日系不動産会社がすたれていく理由

皆さんはイギリスに日系不動産会社があるのをご存じでしたでしょうか。
イギリスといってもロンドンにしかありませんが…
日系不動産会社とはただ単に日本人スタッフが働いているだけの不動産会社のことです。
不動産経験者はほぼ0といってもいいでしょう。
そんな私もひと昔前は大手の日系不動産会社で働いていました。
私も不動産経験なんて一切ありませんでしたが、営業出身ということで採用されました。
仕事をはじめていちばん驚いたのは、不動産に関する知識がなくても契約を簡単にとってこられることです。

右も左もわからない日本人が相手だから成り立つ商売

不動産会社に限らず日系と名の付く商売は顧客が異国の地で右も左もわからないうえに現地の言葉を話せないという弱みにうまくつけこんでいます。
その証拠にイギリスに長く住んでいる日本人は日系の不動産会社をいっさい利用しません。
現地に住んでいる日本人は不動産会社で働いている若いひとより十分イギリスのことを知り尽くしていますので日系の不動産会社が必要ないのです。

日系の不動産会社を使いたくても使えないひともいる

イギリスにくる日本人のほとんどが日系不動産会社に物件探しを依頼されていると思われがちですが、実際は違います。
イギリスといっても広く日本人が住んでいるエリアは広範囲にわたっています。
首都ロンドンに住んでいる日本人は全体の約6割、その他4割は他の都市や小さな町に住んでいます。
イギリスで日系不動産会社があるのはロンドンだけで他の都市や町にはありません。
つまりロンドン以外の都市や町に住むひとは日系不動産会社を使いたくても使えないのです。

英系不動産会社はサービスの質が悪い?

よく現地不動産会社はサービスの質が悪いというひとがいますが、それは昔の話で今はサービスが悪い会社はすぐにソーシャルメディアでたたかれて会社の評判がガタ落ちするのでサービスの質はかなり上がっています。
逆に現地不動産会社のほうがエリアについて知り尽くしているし、日本人がまったく住んでいないようなお洒落なエリアの物件をたくさん持ち合わせているので日本人コミュニティにこだわっていない方にとっては最適です。

日系不動産会社の武器

日系不動産会社の武器といえば、日本語での案内、そして車での送り迎えです。
ただ、コロナパンデミックがはじまってから車での送り迎えが密にあたるということで送迎が出来なくなってしまいました。
しばらくはこの車での送迎サービスは再開される見通しはありません。
日系不動産会社が現地不動産会社に勝るポイントは「日本語での案内」だけとなってしまったのです。

英語力の向上が日系不動産会社を破滅へと追い込む

日系不動産会社を利用するひとの多くは会社から日系不動産会社を利用するように指示されたというひとがほとんどです。
それでも最終的には個人の意思を尊重するというのが人事、総務の本音です。
英語がペラペラの日本人は日系不動産会社を利用する必要がないのです。
私が独自で海外慣れしているひとたちにアンケートをとったところ、海外にきて日本らしいサービスをされるとうれしい反面、気を使う場面も多く疲れると答えたひとが半数以上いました。
つまり日本人の日本サービス離れがすでにはじまっているのです。

現地の情報は日本人から聞いた方が入ってきやすいのでは

言語以外にも日系不動産会社を利用するメリットとして「現地の情報を日本語で教えてくれる」というのがあったのもひと昔前の話です。
今は、不動産会社の社員自体がイギリスに来て1年にも満たないひとばかりです。
そんなひとの知っている情報と「どこに日本のスーパーがある」とか、「どこにおいしいラーメン屋さんがあるか」などインターネットで簡単に調べられる情報だけです。
今はインターネット上で得られない情報(しかも日本語で)はないのです。

コロナパンデミックで物件のオーナーが日本人じゃなくてもいいと言い出した

ひと昔前は日本人以外のひとに物件に住んでほしくないというオーナーがたくさんいましたが、コロナパンデミックにより日本人の数が減ってしまった現状では日本人以外のテナントさんを探すようになりました。
そしてオーナーの日系不動産会社離れがおきています。
以前は日系不動産会社でしか扱っていない物件というのがたくさんありましたが、今は日系不動産会社での英系不動産会社どちらに依頼しても同じ物件が紹介されます。

ビジネスの形態が変わる

これからは、不動産会社のオンライン化がどんどん進み、店舗型の不動産会社がなくなり日系と現地不動産の格差がなくなっていくと予想されます。
オンラインでの物件紹介が主流になってきますと、現地不動産会社のウェブサイトがいろいろな言語に対応したものに変わります。
自動翻訳のレベルがどんどん上がっていくなかで、ウェブサイトを見ただけでは日系なのか英系なのかわからなくなってしまいます。
なかにはどうしても日本人スタッフに対応してほしいとなった場合でも、日本人コンサルタントを専属契約し必要なときだけズームミーティングなどでコンサル業務を外注するような感じになるのではないでしょうか。

日系不動産会社が消滅するわけおわかりになりましたでしょうか。

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