自宅の寝室で眠っている間に、夫から性的暴行を受け、撮影までされていた。英国で、長年連れ添った夫に薬を盛られた妻たちの被害が、相次いで明らかになっている。被害女性への取材を重ねてきたITVは、こうした行為の一部が、虐待映像を共有するオンラインのネットワークと結びついていると報じている。
2026年1月、フィリップ・ヤングは、元妻ジョアン・ヤングさんに対するレイプ11件を含む計48件の罪を認めた。英国検察庁の発表によると、罪には性行為を可能にするために相手を昏睡させたり抵抗できなくさせたりする薬物投与、盗撮、性的暴行などが含まれる。
ジョアンさんは匿名で保護される権利を放棄し、同年10月には法廷で証言した。AFPによると、彼女は2023年のある夜、寝室に見知らぬ男がいることに気づき、強い衝撃を受けたという。この事件では、夫に招かれて彼女に性的暴行を加えたとして別の男4人が公判に臨んでいる。4人はそれぞれの起訴内容を否認しており、元夫が認めた犯罪と、審理中の被告たちへの疑惑は区別する必要がある。
別の事件では、2026年9月、ストックポートの60代の男が、妻に対する20年以上にわたる虐待に関して、計60件の罪を認めた。グレーター・マンチェスター警察によると、男は妻への薬物投与やレイプなどを認めている。被害女性の匿名性を守るため、夫の氏名も公表されていない。
被害の実態は、女性たち自身の証言からも浮かび上がる。ゾーイ・ワッツさんはITVの取材に対し、夫が長年、夜のお茶に睡眠薬を混ぜ、意識を失った自分をレイプしていたと明かした。事実を知ったきっかけは、夫自身の告白だった。ITVによると、元夫はレイプなどの罪で懲役11年の刑に服している。日常の何気ない習慣の中に、被害が隠されていた。
「ルーシー」という仮名で取材に応じた女性は、2021年、目を覚ますと見知らぬ男からレイプされ、夫がその場で見ていたと語った。ITVは、夫が彼女に薬を盛り、他の男を招いていたことを認める、刑務所からの通話記録も入手しているという。夫が服役した後も、彼女は他の加害者が特定されていないことへの恐怖を訴える。また、長く続いた体調の異変について、当時は病気だと思っていたと説明している。
こうした被害を広げる要因として、捜査当局が警戒しているのがインターネット上のつながりだ。英国の国家犯罪対策庁(NCA)は2026年7月、あるオンライン掲示板などに関する情報を国内外の関係当局へ提供した結果、少なくとも14件の捜査につながったと発表した。加害者同士が結びつき、性暴力の映像や写真を共有する構造が確認されている。
ただし、事件の発覚が相次いでいることから、犯罪の発生率そのものが急増しているとまでは断定できない。NCAも、被害が十分に通報されていないと考えられ、実際の規模はまだ分からないとしている。長年続いていた犯罪が、捜査や被害女性の告白によって表面化している面も見落とせない。
法的に中心となるのは、本人の同意である。イングランドとウェールズの検察庁は、眠っている人や意識を失っている人には同意する能力がないと説明する。英国警察の案内も、結婚や交際関係の中でレイプが起こり得ると明記している。結婚していることや、過去に性行為へ同意したことが、その後のあらゆる行為への同意になるわけではない。
ワッツさんは、パートナーによる性暴力被害を語るアマンダ・スタンホープさんとともに「#EndEyeCheck」という運動を始めた。被害を記録した映像の扱いや、オンラインでの共有への対策、被害者同士が支え合える仕組みを求めている。
家庭内の性暴力は、被害を受けた本人が何が起きたのか分からないまま続くことがある。グレーター・マンチェスター警察は、被害を疑う人に対し、相談するために証拠や確信、鮮明な記憶がそろっている必要はないと呼びかけている。妻たちの証言は、安全なはずの自宅で起きていた犯罪を明るみに出し、被害を見つけて支える側の対応を問い直している。










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