イギリス人の貯金(2025年最新)

平均貯金額とその内訳

2025年時点、イギリスでの成人1人あたりの平均貯金額は 約£16,000 とされています。ただし、この数値は一部の貯金額が多い層によって押し上げられており、中央値はかなり低くなります。

  • 中央値:約£12,500(全体の半数はこれ以下の貯金額)。
  • その一方で、貯蓄ゼロの人は全体の 約16% にあたる約840万人にのぼります。

年代別の平均値を見ると格差はより顕著になります:

  • 18–24歳:約£4,800
  • 25–34歳:約£9,400
  • 35–44歳:約£7,400
  • 45–54歳:約£13,300
  • 55歳以上:約£27,900Finder UK

つまり、若年層の貯金が少ない一方、中高年層では大きく増える構図が見えます。

性別の差

男性の平均貯金額は £20,800、女性は £11,400 と、男女間で大きな格差があります。


💸 家計支出の傾向(2022–2023年度)

総支出と各項目ごとの比率

ONS(英国統計局)の2022–2023年度(Financial Year Ending 2023)のデータによると、

支出構成では以下が大きな割合を占めています:

  • 住居・燃料・電力:全体の約19%。
  • 交通費:約14%。
  • 食料・飲料:11%。
  • レクリエーション・文化外食・ホテル:主に実質増だが依然コロナ前には未回復。

食費の傾向

政府統計によれば、2022–23年度は食費の実質支出が減少傾向にあり、

総じてコスト抑制志向が強まり、家庭内調理の割合が増え、外食は依然低めです。


🏦 イギリスの貯蓄率(Saving Ratio)

家計の「貯蓄率(可処分所得に占める貯蓄の割合)」も参考になります。ODSの家計貯蓄率は、

  • 2025年第1四半期(1–3月)で 約10.9%。直近の2024年第4四半期は12.0%でした。
  • パンデミック最中の2020年第2四半期には一時 27.4% まで跳ね上がりましたが、その後落ち着き、現在は10%前後を推移しています。

この数字は、イギリス家庭が可処分所得の約1割を貯蓄に回していることを示しています。


🤯 一世帯あたりの借金(負債)事情

全体債務額

  • 2025年時点で、イギリス全体の家庭債務総額は 約£2兆 に達しており、これは一世帯あたり約 £71,000 に相当しますPwC
  • 債務の約80%は住宅ローンなどの担保付きで、残りは無担保債務(クレジットカード、パーソナルローンなど)です。

無担保負債

NimbleFinsの最新2025年データでは、

  • 住宅ローン以外の平均無担保債務は£17,174
     – パーソナルローン:約£5,545
     – 学生ローン:約£9,056
     – クレジットカード:約£2,572NimbleFins

また、クレジットカードの利率は2025年初頭に 平均APR 35.7% にまで上昇しており、クレカ借入残高は 約£2,579 が平均値になっています。

債務比率とリスク感

家計債務÷可処分所得の比率は、

  • 2025年第1四半期に 117.2% まで上昇。2008年以降に低下傾向だったが、再び上昇傾向にあります。
  • つまり、可処分所得の1.17倍近い借金を抱えているため、金利上昇局面では返済負担が重くなるリスクがあります。

🔍 家計収支まとめ(簡易図)

項目
貯蓄平均額£16,000(中央値£12,500)
貯蓄率約10–12%(一貯蓄率として)
週平均支出£567.70(実質マイナス)
主な支出割合住居関連19%、交通14%、食料11%
家計債務/世帯£71,000(全体)、無担保£17,174
債務比率117%

📝 解説と所感

  1. 貯蓄の二極化:平均が£16,000でも寒村の中央値が£12,500、貯蓄ゼロは16%。若年層の貯蓄額が少なく、性別でも男性優位という格差が目立ちます。
  2. インフレと支出抑制:インフレ圧力の中で実質支出は減少。特に食品支出を削る家庭が増え、生活レベルが抑制されている様子が見受けられます。
  3. 借金の重圧:住宅ローン中心の大規模な総債務額に加え、無担保債務の伸びやクレカ利率上昇が重荷。可処分所得を上回る債務比(117%)は、返済負担が家計を圧迫しかねません。
  4. 金利変動のリスク:2025年半ば現在、ベースレートはいったん下がりつつありますが、それでも多くの家庭が固定と変動ミックスでモーゲージの利払いに苦しんでおり、貯蓄下支えには不向きな状況です。

👍 政策・個人へのアドバイス

  • Emergency fundを持つこと:支出の3〜6か月分を貯蓄しておくことが推奨されます。
  • 高利債務の整理:クレジットカードのAPRが高騰している今、低金利のパーソナルローンで借り換えることも検討を。
  • 節約&投資への意識:支出抑制中でも、キャッシュISAや投資による資産形成を長期的な視点で取り入れる働きかけが進んでいます。

🏁 終わりに

イギリスの家計を見ると、貯蓄・支出・債務の三位一体的バランスが浮かびます。特に若者・女性ほど貯蓄に不利で、インフレ下での債務圧迫が顕著です。今後、金融教育や利率状況の変化、政策支援がどこまで効くかが鍵となるでしょう。

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