文化や社会的な背景を理解し、自分たちの子供を守るための最善の方法を考えることが大切です。 そして、何よりも重要なのは、親自身が常に子供の安全と幸福を最優先に考え、適切な判断を下すことです。英国での子育ては、日本とは異なる挑戦が多いかもしれませんが、その分、子供と一緒に成長していく貴重な機会ともなり得るでしょう。

英国の世界的な地位とその根拠

はじめに 英国(イギリス)は、長い歴史と多様な文化、そして重要な国際的役割を持つ国です。ヨーロッパの北西部に位置し、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランドの4つの地域で構成されています。英国の世界的な地位は、政治、経済、文化、軍事の各分野での影響力によって支えられています。本記事では、英国の世界的な地位とその根拠について詳述します。 歴史的背景 英国の世界的な地位の根底には、その豊かな歴史があります。16世紀から19世紀にかけて、大英帝国は世界中に植民地を築き、最大の帝国の一つとなりました。これにより、英語は世界共通語となり、英国の文化、法律、教育制度が広範囲に影響を与えるようになりました。特に、インド、アフリカ、中東、カリブ海、そしてアメリカ大陸における影響は大きく、これらの地域での現代の制度や文化に多大な影響を与えています。 政治的影響力 英国は、国際連合安全保障理事会の常任理事国の一つであり、この地位は第二次世界大戦後に確立されました。常任理事国として、英国は国際的な平和と安全の維持に重要な役割を果たしており、国際的な紛争や問題に対して強い発言力を持っています。 さらに、英国は欧州連合(EU)のメンバーであった期間(1973年から2020年)においても、欧州政治の重要なプレーヤーとしての地位を築いてきました。ブレグジット後も、欧州やその他の地域との外交関係を強化し、国際的な協力を推進しています。 また、英国は北大西洋条約機構(NATO)の創設メンバーであり、NATOを通じて北大西洋地域の防衛と安全保障に大きく貢献しています。このように、英国は国際的な安全保障において重要な役割を果たし続けています。 経済的影響力 英国の経済は世界第六位の規模を誇り、ロンドンは世界の金融センターの一つとして知られています。ロンドン証券取引所は世界で最も重要な証券取引所の一つであり、多くの国際的な企業や金融機関がここに本拠を置いています。また、シティ・オブ・ロンドンはグローバルな金融サービスの中心地であり、銀行業、保険業、投資業務などの分野で世界的な影響力を持っています。 英国の経済は多様であり、製造業、サービス業、農業などさまざまな分野で発展しています。特に、創造産業(クリエイティブ・インダストリー)やテクノロジー産業は急速に成長しており、国際競争力を高めています。英国政府はイノベーションと研究開発を推進し、これにより経済成長を促進しています。 文化的影響力 英国は、文化的にも非常に豊かで、文学、音楽、映画、演劇、ファッションなどの分野で世界的に重要な位置を占めています。シェイクスピアやチャールズ・ディケンズなどの偉大な作家たちの作品は、世界中で愛読されています。さらに、現代の作家やアーティストも国際的に高い評価を受けています。 音楽においても、英国はビートルズやローリング・ストーンズなどの伝説的なバンドを輩出しており、現代のポップミュージックやロックの発展に大きな影響を与えました。また、ロンドンは世界的な演劇の中心地の一つであり、ウェストエンドはブロードウェイと並ぶ主要な劇場街として知られています。 映画産業においても、英国は多くの名作を生み出しており、ハリウッドとの共同制作や英国独自の映画制作も活発です。特に、ジェームズ・ボンドシリーズやハリー・ポッターシリーズなどは世界的な人気を誇っています。 教育と科学技術 英国の教育制度は高い評価を受けており、オックスフォード大学やケンブリッジ大学などの名門大学は世界中から優秀な学生を集めています。これらの大学は、数多くのノーベル賞受賞者や著名な研究者を輩出しており、教育と研究の分野で世界的に重要な役割を果たしています。 また、英国は科学技術の分野でも多くの革新を生み出してきました。産業革命の発祥地であり、19世紀には蒸気機関や鉄道の発展により、世界の産業構造を大きく変えました。現代においても、医療技術、情報技術、エネルギー技術などの分野で多くの研究開発が行われており、国際的な科学技術の進歩に貢献しています。 軍事力 英国の軍事力もその国際的地位を支える重要な要素です。英国の軍隊は、高度に訓練されたプロフェッショナルな部隊であり、陸軍、海軍、空軍の各部門で強力な戦力を持っています。特に、英国海軍は歴史的に世界最強の海軍の一つとされ、その伝統は現在も続いています。 英国は、国際的な平和維持活動や人道的支援活動にも積極的に参加しており、国連やNATOを通じてさまざまな地域での紛争解決や災害支援に貢献しています。また、核兵器保有国として、核抑止力を通じて国際的な安全保障において重要な役割を果たしています。 結論 英国の世界的な地位は、その豊かな歴史、強力な経済、幅広い文化的影響力、高い教育水準、先進的な科学技術、そして強力な軍事力によって支えられています。これらの要素が組み合わさり、英国は国際社会において重要な役割を果たし続けています。 今後も、英国はその多様な影響力を活用し、国際的な課題に対して積極的に取り組んでいくことでしょう。国際社会の中での英国の位置づけは、これからも進化し続けると予想されますが、その基本的な強みは変わらず、世界に対して大きな影響を与え続けるでしょう。

故サラ・エヴァラードさんが話題になる理由

若い女性が誘拐され殺害される事件 ロンドン南西部の町クラプハムに住む33歳のイギリス人女性サラ・エヴァラードさんが殺害されるという事件が発生しました。3月3日夜の9時ごろ友人宅をあとにしたエヴァラードさんは9時30分に一般家庭で取りつけているインターフォンのカメラに写っていたのを最後に行方がわからなくなっていました。1週間後エヴァラードさんの住む町クラプハムから90キロ離れたケント州の森林で遺体が発見されました。数日後、容疑者として逮捕されたのはケント州に住む警察官のウエイン・コーゼンズ(48歳)でした。 各地でおこるデモ エヴァラードさんが国民を危険から守るはずの警察に殺害されたということで女性中心のなったデモが起こっています。警察という国家権力が起こした事件をイギリス人が見過ごすはずがありません警察という立場を利用して、エヴァラードさんに近付き、殺したのかどうかは定かではありません。逮捕された犯人の公判は今も続いています。 確かにおぞましい事件ではあるが、少し騒ぎすぎではないか? 確かに警察官が一般市民を殺害するというショッキングな事件ではありますが、警察官も人間です。精神的におかしくなってしまうひともいれば間違いをおかしてしまうひともいます。イギリス人が騒いでいるのは本当の理由はそこではなく、もっと根深いところにあるのではないかと思っています。 黒人差別批判に対する白人の逆襲 少し前にアメリカで警察官が黒人を射殺する事件があり、そのあと世界各地で抗議デモが起きました。イギリスでもロンドンをはじめいろいろところでデモが行われました。差別に虐げられてきたマイノリティがデモやメディアをとおして白人のゆるぎなかった立場をおびやかしはじめました。今でもテレビなどでは人種差別をテーマにした特別番組が毎週のように放送されています。さらにここへきてヘンリー王子がイギリス王室での差別を告発したことにより、人種差別はコロナウィルスをぬき今いちばんの話題となっています。今回の白人女性が殺害された事件は、今まで差別にあっていなかった白人にとって世間に逆襲する場を与えたのです。白人女性が弱者の代表になれたのです。 マイノリティが被害者となってはじめて国が動く イギリスという国はつくづく白人社会だと痛感します。昨年6月にウェンブリーという町で若い黒人の姉妹が刺されて殺されるという事件がありました。しかし、この事件は地方のテレビ放送で一瞬取り上げられただけで、全国放送にすらなりませんでした。この違いはいったいなんなのでしょうか。サラ・エヴァラードさんという金髪で青い目をしたきれいな女性が殺害されたことが連日連夜放送され、新聞でも何日も一面を飾っています。過熱報道としか思えません。そうです、白人女性だったからここまで騒がれているのです。ジョンソン英首相も事件についてコメントをする始末です。メディアをはじめ多くの著名人は今後こういった事件が起きないように警察の数を増やすと言いだしました。イギリスは、これからもどんどん人種差別主義の色を強くしていくつもりでしょうか。

イギリス人にとっての「I love you」

「I love you」というフレーズですが、ただ単に「愛している」という意味ではあるのですが、使う相手によって意味が若干変わってきます。日本語の「愛している」というのも相手によって違うのと似ているのではないでしょうか。 いろいろなタイプの「I love you」がありますので、1つずつ解説していきます。 相手によって意味が大きく違う 親と子の間での「I love you」 まず親が子に対して言う、または子が親に対して言う「I love you」ですが、電話で会話をしたあと最後に「Love you」ということが多いですね。この場合は「I」を省略して「Love you」だけです。 恋人同士での「I love you」 恋人に対していう「I love you」は何かの記念日に花束を渡すタイミングで言ったりします。日本のカップルと同じで付き合いはじめの頃は頻繁に言うが、付き合いが長くなってくると義務的な感じになります。義務的な感じになりはしますが、言い続けることに意味があるのではないでしょうか。 友達以上、恋人未満のときの「I love you」 まだ付き合っていない相手に「I love you」を言うのは勝負に出るときですね。相手の気持ちがいまだにわからない、でも自分がその相手と付き合いたい、次のステップにすすみたいと思っているときに「I love you」を言うことが多いですね。まさに日本人の「付き合ってください」に相当する「I love you」ではないでしょうか。 夫婦間での「I love you」 夫婦間で使う「I love you」は親と子の間のものと、恋人同士のものを合わせた感じです。電話の会話の最後に「Love you」と必ず言いますし、結婚記念日や誕生日にプレゼントをあげたりするタイミングでも言ったりします。 「I love you」と「I like you」のちがいは? イギリス人は基本的に気持ちをストレートに言わないひとが多いですが、「I like you」は頻繁に使います。ただ、「I like you」に関してはとてもカジュアルで「友達として好き」という意味でもよく使われます。ですので「I like you」と言われても間に受けないほうがいいかもしれません。もし「I have feelings for you」と言ってきたら、友達としてではなく異性として気になっているということです。 女性からアプローチしても問題なし …
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イギリス人の典型的なお酒の飲み方

飲むときは飲むだけのスタイル みなさん他の国のひとがどんなお酒の飲み方をするか気になったことありませんか?私はとても気になるタイプの人間です。そこで、私の住むイギリスではどんなお酒の飲み方が主流というか当たり前なのでしょうか。イギリス人は飲むときはパブで、食べるときはレストランと使い分けているひとが多いようです。田舎のほうに行くとパブしかない町などがたくさんありますので、そういったところではパブで食事をします。 パブで飲むのが普通 まずは飲む場所です。みなさんもちろん家でも飲みますが、本格的に飲むのはやっぱりパブです。パブってよく聞きますけどバーみたいなお店のことでしょうか?日本やアメリカはバーと呼びますが、イギリスではパブと呼びます。パブ英語でPubはPublic Houseの略で16世紀にはじまった一般大衆向けに食事と飲み物を売っている建物が進化して現在のお酒を飲むパブになったと言われています。 パブでは何を飲めるのか? パブでよく飲まれている飲み物は、ビール、ワイン、シャンパン、ウィスキー、ブランデー、ウォッカなどでカクテル系はあまり見かけません。イギリスではカクテルを飲みたいときは、バーに行きます。 パブでは何がおつまみ? イギリスでは食べながら飲むという習慣があまりありません。飲むときは飲む。食べるときは食べるのが一般的です。おつまみが全くないわけではありません。ピーナッツ、ポテチのようなお菓子系のおつまみはどこのパブでもあります。その他にもフライドポテトなどをつまみに飲んでいるひともたまに見かけます。 パブは飲むだけの場所? パブはお酒を飲むだけの場所と勘違いしているひとがいるようですが、パブは食事をする場所でもあります。パブによっては食べるエリアと飲むエリアが分かれているところも多く、お酒を飲むだけのひとは食事をするエリアに入れなくなっています。お酒を飲むと声が少し大きくなるのはイギリス人も一緒なので、静かに食事したいひとの迷惑にならないようにエリアを分けているところが多いようです。パブの定番メニューといえばフィッシュアンドチップス、ソーセージアンドマッシュ、バーガーアンドチップスなどがあります。パブメニューに関してはこちらをご覧ください。 土曜日はカレーの日 イギリスの伝統的な土曜日のすごし方といえば、ディナーにカレーを食べることです。カレーといっても日本のカレーではなく、インドカレーです。インドはもともとイギリスの植民地だったためイギリスにはインド人がたくさんいます。その影響かいたるところにインド料理屋さんがあります。しかもとても美味しいです。そんなインドカレー好きの平均的なイギリス人の土曜日のスケジュールを簡単に説明します。 時間 行動 9:00 まだ爆睡中 10:00ごろ 起床 11:00 ぼーっとする 12:00ごろ ブランチ 13:00 休憩 14:00 自由行動、*軽い筋トレ、調子がいいときはスポーツジムで軽く汗を流す 15:00 16:00 17:00 パブに出発 17:20 パブに到着 17:30 パブで飲み始め、主にビール 18:00 ビール2杯目 18:30 ビール3杯目 19:30 インドカレー屋に移動 20:00 インドカレー屋に到着 20:15 注文 20:45 インドカレーがテーブルに到着 21:30 完食 22:00 帰宅 *一応健康に気をつかっているので、暴飲暴食前の運動は必須です。 日本人の飲み方とは違ったイギリス人の飲み方を理解していただけましたでしょうか。お酒の飲み方がマンネリしている方は一度ためしてみてはいかがでしょうか。少し違った酔い方をお楽しみいただけるかと思います。

アジア系のひとたちへの攻撃はいまでもあるのか?

ひと昔前、イギリスといえばアジア人が歩いていると「Yellow monkey」などと呼ばれ石をぶつけられたりした時代もありました。今はそんなバカなことをするイギリス人はさすがにいなくなったのではと思いきや、残念ながらいまでもいます。(昔よりは少なくなりましたが)おそらく根がレイシストなのでそんな簡単には変わらないのでしょう。その結果として「EU離脱」が起こったといっても過言ではありません。どういうことか説明します。イギリスの極右政党のUK Independence Partyが田舎に住むイギリス人労働者に生活が苦しいのは東ヨーロッパからきているひとたちに仕事を奪われているからだと東ヨーロッパ人を悪者に仕立て上げたのです。まともな教育を受けていない労働者たちは、これを信じ、多くの地方労働者はEU離脱に投票したのです。けしかけた政治家も悪いとは思いますが、もともとイギリス人の心のなかには東ヨーロッパ人に対して強い嫌悪感はあったのです。 「ヘイト・クライム」とは? ヘイト・クライムとは英語でHate Crimeと書かれるように、嫌いな人に対しての暴言や暴力行為のことです。ただ嫌いだから暴力をふるったのでは傷害罪となりますが、ヘイト・クライムは暴力をふるった理由が下記のようなものの場合をさします。 黒人だからとか、アジア人だからとかなどの人種のちがい 彼女は女性だから、彼はゲイだからなど性別のちがい 傷害者に対して 宗教の信者に対して 新型コロナウィルスがらみのヘイト・クライム オックスフォードストリートを歩いていたシンガポール人学生のジョナサン・モクさん(23歳)は突然イギリス人少年4人組に「I don’t want your coronavirus in my country. (コロナウィルスを持ち込むな!)」などと言われ顔を殴られるなどの暴行を受けました。これはイギリス国内でコロナウィルス感染拡大がはじまったばかりの1年前におきた事件です。1年前にイギリス国内でそんなに騒がれかといいますと、BBCやSky Newsなどの全国放送のニュースでとりあげられたのが1日だけで、それも1日中ではなく、夕方のニュースで一瞬とりあげられただけと記憶しています。イギリス人からすれば外国からきた学生が観光地で殴られたというだけのよくある話ですが、アジア人である私たちにとってはとてもショッキングなニュースだったのを覚えています。 ヘイト・クライムの増加率 イギリス国内のヘイト・クライムはイギリスのEU離脱への国民投票が行われた2016年6月をかわきりに増えはじめました。2016年、2017年は東ヨーロッパ人に対しての攻撃です。もちろんこれをきっかけに多くの東ヨーロッパ人がイギリスを立ち去る結果となりました。そして2020年のコロナパンデミックによりターゲットとされているのは中国をはじめとする東南アジア人です。ヘイト・クライムは増加傾向となっており、1度目のロックダウンが解除された昨年の7、8月の件数をみてみますと2019年にくらべ62%も増えています。 ロックダウンが解除されてからが危険 ロックダウン中のいまでもヘイト・クライムはおきています。最近ですと1月末にダービーにある大学病院で働くフィリピン人看護師アルダリオ・ジュニア・バラスコさんが患者に「中国人のクソ野郎!」と暴言をはかれるという事件がありました。今はまだひとが自由に出歩けない状態なので、ヘイト・クライムはそこまで目立っては発生してはいません。イギリスのメディアも中国の武漢での調査のニュースを日々放送していて、中国に対する不信感はどんどん強くなっています。ロックダウンが解除され人々が街やストリートに出てくるようになれば多くのアジア人が攻撃の的にされるものと思われます。 日本人だから大丈夫というのは通用しない たまに「自分は中国人じゃないから大丈夫だ」ということを言っているひとがいますが、それが通用するのは日本国内にいる場合です。イギリスに関していいますと、日本人、韓国人、中国人の区別ができるひとはほとんどいません。それどころか日本を中国の一部だと思っているひともいるぐらいです。もうすでにチケットを買ってしまったひとはしかたがないですが、海外への移動はコロナパンデミックが完全に終息し、人々がコロナウィルスを忘れてしまったころにすることをおすすめします。

イギリスにクレーマーはいない

クレームをする場面というのは日本であろうが海外であろうが必ずあります。購入した商品が不良品だった、レストランで注文したがなかなかでてこない、料理に虫がはいっていたなどなど。クレームなんて少し強い口調で文句をいえばいいだけだと思っているあなたはイギリスではクレーマーとしてあつかわれて相手にもされないでしょう。おそらく日本でもクレーマーとしてあつかわれているのではないでしょうか。 言語力の問題だけではない この話をすると日本の友達から「英語力の問題ではないのか」と聞かれます。では英語ペラペラのひとがクレームをして一瞬で解決するなんてことはありません。逆に英語が上手すぎるために解決するどころか問題がさらに大きくなってしまったというケースも少なくありません。伝えたいことを伝えられる言語力というのはクレームには必要ないのです。 英語があまり上手でないほうがいい 英語があまり上手でないひとは伝えたいことを相手に伝えようとがんばります。そして余計なことは言いません。というかそんな余裕がありません。だから話を聞いているほうはなんとかしてあげようとしてくれます。だから相手が問題の解決に協力してくれるのです。 大きな声を出して意見を通そうとするのはアメリカ人 前にアメリカにいったときレストランで大きな声でクレームしているひとを見かけたことがあります。テーブルを予約したのに予約されてなかったみたいなことだったと思います。私は一緒にいたアメリカ人の友人に「アメリカ人も日本人みたいに大声でクレームするんだ。」とボソッと言ったら、「アメリカ人はいつも大声でクレームする。クレームしなければ自分の意見は通らない。自分が正しいならそれを主張しないといけない。」と言っていたのを覚えています。 イギリスでは誰も大声を出さない イギリスではクレームするとき誰も大声を出しません。大声を出して感情的になっているひとは尊敬されるどころか、軽蔑さえされます。もし自分が100%正しいなら大声を出す必要はありません。相手が納得するようにたんたんと説明すればいいだけなのです。 アメリカと日本は似ている アメリカと日本は似ています。なにが似ているかというと考え方です。日本もアメリカも「お客様は神様」という考えがしみついています。だから、レストランなどで「すみませ~ん!」と手をあげて大きな声で店員さんを呼ぶ光景をよく目にします。いまはわかりませんが、少し昔は注文するとき指をならして店員さんを呼ぶひともいました。 イギリスは店員さんを呼ぶとき声をださない、手をあげない イギリスではレストランで店員さんを呼ぶとき声も出さないし、手もあげません。だまって目線をあげて店員さんと目が合うのを待つだけです。目が合うと店員さんが何もいわずに寄ってきます。なにが違うかというとイギリスは店員さんとお客さんが同等の立場です。店員さんも同じ人間でお客さんは食事をしてお金を支払うひと、店員さんはそれをサポートするひとでどちらが上だということはありません。だからといって横柄な態度をとる店員さんはいません。お互いに敬意をはらっているのです。 責任がないひとへ文句をいっていることに気づいていない クレームする相手は基本的にカスタマーサポートやカスタマーサービスで直接の責任がないひとたちです。商品が不良品だったのは商品をつくったひとや工場に責任があります。でも電話をかけてでるひとは別の部署のひとで商品をつくったひとでも開発したひとでもありません。そんなひと大声で文句をいってもお互いに気分が悪くなり疲れるだけです。だったら商品が不良品だったから返品なり、返金なり、交換をしてくださいで話は終わりです。 日本人は原因を追究する たまにクレームするひとが何でこんなミスをしたのかとかなんで商品が届かなかったのかなどはっきりとした原因を追究してくるひとがいますが、イギリスでそんなことを言ったらクレーマーとしてあつかわれてまともな対応をしてもらえなくなります。人がやっていることなんだからミスぐらいあるだろうというのがイギリスの考えです。原因を追究して2度と同じミスをしないようにするのは会社のなかで行うことで消費者がかかわることではありません。 イギリスでは仕事が原因でノイローゼになるひとは少ない イギリスでは日本のように仕事の悩みが原因でノイローゼになるひとはほとんどいません。自殺者の数もコロナパンデミックがはじまる前の2019年をみてみると5千人ちょっとで日本の自殺者の数の4分の1にすぎません。そのかわりイギリスではお酒やドラッグが原因で精神的におちこんだりするひとが日本より多いです。日本のように頭のおかしいクレーマーを相手にしてノイローゼになるよりはるかにマシではないでしょうか。 そんな国ではクレームというより一緒に解決する心 イギリスではクレーマーがあまりいないのでサービスを提供する側にとってはストレスフリーでいいが、消費者にとっては少し不便ではあります。サービスの質はこの10年でかなりよくはなりましたが、それでもとんでもない間違いがいまだによくあります。ただ消費者がそのたびに電話をしたり、メールを書いたりと手間と時間を要します。問題がおきたときは、けっして怒鳴ったり大きな声を出さず、たんたんと何がおきたのかを説明して一緒に解決しようという姿勢がとても大切ですし、最短で解決します。日本でも同じ方法で解決できそうな気がしませんか?

イギリス人は紅茶よりコーヒー好き

1日9500万杯のコーヒー イギリスでは毎日9500万杯のコーヒーが飲まれています。というかカフェで注文されています。6600万人という人口に対して9500万杯ということは一人あたり1杯以上飲んでいる計算になります。それほどイギリス人はコーヒー好きなのです。紅茶はどちらかというと家で飲む飲み物で、コーヒーはカフェで飲むものといった感じでしょうか。カフェで飲むコーヒーが間違いなくおいしいのに対して、カフェで飲む紅茶は家で飲むのと何も変わりありません。というのも家でもカフェでもまったく同じティーバックを使っているからです。1つ言っておきたいことはイギリス人が紅茶を飲まなくなっているわけではないということです。イギリス人の約33%は紅茶を1日3~4杯飲みますし、親戚同士などであつまったときは間違いなく紅茶がふるまわれます。そういった意味では日本人が飲む緑茶のような存在といえるのではないでしょうか。 イギリスで家庭用コーヒーメーカーがバカ売れ 新型コロナウィルスの感染拡大により多くのカフェが営業停止となってしまいました。ロンドンには2748件のカフェが存在します。ロックダウンは多くのイギリス人からおいしいコーヒー生活をうばってしまいました。カフェがやっていないなら家でおいしいコーヒーが作れればいいということでコーヒーメーカーの売り上げが昨年に比べ412%アップとなったのです。ちなみにコーヒーメーカーの売り上げには家庭用のエスプレッソマシンも含まれています。 イギリスで人気のコーヒーメーカーランキング 1位 AeroPress Coffee Maker £28 2位 Jura S8 Bean-to-Cup Coffee Machine £1,334 3位 Breville One-Touch VCF108 £219

イギリスで生活するための予備知識講座

日本人にとっての外国といえば 外国といって最初に想像する国といえばアメリカではないでしょうか。ハリウッドの映画、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、コカ・コーラなど私たち日本人は多くのアメリカ文化を生活のなかにとりいれてきたと言えるのではないでしょうか。しかし、わたしたちはイギリス文化についてほとんど知りません。知っているものといえば紅茶とフィッシュアンドチップスぐらいではないでしょうか。 イギリス文化とはなんなのか? ではイギリス文化といわれるものとは一体何なのでしょうか。イギリスの有名なものをざっとあげてみます。 ビートルズ 紅茶 ハリーポッター サッカー 2階建てバス 赤い電話ボックス ジェームスボンド(007) パブ ウィスキー ガーデニング こんなところでしょうか。上にあげたもので日本人の生活の一部として取り入れられているものは紅茶とサッカーぐらいではないでしょうか。 イギリスに行く理由 イギリス駐在 イギリスにある日系の会社、もしくはイギリスに支店を持っている会社は200社あるといいわれています。大手の日本の会社のほとんどはイギリス(ロンドン)に支店をもっているのではないでしょうか。多くの会社はイギリスのマーケットがねらいではなくヨーロッパでのビジネスを展開するためだといわれています。この度イギリスがEUを離脱したことにより拠点を移動する会社も今後はでてくるのではないでしょうか。 語学留学、大学 6,500人の日本の学生がイギリスで勉強しています。イギリスにはオックスフォードやケンブリッジをはじめ世界的に有名な大学がたくさんあります。また、ビジネススクールにMBA(経営学修士)を取得しにいくひともいます。イギリスといえば英語。英語の勉強をしにいくひともいます。 ワーキングホリデー 2001年にワーキングホリデービザがはじまり毎年1,000人の日本人がイギリスにわたっています。2年という期間限定ではありますが、イギリスという環境で仕事をしたり勉強をしたりしています。以前は英語の論文と英語での面接があり審査にとったひとだけビザがもらえていましたが、いまは抽選にあたったラッキーなひとだけがビザをもらえるようになりました。 イギリスでの生活にはすぐなじめるのか? 地理、気候 6万6千人の日本人が住んでいるイギリスですが、はたして日本人にとって住みやすい国なのでしょうか。イギリスの総面積は24万2495平方キロメートルで日本の約3分の2。総人口は6650万人で日本の約半分。北緯54度で北海道よりも高い位置にありますが、寒さはそんなに厳しくなく、一部のエリアをのぞいては雪もほとんど降りません。ロンドンは雪が降らない年もあります。ロンドンを訪れるならいつ?そんなに寒くないかわりに夏そんなあつくもありません。あついのが苦手なひとにとっては過ごしやすいのではないでしょうか。 イギリス人の人柄 イギリス人は島国という環境から閉鎖的でストレートにものをいわないという点では日本人に少し似ているのかもしれません。そういう意味で友達になるのには時間を必要とします。でも、一度友達になるととても仲良くなります。あとは年齢や家庭環境によってすぐに仲良くなったりはします。日本にいてもそれは同じではないでしょうか。ひとつだけはっきり言えるのは英語力が不完全な状態ではイギリス人の友達はできません。 食べもの イギリス料理はまずいというので有名ですが、イギリス人はイギリス料理ばかり食べているわけではありません。ただ、日本料理を好んで食べているひとはあまりいないというのと魚をそんなに食べる習慣がありません。フィッシュアンドチップスを食べるといってもひんぱんに食べるわけではありません。私みたいに魚が大好きというひとにとっては少し物足りないかもしれません。 レストラン、パブ レストランはイタリアン、フレンチ、インド料理、トルコ料理、中華料理とバラエティは豊富ですし、おいしいレストランもたくさんあります。特にロンドン。パブですが、基本はビールかワインです。イギリス人は飲みながら食べるという習慣があまりなく、飲むときは飲む、食べるのは飲んだあとです。イギリスのレストランで注文をしたりするときに日本のように店員さんをよぶことはしてはいけません。注文をしたいときは店員さんと目があうまで待つというのが基本です。日本の居酒屋ののりで「すみませーん」と手をあげて店員さんをよんだりするとマナーをしらないひととまわりから見られますので注意しましょう。 お風呂、シャワー イギリス人はお風呂にお湯をためてはいらず朝シャワーをあびるというのが普通です。そのためイギリスの家の浴槽は浅くつくられていてお湯をためて入ろうとしても半身浴状態になってしまいます。また、浴室に洗い場がないので浴槽のなかでシャワーを浴びます。私も日本にいたときはほぼ毎晩お風呂にはいっていたのでお風呂にはいれないことのストレスは最初かなりありました。 温泉、サウナ、銭湯 イギリスに温泉はあります。Bath  (バス)というまちは温泉がわいていてイギリスの観光名所になっています。ただ、日本のような温泉ではありません。とてもぬるく水着をきてはいるスタイルです。サウナもスポーツジムなどにはありますが、サウナ専用のお店はありません。銭湯はありません。 以上、イギリスで生活するための予備知識講座でした。