イギリス最恐の幽霊スポット:赤いドレスの女性が現れる古いパブ『レッドローズ・イン』の怪談と実話

1. はじめに

イギリスのパブには、ただお酒と食事を楽しむ場所以上の意味があります。歴史や人々の思いが詰まった場であり、ときに霊的な出来事や怪談が育まれる舞台ともなります。本稿では、イングランド北部にあるとされるとある古いパブ「レッドローズ・イン」(Red Rose Inn)にまつわる幽霊伝説を掘り下げ、現地で語り継がれる恐怖譚を紹介します。


2. 舞台となる古いパブ「レッドローズ・イン」

2.1 立地と歴史

「レッドローズ・イン」は、イングランド北部の小さな村に1880年代に建てられた石造りのパブ。昔ながらの暖炉、大きな梁(はり)、木製のバーカウンターが特徴で、かつては馬車宿としても利用されていました。当時、この地は北部鉄道の貨物輸送の拠点でしたが、時代とともに旅客もほとんど通らなくなり、村は静かに廃れました。パブはそれでも地元民に親しまれ、集いの場として息づいてきました。

2.2 建物の構造とレイアウト

1階には広めのバーエリアとパブ室。暖炉のそばには長椅子が並び、重厚なカウンターバーの裏には小さな仕切り部屋がひっそりとあります。2階は宿泊用の客室で、かつて旅人や労働者のためのベッドが並んでいました。屋根裏収納があり、そこは古いトランクや使われなくなった家具で満ちています。


3. 幽霊の正体と伝承

3.1 「赤いドレスの女性」の幽霊

伝説によれば、パブの2階に「赤いドレスの女性」の幽霊が現れるといいます。彼女は淡く光る赤いドレスを着ており、足音もなく廊下を歩き回り、時には泣き声のようなすすり泣きを漏らすともいわれます。その顔ははっきり見えず、影のようであるとも、むしろ「存在する痕跡」のように感じられるという話もあります。

3.2 幽霊の背景にある悲劇

この幽霊の元になったとされる人物は、19世紀末の宿泊客(もしくは使用人)で、ある夜、不慮の事故か悲劇によって命を落としたと言われています。赤いドレスは当時の礼装であり、ある晩大切な人との再会を待ちながら亡くなったとも、酷い扱いを受けていたともいわれ、無念さが成仏できない霊を生んだと伝わります。


4. 目撃エピソード集

現地の人々や旅行者から語られたエピソードは枚挙にいとまがありません。その中から代表的な目撃談をいくつかご紹介します。

4.1 バーのカウンター越しの視線

ある客が深夜、カウンター席でビールを頼んだ直後、鏡に赤いドレスの女性がうつっていると気づきました。振り向くと誰もいないが、再び鏡だけに彼女のシルエットが浮かび上がり、すっと消えていったそうです。

4.2 すすり泣く廊下の音

宿泊客が眠れず廊下を歩いていたところ、2階の片隅からかすかな泣き声が聞こえてきました。ドアをそっと開けたがそこには誰もおらず、赤い影だけがちらりと見えたと言います。

4.3 宿泊部屋の気配

カップルが2階の一室に宿泊した際、夜中にベッド脇の椅子がゆっくりと後ろに引かれる音で目が覚めたそうです。恐る恐る起きあがると、窓から赤い布がはためくような気配がして、そのまま朝まで眠れなかったとのこと。

4.4 意図せぬ写真に映り込む赤い痕跡

スマートフォンで館内を撮影した観光客が、写真の1枚に赤いもやのような“形”が写り込んでいたとSNSに投稿し話題になりました。後日、肝試し目的で宿泊した若者たちも、同様の写真を撮りSNSで共有したことで都市伝説はさらに広まりました。


5. 関係者・調査者の証言

5.1 老舗パブのバーテンダー

長年このパブで働くベテランのバーテンダーは、

「夜遅くになると誰もいないはずの2階から物音が聞こえる。手の届くドアや窓には変化がないんだ…」

と語り、幾度も不思議な現象を経験してきたと述べています。

5.2 探検グループの心霊調査

地元のゴーストハンター団体が数回にわたって調査を実施。夜間に赤外線カメラや電磁界測定器を使った結果、2階の廊下で微弱な温度変化が継続して記録されたとの証言も。また記録音声に「泣き声」「すすり泣き」のような音が入っていたと報告されていますが、完全な解析は困難で「だがそれが確かに異次元っぽい雰囲気だった」と述べています。


6. 心理と文化的背景

6.1 伝承と民間信仰の関わり

イギリスでは長い歴史を持つ建物や土地に霊の存在を信じる文化が根強く、人々は昔から「悲劇の魂は土地にとどまる」と考えられてきました。特に宿泊施設やパブなど、不特定多数の人が集う場所ではその傾向が強いようです。赤いドレスという「人間味ある象徴」が、人々の想像力をかきたてるのです。

6.2 恐怖と魅力の共存

こうした怪談は地元にとって一種の魅力でもあります。興味本位で訪れる旅行者や心霊マニアはパブを盛り上げる集客力となり、パブ自体は都市伝説を否定も肯定もせず、むしろ話題となることで観光資源として活用しています。真に怖い体験をした人ほど、後日常連になり「経験談」を語ることでコミュニティを深めるのは不思議な循環です。


7. メディアや現代への影響

7.1 SNS拡散とユーチューブ動画

近年はTikTokやYouTubeでの貴重な心霊トラップ映像が注目を集め、海外のホラー愛好家からの視聴が増加。英語圏でも“Red Rose Inn ghost pub”で検索されるようになり、海外からわざわざ訪れる人も少なくありません。

7.2 テレビ番組や心霊ツアー

イギリスの心霊特集ドキュメンタリー番組でも取り上げられ、現地ツアー会社が夜間の「ゴーストウォーク」コースにこのパブを組み入れる例も。実際に参加したツアー客が「背筋が凍る体験だった」と証言し、旅行誌やブログでも話題になっています。


8. おわりに

「レッドローズ・イン」の赤いドレスの女性の幽霊は、悲劇、文化、人々の想像力が結びついた象徴的な存在です。一部の人にとっては恐怖の対象、一部にとっては旅のアクセント。実際に「幽霊がいる」かどうかはさておき、語り継がれ、形を変え、参加者の体験を通じて存在し続けています。

歴史あるパブに足を踏み入れ、壁に刻まれた人々の人生とその余波に耳を澄ましながら、あなたも赤いドレスの幽霊の気配を感じるかもしれません。そして今宵、イギリスの片隅でひっそりと囁かれる怪談が、また次の誰かに語られ、未来へ受け継がれていくでしょう。

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