
国際結婚は、文化や価値観の違いを乗り越えて築く特別なパートナーシップです。イギリス人との結婚もその例に漏れず、多くの魅力や新しい発見に満ちています。しかし、幸せな結婚生活を送るためには、恋愛感情だけで突き進むのではなく、現実的な視点からパートナーの背景をしっかり確認することが非常に大切です。
本記事では、特にイギリス人との結婚を考えている方に向けて、「結婚前に確認しておいたほうがいいこと」について、家族関係や金銭事情を中心に詳しく解説します。
1. 家族との関係性:文化の違いが生む距離感
イギリス人の家族観とは?
日本では家族のつながりが非常に重視される文化があります。定期的に実家に帰省したり、兄弟や親戚との関係も大切にすることが多いですよね。一方、イギリスでは「家族の絆」が大切であることに変わりはありませんが、その距離感は日本と少し異なります。
特に成人後は早い段階で親元を離れて一人暮らしを始め、自立を促されるのが一般的です。親と子の距離感もフラットで、まるで友人のように接するケースも多く見られます。逆に言えば、親との距離が日本ほど近くないと感じる場面もあるかもしれません。
兄弟・親戚との関係
イギリスでは、兄弟間でも物理的・精神的な独立性が強く、「仲がいい=頻繁に連絡を取る」とは限りません。親戚付き合いも、日本ほど濃密ではない傾向があります。ですが、やはり結婚というライフイベントでは、家族との関係性が大きな影響を及ぼします。
相手がどの程度家族と関わっているのか、過去に家族とトラブルがなかったかなどを、失礼にならない程度に確認しておくのは非常に重要です。たとえば、家族に紹介された際にぎこちなさを感じたり、親族との関係に緊張があるようなら、それは将来的な懸念材料になることもあります。
2. 金銭的な背景:特に学生ローンの有無は要チェック
イギリスの学生ローン制度とは?
イギリスで高等教育を受ける人の多くが利用しているのが、「Student Loan(学生ローン)」です。この制度は、大学の学費や生活費を賄うために政府が提供しているローンで、非常に多くの若者が利用しています。
この学生ローンの特徴は以下の通りです:
- 申請が簡単で、多くの人が利用する
- 卒業後の収入に応じて返済が始まる
- 利子(インタレスト)が加算される
- 完済まで長期間かかるケースが多い
ここで注意すべきなのは、「学生ローン=借金」であるという点です。日本で言う奨学金の一部は返済不要なタイプもありますが、イギリスの学生ローンはれっきとした借金です。そして、返済は年収に応じて段階的に行われるため、表面的には「借金の返済をしていないように見える」場合もあるのです。
借金があることの影響
結婚生活において、お金の問題は非常に重要です。たとえ個人名義の借金であっても、結婚後の生活やローン申請、共同での家購入などに影響を及ぼす可能性があります。
たとえば:
- 配偶者ビザの申請時に家計が審査される
- 住宅ローンの共同申請が難しくなる
- 借金の利子分、家計に圧力がかかる
イギリスでは、信用情報(Credit History)という概念が強く、クレジットスコアが低いと生活に不便を感じることもあります。結婚前にパートナーの借金状況をしっかり確認しておくことで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
3. 結婚後の生活設計:現実的な話し合いを
家計管理の方法はどうする?
イギリス人の多くは「経済的な自立」を非常に大切にします。共働きが一般的で、家計をどう分担するかについても、かなりドライに話し合われることが多いです。
- 家賃は折半か?
- 子どもの教育費は誰が払う?
- 大きな出費の際、どちらがどの割合で負担するか?
これらのことは、あらかじめ話し合っておかないと、文化の違いから誤解が生まれる可能性があります。日本では「夫が多めに払う」ことが美徳とされる場合もありますが、イギリスでは「フェアであること」が重視されます。
離婚時の財産分与
さらに現実的な話になりますが、イギリスでは離婚時の財産分与が日本よりもシビアに行われる傾向があります。特に専業主婦(主夫)になる場合は、将来の経済的自立も含めてしっかり設計しておく必要があります。
4. 文化や宗教的背景の確認
イギリス人と一口に言っても、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドと地域によって文化が異なります。また、宗教的な価値観も家庭によって違いがあり、たとえばキリスト教徒で教会への出席が習慣になっている家庭もあります。
将来的に子どもができた場合の教育方針や宗教的な習慣についても、事前に考慮すべきポイントです。
5. 日本との関係:将来どこに住むのか
結婚後の居住地をどこにするかというのも、非常に大きな決断です。イギリスに住む場合、日本にいる家族との距離、言語、キャリアなどの不安が出てくるでしょう。一方、日本に住む場合、イギリス人のパートナーが母国を離れることによるカルチャーショックも予想されます。
また、国際結婚では配偶者ビザの手続きも大変です。収入証明や居住地の証明、場合によっては資産証明なども必要になります。これらの手続きに関して、事前に話し合っておくことが重要です。
まとめ:愛情と現実のバランスが鍵
国際結婚は、文化を超えた愛の形です。しかし、「好き」という感情だけで乗り切れるほど、現実は甘くありません。とくに金銭面や家族関係については、文化の違いが顕著に表れるため、事前に冷静な視点で確認し合うことが幸せな結婚生活の第一歩になります。
確認しておきたいチェックリスト(例):
- 家族や兄弟との関係は良好か?
- 借金(特に学生ローン)はあるか?
- 家計はどう管理する予定か?
- 将来どこに住む予定か?
- 子どもの教育方針や宗教について話し合ったか?
これらを一つひとつ丁寧に確認し、共通の理解を築いていくことで、国際結婚はより豊かで安定したものになるでしょう。
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