「イギリスでは、どんな日本のアニメが人気なの?」
以前なら、ドラゴンボール、ポケモン、NARUTO、ONE PIECEあたりを挙げておけば大きく外れることはありませんでした。
しかし2026年のイギリスを見ていると、状況はかなり変わっています。
今や日本のアニメは、一部の「Anime Geek」だけが楽しむマニアックな文化ではありません。
NetflixやCrunchyrollなどで普通に日本アニメを見る若者が増え、ロンドンの映画館では日本のアニメ映画が大規模公開され、街を歩けばアニメキャラクターのTシャツやバッグを身につけている人も珍しくなくなりました。
世界最大級の配信サービスNetflixも、世界の会員の半数以上がアニメを視聴していると2026年に明らかにしています。これは英国だけの数字ではありませんが、アニメが世界の映像コンテンツの一ジャンルとして完全に定着したことを示しています。
さらに英国最大級のポップカルチャーイベントMCM Comic Con Londonでは、アニメ、漫画、コスプレがイベントの大きな柱となっており、主催者によると5月のイベントで10万人以上、10月には13万人以上を集める規模になっています。
では2026年現在、イギリスで特に存在感のある日本アニメは何なのでしょうか。
※英国だけを対象にした公式の年間アニメ視聴ランキングは存在しないため、この記事では英国での映画興行、配信状況、2026年のCrunchyroll Anime Awards、作品の話題性や英国での知名度などを総合して紹介しています。
第1位 鬼滅の刃
2026年のイギリスで日本アニメを語るなら、やはり『鬼滅の刃』を外すことはできません。
日本ではすでに国民的作品ですが、注目すべきなのは英国でも映画館に人を呼べる作品になったことです。
『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Infinity Castle(鬼滅の刃 無限城編)』は2025年に英国で約888万ドルの興行収入を記録しました。上映館数も最大471館に達しています。
これは「日本人や一部のアニメファンだけが見に行く映画」という規模ではありません。
さらに2026年のCrunchyroll Anime Awardsでは、『無限城編』がFilm of the Yearを受賞しました。
戦闘シーンの映像美、分かりやすい善悪、家族愛、悲劇的なストーリー。
こうした要素は日本文化を深く知らない英国人でも入りやすく、現在の日本アニメを代表する作品の一つになっています。
第2位 呪術廻戦
イギリスの若いアニメファンから非常に強い支持を集めているのが『呪術廻戦』です。
2026年1月にはSeason 3がスタートし、「死滅回游」を描く新シリーズが欧州を含む地域でCrunchyroll配信されました。
『呪術廻戦』が英国で受けやすい理由の一つは、作品の雰囲気が非常に現代的なこと。
単純な「正義のヒーローが悪者を倒す」という物語ではなく、キャラクターが死に、正義と悪の境界も曖昧で、ストーリー自体もかなりダークです。
こうした少し大人向けの作風は、欧米のドラマやダークファンタジーを見慣れている視聴者との相性も良いのでしょう。
五条悟など個々のキャラクター人気も非常に強く、コスプレやグッズを含めて英国で存在感のある作品です。
第3位 ONE PIECE
「こんなに長いアニメを、イギリス人が本当に見るのか?」
と思う日本人もいるかもしれません。
しかしONE PIECEは、2026年になっても世界的な人気が衰えていません。
2026年のCrunchyroll Anime AwardsではBest Continuing Seriesを受賞。
さらに2026年夏にもアニメ版はCrunchyrollで配信が続き、エルバフ編が展開されています。
そして英国を含む海外でONE PIECE人気をさらに押し上げたのがNetflixの実写版です。
2026年3月には実写版『ONE PIECE』Season 2がNetflixの英語テレビシリーズ世界ランキングで1位となり、1週間で1,680万ビューを記録しました。
実写版から原作漫画やアニメに入った海外ファンも多く、ONE PIECEは「日本の人気漫画」から世界的IPへ完全に変わりつつあります。
第4位 僕のヒーローアカデミア
英国を含む英語圏との相性が抜群なのが『僕のヒーローアカデミア』です。
理由は非常に分かりやすい。
「Superhero」という、もともと英国やアメリカの視聴者に馴染み深いジャンルだからです。
ところが中身はMarvelやDCとはかなり違い、日本の少年漫画らしい成長、友情、努力、師弟関係が描かれます。
この組み合わせが海外で長く支持されました。
そして2026年のCrunchyroll Anime Awardsでは、FINAL SEASONがついにAnime of the Yearを受賞。
長年見続けてきた英国のファンにとっても、一つの時代が終わったという感覚の強い作品になっています。
第5位 ダンダダン
ここ数年で一気に海外人気を伸ばした作品が『ダンダダン(DAN DA DAN)』です。
宇宙人、幽霊、超能力、恋愛、青春、下ネタ、アクション。
文章にすると「何のアニメなのかよく分からない」のですが、その混沌とした感じこそが海外でも受けています。
2026年のAnime AwardsではSeason 2がBest Comedy Animeを受賞し、オープニング部門でも受賞しました。
昔の日本アニメが「日本文化を海外に紹介するコンテンツ」だったとすれば、ダンダダンのような作品は少し違います。
日本で作られたものを英国人がそのまま世界共通のエンターテインメントとして見ている。
2026年の日本アニメを象徴する作品の一つです。
第6位 薬屋のひとりごと
個人的に非常に興味深いのが『薬屋のひとりごと(The Apothecary Diaries)』の海外人気です。
派手な必殺技もなければ、世界を救うヒーローも出てきません。
主人公・猫猫が薬学や毒に関する知識を使って事件を解決していくという、かなり独特な作品です。
それにもかかわらず2026年のAnime AwardsではSeason 2がBest Drama Animeを受賞。さらに監督賞、猫猫のBest Main Character、声優賞などでも高い評価を受けました。
すでにSeason 3の配信もCrunchyrollから発表されています。
「海外ではバトルアニメしか売れない」という時代が終わりつつあることを象徴する作品ではないでしょうか。
第7位 チェンソーマン
『チェンソーマン』も英国でかなり強い作品です。
特に2025年に公開された映画『Chainsaw Man – The Movie: Reze Arc(レゼ篇)』は、英国で約334万ドルの興行収入を記録。
公開初週末には英国の映画興行ランキングで3位に入っています。
日本アニメ映画が英国で400館以上に展開され、一般の映画ランキング上位に入るということ自体、十数年前ならかなり考えにくかったことです。
チェンソーマンは暴力、ブラックユーモア、恋愛、人間の欲望などをかなりストレートに描きます。
「子供向けCartoon」という英国人がかつて持っていた日本アニメのイメージとは、ほぼ正反対の作品と言えるでしょう。
第8位 SPY×FAMILY
アクションアニメだけではありません。
英国で日本アニメを見る層が広がるにつれて、比較的ライトに見られる作品も強くなっています。
その代表が『SPY×FAMILY』。
2026年Anime AwardsではSeason 3がBest Slice of Life Animeを受賞し、アーニャも「Must Protect At All Costs Character」に選ばれました。
スパイ、殺し屋、超能力者という設定なのに、基本的には家族コメディとして楽しめる。
アニメ初心者にも勧めやすいため、英国で今後さらに長く残る作品になりそうです。
第9位 ガチアクタ
2026年版でぜひ入れておきたい新世代作品が『ガチアクタ(Gachiakuta)』です。
まだ鬼滅の刃やONE PIECEほど一般層まで知られているわけではありません。
しかしアニメファンの間では急速に存在感を高めています。
2026年Anime AwardsではBest New Seriesを受賞しただけでなく、Best Character DesignとBest Background Artも受賞。
さらにSeason 2もすでに発表されています。
落書きやストリートアートを思わせるビジュアルも特徴的で、従来の「日本的なアニメ」と少し違う雰囲気があります。
英国や欧州の若い層との相性という意味でも、今後かなり注目したい作品です。
第10位 ジョジョの奇妙な冒険
新作が出るたびに独特の存在感を見せるのが『ジョジョの奇妙な冒険』です。
2026年にはNetflixのアニメラインアップにも『STEEL BALL RUN JoJo’s Bizarre Adventure』が登場しています。
ジョジョは単純に「人気アニメ」というだけではなく、海外ではファッション、ミーム、音楽、ポーズなどを含めてカルト的な支持を受けているのが特徴です。
日本人からすると「なぜそこまでジョジョが好きなの?」と思うほど熱狂的な海外ファンもいます。
英国でも昔からアニメを見る層には非常に認知度が高く、2026年も外せないシリーズです。
ポケモン、ドラゴンボール、NARUTOはいまだに強い
ここまで2026年に動きのある作品を中心に紹介してきました。
しかし「イギリスで一番知られている日本アニメ」という意味なら、話は少し変わります。
今でも非常に強いのが、
ポケモン
ドラゴンボール
NARUTO
ONE PIECE
といった作品です。
特にポケモンについては、「Animeを見ないけれどPokémonは知っている」という英国人まで含めれば、知名度では現在の新作アニメを圧倒するでしょう。
ドラゴンボールやNARUTOも、現在20~30代になった英国人が子供時代に触れた日本アニメです。
つまり英国でも日本と同じように、すでに「子供の頃から日本アニメを見て育った世代」が大人になっているのです。
なぜイギリスで日本アニメがこれほど人気になったのか?
大きな理由は、やはりNetflixやCrunchyrollなどのストリーミングサービスでしょう。
昔の英国では日本アニメを見ようと思っても、DVDを買ったり専門チャンネルを探したりする必要がありました。
現在は違います。
スマートテレビをつければNetflixがあり、スマートフォンならCrunchyrollがある。
しかも日本で放送された作品がそれほど時間を空けず、字幕や英語吹き替え付きで配信されます。
日本アニメを見るための「壁」がほぼなくなったのです。
英国では「Anime」という言葉自体が普通になった
ここも昔との大きな違いです。
以前のイギリスでは、日本のアニメもDisneyなどと一緒に「Cartoon」と呼ばれることが少なくありませんでした。
しかし現在の若い世代は普通に、
「Do you watch anime?」
と言います。
AnimeはCartoonの一種ではなく、「Anime」という独立したジャンルとして認識されています。
MCM Comic Conのような巨大イベントでも、Anime、Cosplay、Pop Asiaなどが重要なカテゴリーになっています。主催者自身がMCMを英国最大級のポップカルチャーイベントとして位置づけ、アニメファンを主要な来場者層の一つとして扱っています。
これは日本文化にとってかなり大きな変化ではないでしょうか。
「日本だから見る」のではなく「面白いから見る」時代へ
そして2026年の英国アニメ事情を見ていて、最も大きな変化だと感じるのがこれです。
英国人が日本アニメを見るとき、
「Japanese cultureが好きだから」
という理由すら必要なくなってきています。
Netflixで面白そうだったから見る。
友人に勧められたから見る。
TikTokでキャラクターを見たから見る。
映画館で予告編を見て面白そうだったから見る。
それだけです。
つまり日本アニメが「外国文化」から「普通の娯楽」に変わりつつあるのです。
2026年、日本アニメは英国で完全にメインストリーム入りした?
まだBBCドラマやPremier Leagueのように英国社会全体が見るコンテンツとは言えません。
しかし少なくとも若い世代のポップカルチャーにおいて、日本アニメを「一部のオタクだけが見るもの」と考える方が現実から離れ始めています。
『鬼滅の刃』が英国471館規模で上映され、『チェンソーマン』が英国映画ランキング3位に入り、Anime Awardsでは毎年世界中のファンが作品について語る。
英国最大級のポップカルチャーイベントには10万人単位の人が集まる。
ここまで来ると、日本アニメは海外に輸出される特殊な日本文化というより、Netflixドラマ、Hollywood映画、ゲームなどと同じ世界のエンターテインメント市場で戦うコンテンツになったと考えた方が自然でしょう。
そして興味深いのは、日本人自身が思っている以上に「日本の普通の文化」が英国で受け入れられていることです。
寿司、ラーメン、日本酒、ユニクロ、ポケモン、Nintendo、そしてAnime。
2026年のイギリスを見ていると、「日本文化が海外で人気」という段階から、少しずつ「日本発であることを意識せず普通に消費される文化」へ変わり始めているように感じます。
これから英国で次に大ブレイクする日本アニメは何なのか。
日本に住んでいると意外と気づきませんが、イギリスで日本のアニメ人気を追ってみると、世界から見た「日本の強み」がかなり見えてくるのです。










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