
クリケットとは?世界に広がる「もうひとつの国民的スポーツ」
「クリケット」と聞いてピンとくる日本人は、正直あまり多くないかもしれません。しかし、クリケットは実は世界で最も人気があるスポーツのひとつです。競技人口は推定2.5億人以上、テレビ視聴者数は30億人にものぼると言われています。
特にイギリス、インド、オーストラリア、ニュージーランド、パキスタン、南アフリカといった旧イギリス植民地を中心に、圧倒的な人気を誇っています。
日本ではあまり馴染みがありませんが、世界では「サッカー」と並ぶ国民的スポーツ。そんなクリケットについて、起源から観戦ガイドまで、たっぷりとご紹介していきます。
クリケットの起源と歴史:羊飼いが始めた?!
クリケットの起源には諸説ありますが、最も有力な説は13世紀のイングランド南部、ケント地方にさかのぼります。当時の農村で、羊飼いたちが暇な時間に、木の棒(バット)で羊飼いの門(ゲート)を守る遊びをしていたのが、クリケットの原型だと言われています。
初めて「cricket(クリケット)」という言葉が文書に登場するのは1598年。
17世紀にはすでに貴族層にも広まり、18世紀に入るとロンドン周辺にクラブが誕生。そして1787年には、現在も続くメアリーボーン・クリケット・クラブ(MCC)が設立され、クリケットのルールを標準化する役割を果たしました。
その後、イギリス帝国の拡大とともに、クリケットはインドやオーストラリア、カリブ海諸国へと広まり、「帝国のスポーツ」として世界中に根付いていったのです。
野球に似ている?クリケットの基本ルール
クリケットは「バットとボールを使って得点を競う」という意味では、野球に似ています。しかし、実際にはかなり違うスポーツです。
ここでは、超基本の流れだけ押さえておきましょう。
- ピッチ:縦約20mの細長い土のエリア。両端にウィケット(三本の木製の柱)を立てます。
- ボウラー:ウィケットを狙ってバウンドさせるようにボールを投げます。手首を使わずに腕をまっすぐ回す「オーバーアーム投球」が特徴。
- バッツマン:投げられたボールをバットで打ち返し、得点を狙います。
- ラン:バッツマンはボールを打ったあと、ピッチを走って「ラン」を獲得します。片道走れば1ラン、往復すれば2ラン。
- アウト:ウィケットをボールで直撃させる、バッツマンが打ったボールをノーバウンドでキャッチする、などでアウトになります。
試合は「オーバー」という単位(6球)で進行し、指定されたオーバー数内でより多く得点したチームが勝利します。
試合形式はさまざま!クリケットのタイプ紹介
クリケットにはいくつか異なる試合形式が存在し、所要時間が大きく違うのも特徴です。
形式名 | 特徴 | 試合時間 |
---|---|---|
テストマッチ | 伝統的な形式。5日間かけて行う | 最大5日間(各日6時間以上!) |
ワンデー(ODI) | 1チーム50オーバー制。1日で完結 | 約8時間 |
T20(Twenty20) | 1チーム20オーバー制。スピーディな展開 | 約3時間 |
特に「T20」は21世紀に登場した比較的新しい形式で、短時間・ハイテンポな展開が受け、若者や初心者にも大人気です。
クリケットの観戦ポイント:ただ見るだけではない深い楽しみ
クリケットは単なるスポーツ以上に、文化的イベントでもあります。試合中はファンがピクニック感覚で楽しんだり、試合の合間にティータイムがあったりと、とてもリラックスした空気が流れています。
観戦中に注目したいポイントは…
- バッツマン同士の絶妙なランニングの駆け引き
- ボウラーが変化球(スイング、スピン)でウィケットを狙う戦略
- フィールダーの超人的なキャッチやスローイング
- 試合中に挟まれる「ティーブレイク」でのほのぼの感
そして何より、長丁場の試合が徐々に傾いていく「流れ」を読む楽しみは、クリケットならではです!
イギリスでクリケット観戦するならここ!
イギリスには歴史あるクリケットスタジアムが数多く存在します。初心者にもおすすめの有名スタジアムを紹介しましょう。
1. ローズ(Lord’s Cricket Ground)【ロンドン】
「クリケットの聖地」として世界中のファンに愛される場所。
1787年に創設されたMCCの本拠地であり、歴史と伝統を肌で感じられます。イングランド代表戦の多くもここで開催されます。
2. オールド・トラフォード(Emirates Old Trafford)【マンチェスター】
1877年オープンの歴史あるスタジアム。
テストマッチやワンデー国際試合の名勝負が数々繰り広げられてきました。スポーツの街マンチェスターを代表する存在です。
3. オーバル(The Kia Oval)【ロンドン】
ロンドン南部にあり、アクセスも抜群。
イングランドの国内大会だけでなく、国際試合もしばしば開催され、地元ファンの熱気もひときわ。
その他の注目スタジアム
- エッジバストン(Edgbaston)【バーミンガム】
- ヘディングリー(Headingley)【リーズ】
- ソフィア・ガーデンズ(Sophia Gardens)【カーディフ】
チケット購入と観戦費用
クリケットのチケット料金は、試合形式や座席によって大きく変わります。
試合形式 | 価格帯(大人1人) |
---|---|
T20(短時間ゲーム) | £20〜£50(約3,800円〜9,500円) |
ワンデー(1日完結) | £30〜£80(約5,700円〜15,000円) |
テストマッチ(1日あたり) | £40〜£100(約7,600円〜19,000円) |
特にイングランドvsインド戦のようなビッグマッチは、価格も跳ね上がることがあります。
お得に観戦するには、クラブ公式サイトで早割チケットを購入するのがおすすめ。また、学生割引やファミリーパックも積極的に利用しましょう!
クリケットをもっと楽しむために
もしイギリスでクリケット観戦を考えているなら、以下のポイントも押さえておくとさらに楽しめます。
- 試合前に「クリケット用語」を軽く勉強しておく(例:over、wicket、six、duckなど)
- 現地ファンと気軽に話してみる(みんなクリケット大好き!)
- ピクニック気分で、サンドイッチやお菓子を持参するのも◎
- 天候による試合中断(Rain Delay)も多いので、のんびり待つ心の余裕を
まとめ:クリケットは「文化」そのもの
クリケットは単なるスポーツではなく、イギリス文化そのものを体感できる最高の機会です。
伝統と戦術、そしてリラックスした雰囲気が絶妙に混ざり合い、初めてでもきっと魅了されるはず。
イギリスを訪れるなら、ぜひ一度クリケットスタジアムを訪れ、「本場の空気」を感じてみてください。
まずは気軽に、T20形式の試合からチャレンジしてみるのがおすすめです!
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