【実録】イギリスで住民税をナメてたら人生詰みかけた話 〜カウンシルタックス恐怖体験記〜

こんにちは、ロンドン在住歴5年、家賃と空気が高いことでおなじみの首都で日々をサバイブしている山田です(仮名)。
今回は、僕の身に実際に起こった「カウンシルタックス(Council Tax)未払い騒動」についてお話ししたいと思います。

結論から言いましょう。
イギリスでカウンシルタックスを甘く見ると、洒落にならないレベルで面倒なことになります。

請求書を無視し続けると、罰金・裁判所命令・財産差し押さえ・刑務所まで、まさに「税金ホラー映画」のフルコース。
この記事では、「なんでそんなことになるの?」「どうやって防ぐの?」「実際に何が起きるの?」を、面白く・怖く・ためになる感じでお届けします。


◆そもそもカウンシルタックスって何?

カウンシルタックスとは、イギリスの地方自治体(カウンシル)が課す「住民税」のようなもの。
この税金で、ゴミの収集・街灯の設置・警察・消防・図書館・公立学校など、地域サービスが賄われています。

物件の価値(Band A〜H)に応じて金額が決まり、月額で£80〜£300前後が目安です。
支払い義務は、その物件に居住する「大人」に発生。学生は免除・割引対象になりますが、働いている社会人ならほぼ確実に支払う義務があります


◆「たかが請求書」と思ったのが地獄の始まり

僕が最初にこの税金の存在を知ったのは、引っ越して3週間後。
ポストに届いた「Council Tax Bill」という、なんとも地味なデザインのA4用紙。

「ふーん、そのうち払えばいいか」

軽く考えていた自分を殴りたい。

なぜなら、カウンシルタックスは支払いの催促がとても静か、しかし怒らせるととても怖いのです。

最初の手紙は実に丁寧。「こちらにお住まいの方の情報がないようなので、ご連絡ください」。
この時点で連絡すれば、分割払いも相談できたのに、僕は放置。まさかの未開封。

結果、2か月後——


◆「リマインダー地獄」へようこそ

第二の手紙はこう始まりました。

Final Reminder(最終通知)
お支払いが確認できませんでした。このまま未納が続いた場合、全額一括での支払い義務が発生します。

ん?ちょっと待って? 一括ってどういうこと?

そう、イギリスのカウンシルタックスは「分割払い」前提ですが、期日を守らないと一括請求に自動切り替えされるのです。

この時点での請求額、約£2,000(約40万円)。
うん、払えるかーい!!!

でも地獄はまだまだ始まったばかり。


◆ついに来た「Liability Order(支払い命令)」

放置し続けると、地方自治体は裁判所に「支払い命令(Liability Order)」を請求します。

手紙にはこう書かれていました。

あなたは裁判所命令により、全額の支払い義務があります。
拒否した場合、以下の措置を取ることがあります:

  • 収入からの天引き(給料差し押さえ)
  • 資産差し押さえ(家具・車など)
  • 債権回収業者(Bailiff)の派遣
  • 最悪の場合、拘留命令(最大90日)

……え?

差し押さえ?家具?拘留?

気づけば、ただの住民税が人生破滅ルートに変わっていました。


◆「Bailiff(執行官)」がやって来る!

そしてある日、インターホンが鳴る。

ピンポーン!
「We are from the enforcement agency. We have a warrant to enter your property.」

窓の外には、無骨なベストに身を包んだ屈強な男性。
彼が「バイリフ(Bailiff)」です。日本で言うならば、差し押さえ実行人

彼らは裁判所命令があれば、強制的に家に入る権利を持ち、家の中の家電・家具・パソコンなどを持っていくことが可能です。

彼らは情に訴えても聞いてくれません。「それ、仕事なんで」の一言で全部終わり。

僕は震えながらその場で支払いを申し出て、なんとか差し押さえは免れました。が、ここでさらに地獄。


◆「追加料金」という名のスパイス地獄

未払い→督促→裁判所命令→執行官派遣、という流れの中で、罰金や手数料が雪だるま式に増えていきます。

  • 通常のカウンシルタックス:£2,000
  • 裁判所費用:£90
  • 執行官手数料:初期訪問 £75 + 財産目録作成 £235 + 最終訪問最大 £110
  • 合計:約£2,500(約50万円)

気づけば、たった数か月の無視で、請求額は1.25倍以上に跳ね上がっていたのです。


◆最悪の場合「刑務所」もありえる!?

「でも物がなければ差し押さえられないし、給料もなければ平気では?」

残念。イギリスの地方自治体は、払う意思すら見せない人間には「刑務所」という最終カードを切ることが可能です。

実際、過去には「数年未納を続けた人が90日間拘留された」という事例もあります。

カウンシルタックスの未払いは「民事」扱いですが、支払い命令無視 → 侮辱罪(Contempt of Court)で刑事事件に発展することも

これはもう、「住民税」じゃなくて「税金トラップ地雷原」。


◆どうすれば防げたのか? 〜自戒と教訓〜

この一件で僕が学んだことは以下の通り。

1. 引っ越したらすぐカウンシルに連絡しよう!

  • 契約書を持って役所に行く、またはウェブで登録。
  • 学生なら「免除申請」も忘れずに。

2. 支払いに困ったら相談しよう!

  • 分割払いは柔軟に対応してくれる。
  • 生活保護、低収入、学生、障害者などは大幅な減額・免除も可能。

3. とにかく「無視しない」こと!

  • 手紙が来たらすぐに開封・対応。
  • 催促を放置すると、一括請求&裁判ルート一直線。

◆まとめ:「税金は、払わないと、人生終わる。」

イギリスに来る日本人の多くが、「日本の常識」で考えがちですが、イギリスのカウンシルタックスは想像以上に厳格で、執行力が強いです。

そのくせ通知が「お上品」なので、油断しているといきなりバイリフに家具を持っていかれる。

そんなわけで、この記事を読んでいるあなた。
カウンシルタックスの請求書、放置していませんか?

それ、人生が燃え尽きる序章かもしれません。

早めに対処しましょうね。


あとがき

この話、笑い話に見えて、毎年1万人以上がカウンシルタックス関連で法的措置を受けているという現実があります。
「外国だから何とかなるだろう」は通じません。

どうか、どうか、あなたは僕のような愚かな道をたどらぬよう。
請求書は、即!確認!即!支払い!

ではまた次回、ロンドン生活で死にかけた別の話でお会いしましょう。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA