コロナウィルスがイギリスに与えたもの

政府の補償があったから被害が最小限に抑えられた

イギリスといえば政府の休業補償を先進国のなかでもいち早く労働者と企業を守るべく休業補償制度(ファーロウ・スキーム)を敷きました。
休業補償制度がわからないひとのために簡単に説明します。
イギリス政府はコロナ感染が拡大しはじめた昨年の3月にロックダウンを発令しました。
ロックダウンによって生活必需品を販売する以外の小売店はすべて休業、国民は在宅勤務を強いられることとなりました。
しかし、ビジネスのなかには在宅勤務では成立しないものがたくさんありました。
サービス業のほとんどがそれにあたります。
経営者はビジネスができなくなり収入がなくなる時点で経営危機、会社が倒産すればもちろんそこで働いている従業員は職を失ってしまいます。
そこで政府はロックダウンよりビジネスができなくなる企業の従業員に対して給料の8割を政府が出しますという話になったのです。
これが休業補償制度(ファーロウ・スキーム)です。
昨年3月にはじまった休業補償制度は現在も続いています。
イギリスというのは素晴らしい国ですよね。

政府が国民の給与を負担しているのだからなぜ職を失うひとが増えているのか?

政府が補償するのは給与の8割だけでそれ以外の社会保険料や国民年金などは会社の負担となります。
ビジネスができなくなって収入が0になっても会社の負担はなくなることはないのです。
2,3カ月の期間だけのことならまだいいですが、イギリスはロックダウンの期間が半年を超えているだけに雇用者の数が多ければ多いほど会社の負担は積み重なっていきます。
そこで経営者は会社を守るために人員削減という苦渋の決断をする結果となってしまったのです。

業界別でみる職を失った人の数とその他の傾向

小売り 4万3029人

航空関連 3万7104人

サービス業 3万4542人

一般  2万7921人

エネルギー関連 9600人

製造業 9072人

一度目のロックダウンがあった昨年の3月~9月の間にかけて人員削減を発表している企業が多く、特に4月28日の1日で1万人以上が職を失った

失業者が多い企業ですが、1位は航空会社のブリティッシュ・エアウェイズの1万2千人、2位は高級スーパーのマーク・アンド・スペンサーの7千人、3位は航空機を製造するロールス・ロイスで6千人

失業者が多い年代ですが、いちばん多いのが16~24歳、次いで25~34歳、50歳以上、35~49歳

失業者が多いエリアですが、1位はロンドン、2位はイギリス北西部、3位はイギリス西部

GDP(国内総生産)は4月にマイナス20%を記録し、第2四半期全体ではマイナス18.8%

国民1人あたりの負債は1960年以降最高額

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