イギリスの冬、暖房代を一番安くする方法は?ガス暖房・オイルヒーター・ファンヒーターを徹底比較【2026年版】

イギリスも夏が終わり、これからやってくるのが長く寒い冬です。

日が暮れるのは早くなり、朝晩の気温も一気に下がってきます。

そこで気になってくるのが、

「今年の冬、暖房代はいくらかかるのか?」

という問題です。

電気代もガス代も高いイギリス。

「セントラルヒーティングをつけたら請求額が怖い」

「一人しかいないのに家中を暖めるのはもったいない」

と思って、厚着をして寒い部屋で我慢している人もいるかもしれません。

しかし、寒い部屋で何時間も過ごすのは気分が滅入るだけでなく、健康面からもおすすめできません。

英国政府も、冬には長時間過ごすリビングや寝室などを少なくとも18℃程度に保つことを推奨しています。特に高齢者や持病のある人にとって、低すぎる室温は健康リスクになります。

だったら重要なのは、

「暖房を我慢する」のではなく、「必要な場所だけ効率よく暖める」こと。

今回は、イギリスの家庭でよく使われる

  • ガス・セントラルヒーティング
  • ポータブル・オイルヒーター(Oil-filled radiator)
  • ポータブル・ファンヒーター(Fan heater)

を中心に、

結局どれが一番安いのか?

2026年冬のイギリスの電気・ガス料金を使って徹底比較してみます。


2026年冬、イギリスの光熱費はまた上がる

まず知っておきたいのが、今年のエネルギー料金です。

Ofgemによると、2026年7月~9月の平均単価は、Direct Debitで支払う標準変動料金の場合、

エネルギー2026年7~9月
電気26.11p / kWh
ガス7.33p / kWh

となっています。

そして2026年10月1日から12月31日は、

エネルギー2026年10~12月
電気26.32p / kWh
ガス7.97p / kWh

となります。

典型的な家庭のEnergy Price Capも、現在の年間£1,663相当から**£1,723へ約4%上昇**します。

つまり、この冬特に問題なのはガス料金の上昇です。

一方、2026年10月から2027年3月までは家庭用電気料金のVATがゼロになるため、電気料金の上昇幅は比較的小さくなっています。

それでも、

電気26.32pに対してガス7.97p。

単純な1kWhあたりの料金では、依然として電気はガスの約3.3倍です。

ここが今回の暖房比較の最大のポイントになります。


結論:どの暖房が一番安い?

先に結論を書いてしまいましょう。

家全体を暖めるなら

ガス・セントラルヒーティングが基本的に一番安い。

1部屋だけ数時間暖めるなら

オイルヒーターが使いやすい。

10~60分程度、すぐ暖まりたいなら

ファンヒーターが便利。

自分一人だけ暖かければいいなら

部屋を暖めないという選択肢もあります。電気毛布やヒーテッドブランケットが圧倒的に安い。

つまり、

どの暖房器具が一番省エネかではなく、「どれだけ広い範囲を何時間暖めるのか」が重要なのです。


① ガス・セントラルヒーティング

イギリスの住宅で最も一般的なのが、ガスボイラーから各部屋のラジエーターに温水を送るセントラルヒーティングです。

最大のメリットは、

ガスそのものが電気より圧倒的に安いこと。

2026年10月からの平均料金で比較すると、

電気
26.32p/kWh

ガス
7.97p/kWh

です。

もちろんガスボイラーの場合、燃やしたガスの100%が室内の熱になるわけではありません。

それでも、例えば効率90%として単純計算すると、室内へ1kWh分の熱を届けるのに必要なガス代はおよそ、

8.9p程度。

電気ヒーターならほぼ、

26.3p程度。

つまり同じ量の熱を作るという比較なら、ガスの方が大幅に安いのです。

Energy Saving Trustも、ガス供給地域では、現代的なコンデンシング・ガスボイラーは一般的に電気暖房などよりランニングコストが安いとしています。


ではセントラルヒーティングをつけっぱなしにすればいい?

ここで大きな勘違いがあります。

「ガスの方が安い」

「一人しかいなくても家中のラジエーターを全部つけるのが一番安い」

という意味ではありません。

例えば3ベッドルームの家で一人だけリビングにいるのに、

リビング
キッチン
廊下
寝室3室
バスルーム

を全部暖めていたら、当然大量のエネルギーを使います。

この場合は2kW程度のポータブルヒーターでリビングだけ暖めた方が、最終的な料金が安くなる可能性があります。

だからセントラルヒーティングで最も重要なのが、

TRV(Thermostatic Radiator Valve)

です。

使っていない寝室などのラジエーターを低く設定し、人がいる部屋を中心に暖めるだけでも無駄を減らせます。

Energy Saving Trustも、プログラマー、ルームサーモスタット、TRVを組み合わせることで、必要な時間・必要な部屋だけ暖められるとしています。


② ポータブル・オイルヒーター

イギリスで冬になるとよく売れるのが、

Oil-filled radiator

です。

名前にOilと付いていますが、灯油を燃やしているわけではありません。

内部のオイルを電気で暖め、その熱を本体のフィンから放出する電気ヒーターです。


「オイルヒーターは電気代が安い」は半分本当、半分間違い

ここは非常に重要です。

例えば、

2,000Wのオイルヒーター

を最大出力で1時間動かしたとします。

2026年10月以降の電気料金26.32p/kWhなら、

2kW × 26.32p

約52.6p/時間

です。

つまり4時間フルパワーなら、

約£2.11。

30日続ければ単純計算で、

約£63。

決して激安ではありません。


ではなぜオイルヒーターは経済的と言われるのか?

理由は、

一度オイルが暖まると、電源が切れた後もしばらく熱を放出するから。

さらにサーモスタット付きなら、設定温度に到達するとヒーターが停止し、温度が下がると再び動きます。

そのため実際には2kWを常に消費し続けるわけではありません。

Electrical Safety Firstも、オイル式ラジエーターは暖まるまで時間がかかる一方、電源を切った後もしばらく熱を放出すると説明しています。

ただし、

「オイルヒーターだから同じ2kWのファンヒーターより電気を魔法のように少なく使う」わけではありません。

ここは覚えておいた方がいいでしょう。


③ ポータブル・ファンヒーター

Fan heaterの最大の魅力は、

速い。

これです。

スイッチを入れれば数秒後には暖かい風が出てきます。

朝起きて着替える10分間。

シャワーから出た後の20分間。

デスクで仕事を始める最初の30分。

こうした使い方なら非常に便利です。


ファンヒーターはいくらかかる?

一般的なファンヒーターは、

1kW
2kW

程度です。

2026年10月以降の平均電気料金で計算すると、

出力1時間フル稼働
1kW約26p
1.5kW約39p
2kW約53p

です。

つまり、

2kWのファンヒーターと2kWのオイルヒーターを1時間フルパワーで動かした場合、基本的な電気代はほぼ同じです。

違うのは暖め方です。

ファンヒーターは急速に暖める。

オイルヒーターはゆっくり暖めて、長く放熱する。

という違いです。

Electrical Safety Firstも、ファンヒーターは即暖性が高い一方、音が出ることなどを特徴として挙げています。


では結局、オイルヒーターとファンヒーターどちらが得?

筆者ならこう使い分けます。

状況おすすめ
朝の着替えだけファンヒーター
30分だけ暖めたいファンヒーター
在宅勤務で数時間同じ部屋オイルヒーター
リビングで夜3~4時間オイルヒーターまたはガス
家族全員が家にいるガス・セントラルヒーティング
複数部屋を暖めるガス
自分一人だけ電気毛布・ヒーテッドブランケット
寝る前に寝室を暖めたい短時間ヒーター+寝具

この使い分けが、イギリスの冬では非常に重要です。


実は一番安いのは「部屋ではなく人を暖める」

一人暮らしや在宅勤務なら、ぜひ考えてほしいのがこれです。

部屋全体を21℃まで暖める必要が本当にあるでしょうか?

例えば100Wのヒーテッドブランケットなら、

0.1kW × 26.32p

約2.6p/時間。

2kWのファンヒーターなら約53pです。

つまり単純な消費電力比較なら、

約20分の1。

ソファでテレビを見るだけ。

パソコンで仕事をするだけ。

読書をするだけ。

という場合なら、

ヒーテッドブランケット
+暖かい靴下
+フリース

という組み合わせはかなり強力です。

「家を暖める」のではなく、

「自分を暖める」。

今年のような光熱費の高い冬には、この考え方がかなり重要になってくるでしょう。


おすすめは「暖房を1種類に決めないこと」

実際には、

「今年はオイルヒーターだけ使う」

「ガスは高いから一切使わない」

という極端な方法はおすすめしません。

最も効率がいいのは、

暖房を組み合わせる方法です。

例えば筆者がおすすめするのは、

ファンヒーターを10~20分。

日中、一人で仕事

オイルヒーター+ヒーテッドブランケット。

夕方、家族が帰宅

ガス・セントラルヒーティング。

就寝前

寝室だけ必要に応じて暖める。

これなら、

「人がいない部屋まで一日中暖める」

という最大の無駄を防ぐことができます。


セントラルヒーティングは18~21℃を目安に

サーモスタットを、

24℃
25℃

に設定している家庭もありますが、当然エネルギー消費量は増えます。

Energy Saving Trustは、多くの家庭では18~21℃程度の中で、快適に感じる最も低い温度に設定することを勧めています。

2026年の同団体の試算では、サーモスタットを22℃から21℃へ1℃下げることで、Great Britainの家庭では年間約£120節約できる可能性があるとしています。

たった1℃でも、冬全体では差が出るわけです。


ガス暖房を安くするなら「Flow Temperature」も確認

コンビボイラーを使用している人なら、

Boiler Flow Temperature

も確認してみる価値があります。

これはボイラーからラジエーターへ送られるお湯の温度です。

必要以上に高く設定されていると、ボイラーの効率が悪くなる場合があります。

Energy Saving Trustによると、ボイラーのFlow Temperatureを60℃程度へ下げることで、条件によってはボイラー効率が約4%改善したという研究もあります。

ただし注意点があります。

給湯タンクを使用するConventional Boilerでは、むやみに温度を下げないでください。

温水シリンダーを持つシステムでは、設定によってはレジオネラ菌対策との関係があるためです。Energy Saving Trustもこの点を注意喚起しています。


暖房器具を買う前に「熱を逃がさない」

実は新しいヒーターを買うより費用対効果が高いことがあります。

それが、

Draught proofing(すき間風対策)

です。

イギリスの古い家に住んだことがある人なら分かるでしょう。

窓を閉めているのに寒い。

玄関ドアの下から冷たい風が入ってくる。

サッシ付近に手を置くと空気が動いている。

こうした住宅は珍しくありません。

どれだけ暖房しても熱が逃げれば、まさに

「穴の空いたバケツにお湯を入れている状態」

です。

英国政府も冬の暖房対策として、ドア周りなどへの安価なDraught Excluderの設置を勧めています。

さらに、

カーテンを閉める
使わない部屋のドアを閉める
ラジエーターを家具で塞がない
窓やドアのすき間を塞ぐ

だけでも体感温度はかなり変わります。


ポータブルヒーターで絶対にやってはいけないこと

暖房代を節約することも大切ですが、安全性はもっと重要です。

Electrical Safety Firstはポータブルヒーターについて、

カーテン、家具、紙など燃えやすい物から少なくとも1メートル離すこと

を推奨しています。

また、

延長コードに接続しないこと

も重要です。

高出力ヒーターは大量の電力を使うため、延長コードが過熱して火災につながる危険があります。

さらに、

衣類をヒーターの上で乾かさない
就寝中につけっぱなしにしない
外出中につけっぱなしにしない

といった基本的な安全対策も必要です。

特に2kWのヒーターはかなり大きな電力を使います。

「小さいヒーターだから大丈夫」

とは考えない方がいいでしょう。


2026年冬版・暖房コスパランキング

最後にまとめます。

第1位 ガス・セントラルヒーティング

家全体、または複数の部屋を長時間暖めるなら最強。

ガスは電気より1kWhあたりの単価が圧倒的に安いため、効率の良いガスボイラーなら基本的に最も経済的です。

ただし全部屋を無駄に暖めないこと。

TRV+タイマー+サーモスタット

を上手に使うのがポイントです。


第2位 オイルヒーター

一部屋を数時間暖めるなら優秀。

暖まるまで時間はかかりますが、静かで温度が安定しやすく、在宅勤務やリビングなどに向いています。

ただし「オイルだから電気代が激安」というわけではありません。

2kWでフル稼働すれば、

約53p/時間

です。


第3位 ファンヒーター

短時間勝負なら一番便利。

10分、20分、30分だけ使うなら非常に合理的。

一方、朝から晩まで2kWで回し続ける使い方はかなり高くつきます。


番外編 ヒーテッドブランケット

一人ならこれが圧倒的。

100W程度なら今回の電気料金で、

わずか約2.6p/時間。

「部屋全体ではなく自分だけ暖める」という考え方なら、コスト面ではほかの暖房器具とは比較になりません。


結論:「暖房をつけない」が節約ではない

イギリスでは、

「光熱費が怖いから暖房をつけない」

という人も少なくありません。

しかし、それでは冬の数カ月があまりにも辛くなります。

重要なのは、

寒さを我慢することではありません。

必要のない場所を暖めない。

必要のない時間に暖めない。

そして、

その状況に最も適した暖房方法を使う。

これだけです。

家族全員がいるならガス・セントラルヒーティング。

一人で一部屋ならオイルヒーター。

短時間ならファンヒーター。

自分だけ暖かければいいならヒーテッドブランケット。

さらにTRV、タイマー、カーテン、すき間風対策を組み合わせる。

これが、2026年のイギリスで、

暖かさを我慢せず、できるだけ光熱費を抑えて冬を乗り切る最も現実的な方法

ではないでしょうか。

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