なぜトランプはいまだに支持されるのか? イラン戦争でガソリンが値上がりしても残る支持

「物価を下げる」と訴えて政権に返り咲いた大統領が、今度は自ら決めた軍事行動でガソリンを値上がりさせた。それでも支持する人がいる。イギリスでも燃料代の上昇を負担している私たちからすれば、「アメリカ人はバカなのか」と言いたくなるかもしれない。だが、世論調査を読むと、アメリカ人の多くはすでに戦争にも大統領にも厳しい評価を下している。そこから浮かぶのは、同じ値上がりを経験しても、誰に責任があると考えるかが支持政党によって大きく違うという問題だ。

イランへの攻撃は、イギリスの給油所にも跳ね返った

2026年2月28日、トランプ政権下のアメリカはイスラエルとともにイランへの攻撃を開始した。イランは報復に出て、原油や液化天然ガスの主要輸送路であるホルムズ海峡の通航が混乱した。英国議会下院図書館によると、平時には世界の石油と液化天然ガスのそれぞれ約2割がこの海峡を通る。ここで輸送が滞れば、中東から離れた国でも燃料や物流のコストが上がる。

米労働統計局によると、9月の米消費者物価は前年同月比で3.7%上昇。ガソリン価格は前月比で9.1%上昇し、同月の物価上昇分の半分以上を占めた。イギリスでも9月の消費者物価上昇率は8月の3.1%から**3.5%へ上がり、自動車用燃料を中心とする交通費が加速の最大要因だった。IMFは10月時点で、2026年の世界全体のインフレ率を4.7%**と見込んでいる。物価を動かす要因は国ごとに異なるが、今回の軍事行動と報復に伴うエネルギー供給の混乱は、米英の家計に同時に負担をかけた。

アメリカ人の多数は、すでにトランプ氏に厳しい

11月2日公表のロイター・イプソス調査で、トランプ氏の大統領としての仕事ぶりを支持した人は32%だった。ピュー研究所の9月末から10月初めの調査では、対イラン軍事行動への対応を65%が不支持とし、支持は33%だった。さらに、2024年にトランプ氏に投票したことが確認できた人の間でも、政権発足直後に95%だった仕事ぶりへの支持は、同じピューの調査で67%まで下がっている。物価高と戦争をめぐる不満は、もともとトランプ氏に票を入れた層にも及んでいる。

同じガソリン価格を見ても、責任の所在が違う

AP通信とNORCの9月下旬の調査では、アメリカの成人全体の**65%が、平常時より高い物価はトランプ氏の政策の結果だと答えた。一方、共和党支持者の67%は、大統領の力が及ばない要因で物価が上がっていると答えた。ピューの調査でも、共和党支持者と共和党寄りの無党派層の63%**が対イラン軍事行動へのトランプ氏の対応を支持していた。攻撃を始めた政権に責任があると見る人もいれば、イランの報復や国際市場の混乱を重く見る人もいる。負担を感じていても、誰にその責任を問うかで政治的な反応は変わる。

投票先を決める材料も一つではない。ピューの調査では、共和党候補を支持する登録有権者の**82%**が経済を、**72%**が移民を、投票先を決める上で「非常に重要」と答えた。同じ調査で、共和党候補を支持する人の半数は、議会選挙での投票を決める上でトランプ氏は要因になっていないと答えている。ガソリン代には腹を立てながら、移民政策や地元候補への評価で共和党に票を入れる。そうした選択は、議会選挙での共和党票を読み解く上で欠かせない。

イギリスの家計にも届く決定を、誰が裁くのか

イギリスで暮らす私たちには、給油のたびに負担が増えても、アメリカの選挙でその判断に一票を投じる機会はない。だからこそ米国の有権者には、イランの報復が価格を押し上げたという説明を聞くとき、攻撃を始める前にトランプ政権が何を見込んでいたのかも問うてほしい。ホルムズ海峡の混乱を予測していたのか。燃料高が長引く場合、誰がその代償を払うと考えていたのか。戦争の目的に賛成する有権者にも、政権に答えを求める理由はある。

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