スペイン列車事故続報:なぜ行方不明者が見つからない?政府・警察の捜索と遺体損傷の噂を検証

スペイン中部トレド県ウルダで10月28日に発生した高速列車同士の衝突事故。10月31日朝の報道では、死者は69人となっている。事故から日がたっても家族の安否が分からず、連絡を待ち続ける人たちがいる。efe.com

「事故現場はそこまで広くないように見えるのに、なぜ見つからないのか」「政府や警察の捜索方法に問題があるのではないか」。

こうした疑問を考えるには、現場で人を捜す作業と、収容された犠牲者の身元を確認する作業、そして家族への通知を分けて見る必要がある。

また、「遺体が木っ端みじんになり、判別できないのではないか」という噂・推測についても、遺体の一部が回収されているという報道と、身元の特定が不可能だという判断は区別しなければならない。

まず、10月31日朝のEFE通信が伝えた状況は次のとおりだ。efe.com

項目報道されている状況
確認された死者数69人
法医解剖69人全員について終了
身元が確認された犠牲者36人
家族に通知された身元確認27件

この数字から分かるのは、犠牲者を収容することと、誰であるかを確定すること、家族に正式に伝えることが、それぞれ異なる段階だという点だ。

69人のうち33人は、この時点では身元確認が終わっていない。さらに、身元が分かった36人と家族への通知27件の間にも差がある。

家族がまだ知らせを受けていないという状況だけから、その人が現場で発見されていないとは判断できない。

行方不明届の件数も、そのまま「現場に残された人数」を表しているわけではない。地元メディアが伝えた集計では、行方不明の届け出は72件あり、そのうち5人が生存した状態で確認された。新たに確認された人の中には、病院にいた人や、事故当日に列車に乗っていなかった人もいた。Toledodiario

したがって、死者数と行方不明届の件数を単純に足し合わせることもできない。届け出と収容された犠牲者の情報を照合する必要がある。

では、現場の範囲が限られているように見えるのに、なぜ作業に時間がかかるのだろうか。

今回の事故では、停車中のIryoの列車にRenfeのAVEが衝突し、複数の車両が線路脇の斜面に転落したと報じられている。写真で見える地表の広さだけでは、車両内部や下部、周辺に残る未確認箇所の数までは分からない。Radio Televisión Canaria

捜す土地の面積が小さいからといって、一人ひとりの確認まで短時間で終わるとは限らない。INTERPOLも、大規模災害では現場からの収容だけで数日から数週間かかる場合があると説明している。interpol.int

実際、国家治安警察グアルディア・シビルは31日朝も現場での作業を再開した。犬を使った捜索班が人や遺体の一部を捜し、司法警察が事故の証拠を集める一方、鑑識部門は法医学機関で身元確認に協力している。efe.com

公表されている範囲でも、現場の捜索と鑑定は並行して進められている。これだけを見て「当局が探し方を間違えている」と断定できる材料はない。初動や人員配置、病院との情報共有が適切だったかを評価するには、時間ごとの対応記録を確認する必要がある。

遺体損傷の噂については、確認された事実がある。

カスティーリャ・ラ・マンチャ州のガルシア=パヘ州首相は、収容された68人分の遺体と病院で亡くなった1人に加え、遺体の一部を収めた31袋が回収されていると説明した。州首相は、このことが身元確認を複雑にしていると述べている。Cadena SER

つまり、遺体の一部が回収されていることまでを、根拠のない噂として片づけることはできない。

一方で、「犠牲者の遺体がすべて粉砕された」「誰の遺体か今後も分からない」といった話は、この説明からは導けない。今回確認した資料にも、未確認の犠牲者について身元の特定が不可能とする公式判断は見当たらない。

31袋という数も、31人の追加犠牲者を意味しない。回収された遺体の一部が、すでに確認された犠牲者に由来するのか、別の人に由来するのかを調べる必要がある。INTERPOLの指針も、行方不明者全員の身元を確認することと、回収された遺体の一部を一つずつ個人に結びつけることを、異なる作業として扱っている。interpol.int

「外見では分からない」ことと「科学的にも特定できない」ことにも違いがある。INTERPOLは、大規模災害の犠牲者を外見だけで確実に識別するのは難しく、指紋、歯科記録、DNAなどによる確認が必要になると説明している。interpol.int

今回も、グアルディア・シビルは近親者からDNA試料を採取する窓口を設け、身元確認への協力を呼びかけている。損傷が大きい場合ほど照合に時間がかかる可能性はあるが、そのことだけで「判別不能」と決めつけるのは早い。web.guardiacivil.es

それでも、家族が当局の対応に怒りを覚える理由は理解できる。

laSextaは30日、兄弟の安否が分からない男性が、長時間待っても連絡がほとんど進まないことに不満を訴えたと報じた。男性によれば、当局からは確実な確認のために待つよう求められていたという。lasexta.com

家族にとって知りたいのは、最終的な結果だけではない。今どの段階なのか。追加で提出できる資料はあるのか。次の説明はいつなのか。答えがまだ出せなくても、伝えられる情報はあるはずだ。

筆者は、政府や警察への検証では、こうした連絡体制を具体的に問うべきだと考える。

病院、鉄道会社、警察、法医学機関の情報は、どの時点で共有されたのか。家族には担当窓口が示され、定期的な説明が行われていたのか。身元確認が済んでから通知までの間に、避けられる遅れはなかったのか。

INTERPOLの指針でも、家族には調査に見込まれる期間を知らせる必要があり、遺体の一部の確認が長期化する可能性について説明すべきだとしている。正確な鑑定を進めることと、その過程を家族に伝えることは、どちらも必要な対応だ。interpol.int

現時点で「捜索が下手だから見つからない」と結論づけることはできない。遺体の一部の回収や身元確認の難しさは報じられているが、「損傷のため特定は不可能」という話は確認されていない。

政府と警察に求めたいのは、捜索、鑑定、家族への通知のそれぞれについて、何が終わり、何が残り、どこに時間を要しているのかを説明することだ。家族が待ち続ける理由を伝えられなければ、情報の空白を噂が埋めることになる。

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