イギリスの墓参りと埋葬の習慣:日本との違いを詳しく解説

イギリスにおける墓参りや埋葬の習慣は、日本とは大きく異なります。日本では、お盆やお彼岸に家族が集まり、お墓を掃除し、線香を焚いて故人を偲ぶ文化がありますが、イギリスではそのような慣習は一般的ではありません。本記事では、イギリス人がどのように亡くなった人を弔い、お墓を管理するのかを詳しく紹介します。

イギリス人にお墓参りの習慣はあるのか?

イギリスでは、日本のように定期的にお墓参りをする習慣は一般的ではありません。もちろん、家族や親しい人が亡くなった際にはお墓を訪れることがありますが、決まった時期に訪れるという文化はありません。

しかし、全く墓参りをしないわけではなく、故人の命日や誕生日、クリスマス、父の日・母の日などに訪れる人もいます。特に、クリスマスには多くの人が墓地を訪れ、墓石の前にポインセチアやリースを飾る光景が見られます。

また、追悼の意を表すために墓地に花を供えることもありますが、日本のようにお線香をあげたり、お墓を掃除する習慣はあまり見られません。墓地の管理は、基本的に自治体や教会が行うため、家族が頻繁に手入れをする必要はないのです。

遺骨をお墓に納める習慣は?

日本では、火葬後の遺骨をお墓に納骨し、そこを故人の供養の場としますが、イギリスではその概念が異なります。イギリスでは、遺骨をお墓に納めるという形ではなく、火葬か土葬のどちらかが選択されます。

火葬が行われた場合、遺灰(Ashes)の扱いには以下の選択肢があります。

  • 墓地の専用エリア(Garden of Remembranceなど)に撒く
  • 家族が自宅に保管する(リビングに故人の遺灰を入れた壺を置くことも)
  • 故人の希望する場所(海や山、公園など)に撒く
  • 墓石の下に納める(ただし、日本ほど一般的ではない)

特に、イギリスでは故人が生前に希望した場所に遺灰を撒くケースが多く見られます。例えば、故人がよく訪れた海岸や、好きだったサッカースタジアムの近くに撒かれることもあります。

一方で、土葬を選択した場合は、棺に納めたまま埋葬されます。イギリスの伝統的な墓地には、地面に横たわるシンプルな墓石が並んでおり、そこに故人の名前や命日が刻まれます。

イギリスの葬式のスタンダードな形式

イギリスの葬儀は、主にキリスト教(特にイングランド国教会やカトリック)の伝統に基づいて行われます。一般的な形式は以下の通りです。

1. 告別式(Funeral Service)

  • 教会、火葬場、または葬儀場で行われる。
  • 牧師や司祭が聖書の朗読や祈りを捧げる。
  • 家族や友人が故人の思い出を語ることもある。

2. 埋葬または火葬

  • 土葬の場合、墓地で儀式が行われ、棺が埋められる。
  • 火葬の場合、火葬場で荼毘に付される。

3. 追悼会(WakeまたはReception)

  • 葬儀の後、家族や友人が集まり、食事や飲み物を楽しみながら故人を偲ぶ。
  • フォーマルな場ではなく、カジュアルな雰囲気が一般的。

また、近年では「Celebration of Life(人生の祝福)」と呼ばれる形式の葬儀も増えています。これは、悲しみに包まれる葬儀ではなく、故人の人生を祝う前向きな会であり、スライドショーを流したり、故人の好きだった音楽をかけたりすることもあります。

イギリスでは今でも土葬?

かつては土葬(Burial)が主流でしたが、現在のイギリスでは火葬(Cremation)が圧倒的に多く選ばれています。環境問題や墓地の不足により、現在では約75%以上の人が火葬を選択しています。

ただし、宗教的な理由で土葬を希望する人もおり、特にユダヤ教徒やイスラム教徒のコミュニティでは土葬が主流です。イスラム教の伝統に従い、遺体を布で包んで埋葬する場合もあります。

イギリスでは、土葬用のスペースが限られているため、墓地の管理が課題になっています。そのため、一度埋葬された墓が一定期間後に再利用されることもあり、これは日本の「永代供養」の考え方とは異なります。

まとめ

イギリスでは、日本のように定期的にお墓参りをする文化はあまり根付いていません。また、火葬が主流になりつつあるため、日本のお墓参りの概念とは大きく異なります。葬儀の形式も宗教的なものからカジュアルなものまで幅広く、故人の人生を祝うような形が増えています。

また、埋葬方法についても環境問題の影響を受け、土葬から火葬へと移行する傾向が強まっています。イギリスと日本の文化の違いを知ることで、より深く異文化理解を深めるきっかけになるでしょう。

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