イギリスの主要32都市一覧|総人口と主要産業で見る、それぞれの街の個性

イギリスの街を知るには、観光名所だけでなく、「何人が暮らし、どのような産業が街を支えているのか」を見ると面白い。

金融やビジネスが集まるロンドン、航空・鉄道産業が強いダービー、エネルギー産業の拠点であるアバディーン。同じイギリスでも、都市によって経済の成り立ちは大きく異なる。

この記事では、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの主要32都市について、総人口と代表的な産業をまとめた。

人口は、2025年6月30日時点の公的な人口推計を使用している。基本的には各都市の行政区域内の総人口で、ロンドンはグレーター・ロンドン全体を対象とした。主要産業は、周辺地域とつながる産業集積も含めた代表的な分野である。Office for National Statistics

イングランドは、金融・研究・製造・港湾物流など、多様な産業を持つ都市が集まっている。

都市名総人口(推計)主な産業・経済分野
ロンドン(London)9,122,909人金融・保険、専門サービス、IT、映像・音楽などの創造産業、観光。Official Census and Labour Market Statistics
バーミンガム(Birmingham)1,176,960人金融・ビジネスサービス、先端製造、交通関連産業、公共サービス。Official Census and Labour Market Statistics
リーズ(Leeds)840,550人金融・専門サービス、デジタル、医療関連、製造業。Official Census and Labour Market Statistics
マンチェスター(Manchester)588,256人デジタル・IT、メディア、金融・専門サービス、生命科学。Official Census and Labour Market Statistics
シェフィールド(Sheffield)579,517人先端製造、金属加工、精密工学、大学と連携した技術研究。Official Census and Labour Market Statistics
ブラッドフォード(Bradford)557,758人食品製造、機械・工学、化学、繊維、デジタル技術。Official Census and Labour Market Statistics
リヴァプール(Liverpool)507,915人港湾・物流、医療・生命科学、デジタル・クリエイティブ産業。Official Census and Labour Market Statistics
ブリストル(Bristol)495,260人航空宇宙・先端工学、金融・保険、IT、映像制作。Official Census and Labour Market Statistics
レスター(Leicester)383,116人繊維・衣料、食品・飲料製造、製造業、商業。Official Census and Labour Market Statistics
コヴェントリー(Coventry)364,766人自動車、先端工学、電池技術、次世代交通の研究開発。Official Census and Labour Market Statistics
ノッティンガム(Nottingham)325,765人生命科学、デジタル・クリエイティブ、食品製造、高付加価値製造。Official Census and Labour Market Statistics
ニューカッスル・アポン・タイン(Newcastle upon Tyne)320,838人デジタル・IT、医療・生命科学、大学・研究開発。Official Census and Labour Market Statistics
ミルトン・キーンズ(Milton Keynes)308,866人物流、デジタル技術、金融、企業向け専門サービス。Official Census and Labour Market Statistics
サンダーランド(Sunderland)287,070人自動車・電気自動車、先端製造、精密工学。Official Census and Labour Market Statistics
ブライトン・アンド・ホーヴ(Brighton and Hove)284,170人観光・宿泊、デジタル・クリエイティブ、金融、教育。Official Census and Labour Market Statistics
ダービー(Derby)275,344人航空宇宙、鉄道、原子力関連技術、先端製造。Official Census and Labour Market Statistics
ハル(Hull/Kingston upon Hull)273,257人港湾・物流、化学・医薬関連、再生可能エネルギー。Official Census and Labour Market Statistics
ストーク・オン・トレント(Stoke-on-Trent)272,282人陶磁器、先端材料、製造業、デジタル・ゲーム関連。Official Census and Labour Market Statistics
プリマス(Plymouth)271,361人海洋技術、防衛、先端製造、海洋関連研究。Official Census and Labour Market Statistics
サウサンプトン(Southampton)259,230人港湾・海運・物流、クルーズ関連、大学・技術研究。Official Census and Labour Market Statistics
ポーツマス(Portsmouth)211,475人防衛・航空宇宙、海事産業、先端工学、観光。Official Census and Labour Market Statistics
ヨーク(York)209,118人観光・宿泊、鉄道技術、バイオ関連、デジタル・クリエイティブ。Official Census and Labour Market Statistics
オックスフォード(Oxford)165,940人大学・研究、生命科学、自動車、出版、観光。Official Census and Labour Market Statistics
ケンブリッジ(Cambridge)149,872人大学・研究、IT、半導体設計、バイオ・医薬関連。Official Census and Labour Market Statistics

この一覧で目を引くのは、ケンブリッジとオックスフォードの人口だ。どちらも世界的に知られた街だが、行政区域の人口は約15万~17万人。大学を中心に研究機関や企業が集まることで、人口規模以上の存在感を持っている。両都市を見ると、街の経済的な役割は、住民の数だけでは判断できないことが分かる。Official Census and Labour Market Statistics

製造業にも、都市ごとの専門性がある。ダービーは航空・鉄道などの技術産業、コヴェントリーは自動車や電池技術、サンダーランドは自動車・EVの研究と生産が特徴だ。イギリスの工業を知るには、こうした地方都市の役割を見る必要がある。Derby City Council

日本の読者にとって身近なのは、陶磁器の街、ストーク・オン・トレントかもしれない。ウェッジウッドやスポードなどの歴史につながる地域で、現在も陶磁器や先端材料が街の産業を支えている。英国の食器文化と地方の経済が、ここで結び付いている。Stoke-on-Trent

スコットランドでは、金融、エネルギー、デジタル産業に都市ごとの特徴がある。

都市名総人口(推計)主な産業・経済分野
グラスゴー(Glasgow)654,330人金融・ビジネスサービス、デジタル、先端製造、創造産業、大学・研究。National Records of Scotland (NRS)
エディンバラ(Edinburgh)531,370人金融、IT、観光、文化産業、大学・研究。National Records of Scotland (NRS)
アバディーン(Aberdeen)230,180人石油・天然ガス、エネルギー関連技術、再生可能エネルギー。National Records of Scotland (NRS)
ダンディー(Dundee)148,390人ゲーム開発、デジタル技術、生命科学、大学・研究。National Records of Scotland (NRS)

エディンバラは歴史的な街並みや観光で知られるが、金融や技術産業の拠点でもある。一方、グラスゴーは金融、製造、創造産業など、幅広い産業を持つ。スコットランドの二大都市は、異なる強みを持ちながら経済を支えている。Invest in Edinburgh

アバディーンは、北海の石油・天然ガス産業と深く結び付いた街だ。現在は、その技術や人材を再生可能エネルギーなどへ広げる動きも進んでいる。人口約15万人のダンディーでは、ゲーム開発や生命科学が重要な産業となっており、ここでも人口の大きさと産業の専門性の違いが見えてくる。investaberdeen.co.uk

ウェールズと北アイルランドにも、半導体、映像制作、ソフトウエアなどの産業を持つ都市がある。

都市名構成国総人口(推計)主な産業・経済分野
カーディフ(Cardiff)ウェールズ381,516人金融・フィンテック、テレビ・映像制作、デジタル、生命科学。Official Census and Labour Market Statistics
スウォンジー(Swansea)ウェールズ249,429人公共サービス、大学・研究、観光、先端工学・製造関連。Official Census and Labour Market Statistics
ニューポート(Newport)ウェールズ168,584人化合物半導体、先端製造、デジタル・技術産業。Official Census and Labour Market Statistics
ベルファスト(Belfast)北アイルランド約351,900人デジタル・映像、金融・専門サービス、先端工学・製造。datavis.nisra.gov.uk

ウェールズでは、首都カーディフに金融や映像制作などの企業が集まる。ニューポートには化合物半導体の産業集積があり、スウォンジーでは大学と企業の連携が研究や技術開発を支えている。都市名だけでは分かりにくいが、それぞれに異なる経済の柱がある。Invest Cardiff

ベルファストは、造船などの産業の歴史を持ちながら、現在はソフトウエア、サイバーセキュリティ、金融技術、映像制作などにも強みがある。街の経済を調べると、過去の産業から新しい産業へと役割を広げている様子が分かる。Invest in Belfast

人口を読むときには、地域の範囲にも気を付けたい。例えば、表のマンチェスター市は約59万人だが、周辺の自治体を含むグレーター・マンチェスター全体では約302万人になる。どちらの数字を使うかで、街の規模の印象は大きく変わる。Official Census and Labour Market Statistics

イギリスの都市を訪れたとき、その街の主要産業を知っていれば、港、工場、大学、オフィス街の景色にも意味が見えてくる。人口と産業を合わせて見ることは、そこで暮らす人々の仕事や、街が発展してきた理由を知る入口になる。

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