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結婚離れが加速するイギリス
イギリスにおける婚姻率(人口1,000人あたりの年間婚姻数)は、2000年時点で5.1‰でした。しかし、近年のデータでは、わずか1.3‰という驚くべき低水準を記録しています。これは、結婚という制度そのものがもはや若者にとって魅力的でなくなりつつあることを示唆しています。
この急激な低下の背景には、社会的価値観の変化が大きく関わっています。かつて結婚は人生の重要な節目とされ、社会的・経済的にも奨励されてきました。しかし、近年では「結婚しなくても幸せに生きられる」という考え方が広まり、特に若い世代では結婚を選択しない人が増えています。
さらに、経済的な要因も見逃せません。住宅価格の高騰や生活費の上昇により、若いカップルが結婚を決断するハードルが高くなっています。かつては「結婚して家を買い、家族を持つ」という流れが一般的でしたが、現代では「まずは安定した生活を築くことが優先」と考える人が多くなっています。
離婚率の推移と現代の結婚観
一方で、離婚率は2000年時点で2.58‰と報告されており、先進国の中でも比較的高い水準にあります。最新の具体的な数値は入手できないものの、一般的に先進国では離婚率が高止まりする傾向があり、イギリスも例外ではないでしょう。
結婚生活の多様化により、従来の「一生添い遂げる」という考え方は薄れつつあります。特に女性の社会進出が進む中で、経済的な自立が可能となったことで、結婚生活がうまくいかない場合には離婚を選択しやすくなっています。また、法改正によって離婚手続きが簡素化され、以前よりもスムーズに婚姻関係を解消できるようになったことも、離婚率の高止まりに影響を与えていると考えられます。
出生率の現状と少子化問題
合計特殊出生率の推移
イギリスの合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子どもの平均数)は、1960年代には2.5を超えていましたが、1970年代以降低下し、1980年代には1.8台で推移しました。その後、2000年には1.69まで低下しましたが、一時的に回復し、近年では1.9台で推移しています。
しかし、2022年のイングランドとウェールズでの出生数は60万5,479人となり、2002年以来の低水準を記録しました。この背景には、生活費の高騰、住宅問題、低所得世帯への経済的支援の削減など、さまざまな要因が関係していると考えられます。
非婚カップルによる出産の増加
興味深いのは、非婚カップル間での出生数が全体の51.4%を占め、婚外子の割合が過半数となっている点です。これは、家族の形態が多様化している現状を反映しており、結婚をしなくても子どもを持つことが一般的になってきていることを示しています。
社会的な価値観の変化により、「結婚しないと子どもを持てない」という考え方は過去のものとなり、パートナーシップの形はますます柔軟になっています。特に北欧諸国と同様に、イギリスでも事実婚が増えており、法律的な制度の整備が進めば、この流れはさらに強まる可能性があります。
少子化対策と課題
育児支援サービスの充実
イギリスでは、少子化対策として育児支援サービスの充実が進められています。例えば、Koru Kidsのようなスタートアップ企業が、ナニーの派遣サービスや近隣住民同士でナニーをシェアするサービスを提供しており、共働き世帯にとって重要なサポートとなっています。
しかし、保育サービスの質のばらつきや高コスト、サービスの不足といった課題も依然として存在します。特にロンドンのような都市部では保育所の空きが少なく、子育て世帯が大きな負担を強いられるケースが増えています。
高齢化社会への対応
また、高齢化の進展も大きな課題となっています。2035年には成人の2人に1人が50歳以上になると予測されており、労働力不足や医療・介護の負担増が深刻化すると考えられています。そのため、高齢者向けの技術開発や介護支援サービスの拡充も急務となっています。
まとめ
イギリスでは、結婚率の低下、離婚率の高止まり、出生率の変動が社会全体に大きな影響を与えています。結婚を選択する人が減り、非婚カップルによる出産が増えていることから、家族のあり方そのものが変化していることが分かります。
少子化対策として育児支援サービスの充実が進められていますが、まだ十分とは言えず、経済的な負担の軽減や働き方改革が求められています。また、高齢化社会に対応するための政策も急務であり、これらの課題に対して包括的な対策が求められています。
今後のイギリス社会がどのように変化していくのか、引き続き注目が必要です。
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