
はじめに
世界中の多くの国々で「健康寿命」への関心が高まっている中、イギリスも例外ではありません。英国民は平均寿命を延ばすだけでなく、より質の高い生活を送ることを目指して、日常的にさまざまな健康対策を行っています。
本記事では、イギリス人の平均寿命の現状とその推移、健康に対する考え方、具体的な健康習慣や対策について詳しく紹介していきます。
イギリス人の平均寿命の現状
イギリスにおける平均寿命は、世界的に見ても比較的高い水準にあります。
1. 平均寿命の数値(2023年時点)
- 男性:約79歳
- 女性:約83歳
男女ともに寿命は過去数十年間で徐々に延びてきましたが、近年はその伸びがやや鈍化しています。特に、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年から2021年にかけて一時的な平均寿命の低下も見られました。
2. 健康寿命との関係
イギリスでは「平均寿命」だけでなく、「健康寿命(Healthy Life Expectancy)」という概念にも注目が集まっています。これは、病気や障害に悩まされず、健康的に生活できる期間を指します。
- 健康寿命(男性):約63歳
- 健康寿命(女性):約64歳
つまり、人生の約15〜20年を何らかの健康問題を抱えて過ごしているという現実があり、それをいかに短縮するかが重要な課題とされています。
イギリスの国民保健サービス(NHS)と健康意識の高まり
イギリスには国民皆保険制度「NHS(National Health Service)」があり、すべての市民が無料で医療サービスを受けることができます。この制度の存在が、イギリス人の健康意識を高める要因の一つです。
1. NHSの役割
NHSは病気の治療だけでなく、予防医療や健康教育にも力を入れています。例えば:
- 定期健康診断の実施
- ワクチン接種の促進
- 肥満・喫煙・飲酒に関する啓発活動
これにより、国民が病気になる前にリスクを減らし、健康を維持することを促進しています。
2. 公共キャンペーンの存在
イギリスでは、「Change4Life」や「Stoptober」などのキャンペーンが盛んに行われています。これらは、運動の促進、健康的な食生活、禁煙などを目的としており、多くの国民が積極的に参加しています。
イギリス人が普段から気をつけている健康対策
イギリス人が日常的に行っている健康への取り組みは多岐にわたります。以下では、代表的な対策について紹介します。
1. 食生活の改善
近年、イギリスでは「健康的な食事」に対する関心が急速に高まっています。
- 野菜・果物の摂取推奨:「5 A Day」運動(1日に5種類以上の果物・野菜を摂取する)
- 加工食品の減少:砂糖や塩分を多く含む加工食品の消費を控える傾向
- ヴィーガンやベジタリアンの増加:倫理面と健康面から肉類を避ける人が増加
- 低脂肪・高たんぱく食の志向:特に中高年層で広がっている
スーパーマーケットでも「低カロリー」「糖質オフ」「オーガニック」などのラベル付き商品が目立つようになり、選択肢が豊富です。
2. 定期的な運動の実践
英国保健省は成人に対して、以下のような運動ガイドラインを推奨しています:
- 週に150分以上の中強度の有酸素運動(例:速歩、サイクリングなど)
- 筋力トレーニングを週2回以上行うこと
実際に、多くのイギリス人が次のような形で運動を取り入れています。
- 通勤・通学時のウォーキングや自転車利用
- 週末の公園でのジョギングやスポーツ
- フィットネスジムやオンラインワークアウトへの参加
特にロンドンなど都市部では、自転車通勤が環境意識の高まりとともに定着しつつあります。
3. メンタルヘルスのケア
イギリスではメンタルヘルスの重要性も広く認識されています。
- 職場でのカウンセリング制度
- 瞑想やマインドフルネスの実践
- SNSを通じたメンタルヘルス啓発
- 孤独対策(Loneliness Strategy)
特に若者や高齢者に対しては、孤立を防ぐための地域活動や、ボランティアによる訪問支援などが積極的に行われています。
4. 禁煙・節酒対策
イギリスでは喫煙率が年々減少しています。
- 全面禁煙の公共スペース(パブ、レストラン、オフィスなど)
- たばこのパッケージへの警告表示義務
- 禁煙サポートプログラム(NHS提供)
また、飲酒についても「1週間に14ユニット以下に抑えるべき」という公式ガイドラインがあり、多くの人が「断酒月間(Dry January)」などを通じて自己管理を行っています。
地域ごとの違いと課題
イギリスは国土が狭いながらも地域差が顕著です。
- ロンドンや南部地域では平均寿命・健康寿命ともに高い
- 北部やスコットランド、ウェールズでは相対的に低く、貧困や教育水準との相関が見られる
そのため、政府やNHSは地域格差の是正にも注力しており、地方自治体と連携した健康プログラムが展開されています。
テクノロジーと健康管理
近年ではスマートフォンやウェアラブルデバイスを使った健康管理も一般的です。
- FitbitやApple Watchでの歩数・心拍数管理
- カロリーや食事の記録アプリ
- オンライン診療の普及
- AIによるパーソナル健康アドバイスの導入
これらのツールは、個人の健康意識をより高め、日常生活での改善を促すきっかけとなっています。
まとめ
イギリス人の平均寿命はおおむね80歳前後と高水準にありますが、それ以上に注目されているのが「健康寿命」をいかに伸ばすかという点です。日常的な食生活の見直しや運動習慣、メンタルヘルスへの取り組み、禁煙や節酒など、多くの人々が自らの健康と向き合いながら生活を送っています。
また、政府とNHS、地域社会、テクノロジーが一体となって「健康を守る仕組み」を作り上げていることも、イギリスの大きな特徴です。
これからの時代、健康で長生きすることがより重要視される中、イギリスの取り組みから私たちが学べることは多いでしょう。
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