イギリス、クリスマスに食料品3.9%値上がり?来夏には6.4%へ。「一体どこまで上がれば気が済むのか」を日本と徹底比較

また値上げです。

「もう聞き飽きた」という人も多いでしょう。

電気代が上がった。
ガス代が上がった。
家賃が上がった。
外食が高くなった。
そしてスーパーへ行けば、以前なら気軽にカゴへ入れていた商品を見て、一瞬考えるようになった。

そんなイギリスで、今度は食料品価格が2026年のクリスマスにかけて再び上昇し、2027年夏にはさらにインフレが加速する可能性が指摘されています。

英国の食品・飲料メーカーを代表するFood and Drink Federation(FDF)の最新予測によれば、食品・ノンアルコール飲料のインフレ率は、

2026年12月:前年同月比3.9%

そして、

2027年7月:前年同月比6.4%

まで上昇する可能性があります。

「6.4%? また食料品が今から6.4%値上がりするの?」

と思ってしまいますが、ここは少し注意が必要です。

6.4%というのは「今から一律6.4%値上げ」という意味ではなく、2027年7月の食品価格が前年同月より6.4%高くなるという予測です。

それでも、家計にとっては決して小さな数字ではありません。

何しろイギリスでは、すでに過去数年間で食品価格が大幅に上がっているからです。


2020年に£100だった食料品が、今では£138.60

今回のニュースで最も衝撃的なのは「3.9%」「6.4%」という数字より、むしろこちらかもしれません。

FDFがONS(英国国家統計局)のデータを基に示した例では、

2020年1月に£100で買えた食料品は、現在では約£138.60。

つまり約6年間で、

38.6%上昇

しています。

さらにFDFの予測通り食品インフレが進めば、2027年7月には同じ買い物が、

約£147.50

になると試算されています。

簡単に言えば、

時期2020年に£100だった買い物
2020年1月£100.00
2026年現在約£138.60
2027年7月予測約£147.50

ということです。

給料まで同じペースで約48%増えているのであればまだ話は分かります。

しかし、多くの家庭にとって現実はそう単純ではありません。

毎週スーパーで£100使っていた家庭なら、同程度の物を買うための支出が£140前後になり、それがさらに£150に近づこうとしている。

だから生活者の感覚として、

「一体、どこまで物価が上がれば気が済むのか?」

と思うのも無理はないでしょう。


ところで日本はどうなのか?

ここで気になるのが日本です。

日本でも、

「卵が高い」

「米が高い」

「お菓子が小さくなった」

「また食品メーカーが値上げ」

というニュースが日常になっています。

では、実際にイギリスと日本ではどちらの食料品が高いのでしょうか。

まず日本全体の物価を見ると、2026年7月の消費者物価指数は前年同月比1.9%上昇。生鮮食品を除いた指数は1.8%上昇でした。

数字だけならイギリスほど強烈には見えません。

しかし、日本の食品メーカーの値上げを見ると印象はかなり変わります。

帝国データバンクによれば、主要食品メーカー195社だけで、2026年9月に4,923品目が値上げ

しかも1回当たりの**平均値上げ率は11%**です。

2026年1~11月までに判明している値上げはすでに19,083品目。年間2万品目を超えることがほぼ確実とされています。

つまり、

「イギリスだけが物価高で、日本は安泰」

という話では全くありません。

日本も十分、値上げ地獄です。


【徹底比較】イギリスと日本、スーパーの食品価格はどっちが高い?

では実際の価格を比較してみましょう。

以下はロンドンと東京の一般的な食品価格を同じ重量・数量で比較したものです。

地域、スーパー、ブランド、セールなどによってかなり違うため、「英国全国平均 vs 日本全国平均」ではなく、ロンドンと東京で生活した場合のおおよその比較として見てください。

食品ロンドン東京ロンドンは東京比
牛乳 1L£1.40(約301円)約241円約25%高い
食パン 500g£1.63(約351円)約255円約38%高い
白米 1kg£1.80(約386円)約932円約59%安い
卵 12個£3.85(約827円)約363円約128%高い
チーズ 1kg£8.81(約1,894円)約1,871円ほぼ同じ
鶏むね肉 1kg£7.78(約1,672円)約1,192円約40%高い
牛肉 1kg£12.91(約2,775円)約3,202円約13%安い
リンゴ 1kg£2.35(約504円)約796円約37%安い
バナナ 1kg£1.11(約239円)約418円約43%安い
オレンジ 1kg£2.07(約444円)約707円約37%安い
トマト 1kg£2.96(約637円)約1,004円約37%安い
じゃがいも 1kg£1.12(約240円)約581円約59%安い

※価格は2026年夏時点のNumbeoによるロンドン・東京比較。為替換算を含むため変動します。

この表を見ると、かなり面白いことが分かります。


「イギリス=食料品が全部高い」は実は間違い

日本からイギリスへ旅行すると、

「£3って600円以上?」

「£5って1,000円超えるの?」

という感覚になるため、何でも異常に高く感じます。

確かに卵、パン、鶏肉、牛乳などはイギリスの方が高い

特に卵はかなり大きな差があります。

ところが、

  • じゃがいも
  • バナナ
  • リンゴ
  • オレンジ
  • トマト
  • 牛肉

などは、今回の比較ではむしろ東京の方が高くなっています。

特に驚くのが米です。

ロンドンの白米1kgの平均的な価格は約£1.80なのに対して、東京は約932円。

もちろん日本人が好む国産米と、英国スーパーで売られている安価な長粒米などを完全に同じ商品として比較することはできません。

それでも、

「日本なら食材は何でも安い」

という時代でもなくなってきたことが分かります。


日本の方が高いもの、イギリスの方が高いものには理由がある

日英で価格構造がかなり違います。

イギリスはTesco、Sainsbury’s、Aldi、Lidl、Asdaなど大手スーパー間の価格競争が非常に激しく、じゃがいも、バナナ、ニンジン、パスタ、米などの基礎的な食材が意外なほど安く売られることがあります

スーパーにとって、こうした商品は「店が安い」という印象を作る重要な商品でもあります。

一方、日本では国産農産物への需要が強く、米や果物、野菜などが比較的高価格になりやすい。

逆に卵や一部の肉類、豆腐、納豆など、日本の食文化に深く入り込んで大量に流通している商品は、日本の方が圧倒的に安い場合があります。

つまり、

イギリスと日本では「何が高いか」が違うのです。


では、なぜイギリスの食料品がこれからまた上がるのか?

今回FDFが警告している背景には、一つではなく複数の問題があります。

中東情勢によるエネルギー価格の上昇、英国・欧州の干ばつ、世界的な異常気象、エルニーニョ、物流費、包装資材、人件費などです。

特に食品は、原材料だけで作られているわけではありません。

例えばパン一つでも、

小麦を育てる

肥料を使う

収穫する

工場へ運ぶ

焼く

袋に入れる

倉庫で保管する

トラックでスーパーへ運ぶ

冷暖房・照明を使って販売する

という過程があります。

原油、ガス、電気、肥料、包装材、物流のどれか一つが上がっただけでもコストが増えます。

今はその複数が同時に上がるリスクがあります。

FDFによると、原材料市場では小麦、米、砂糖、コーヒー、カカオなどにも大きなコスト上昇が発生しています。

食品メーカーはこれまで利益を削るなどして小売価格への転嫁を抑えてきましたが、それにも限界がある、というのが今回の警告です。


実は「クリスマス3.9%」は以前の予測よりかなりマシ

ただし、今回のニュースにはもう一つ重要なポイントがあります。

FDFは以前、2026年末の食品インフレ率が9~10%近くまで上昇する可能性を警告していました。

ところが最新予測では3.9%まで大幅に引き下げています。

これは良いニュースです。

スーパー各社の価格競争や、企業によるコスト吸収、エネルギー価格の一時的な落ち着きなどによって、当初懸念されたほど急激な値上げが起こらなかったためです。

2026年7月時点の英国の食品・飲料インフレ率は、実際にはわずか1.3%程度まで低下していました。

問題は、

「値上げが終わった」のではなく、「値上げが先送りされている可能性がある」

ということです。

これが2027年夏の6.4%予測につながっています。


日本も安心できない。9月だけで4,923品目値上げ

そして、この問題はイギリスだけではありません。

日本では2026年9月、主要195社だけで4,923品目が値上げ。

内訳では、

  • 調味料:約1,959品目
  • 加工食品:約1,848品目
  • 酒類・飲料:約466品目
  • 乳製品:約278品目
  • 菓子:約272品目

などが値上げ対象になっています。

背景にあるのは原材料価格だけではありません。

原油・ナフサ価格、人件費、物流費、円安などです。

つまり日本でもイギリスでも結局、

エネルギー → 輸送 → 包装 → 食品

という形でコストが消費者まで回ってきます。


ただ、日本とイギリスには決定的な違いもある

日本では食品価格が上昇していても、スーパーやコンビニで売られる一商品の絶対価格は、英国より安いものもまだ多くあります。

特に、


牛乳
パン
鶏肉
惣菜
外食

などでは、日本の安さを感じる場面が少なくありません。

一方、イギリスでは食品価格だけではなく、

家賃、Council Tax、電気・ガス、交通費、外食費

まで同時に高い。

ここが家計にとって非常に厳しいところです。

「スーパーで£10余計に使うだけ」と考えると小さく見えます。

しかし、

家賃+£200
電気ガス+£30
Council Tax+£15
食費+£40
交通費+£20

というように、あらゆる支出が少しずつ上がれば、月単位では非常に大きな金額になります。

物価高の本当の怖さは、一つの商品が10%上がることではなく、生活に必要なものが全部少しずつ上がることなのです。


そして一番怖いのは「値上げに慣れてしまったこと」

数年前なら、

「食品が5%上がります」

と言われれば大ニュースでした。

ところが今では、

「また値上げ?」

で終わってしまう。

これこそが怖いところです。

2020年に£100だった英国の食料品が約£138.60になっている。

それでも私たちは普通にスーパーへ行き、普通にカードをタッチして買い物しています。

一つ一つの商品価格が少しずつ上がるため、気付きにくいだけなのです。

£1だったものが£1.10。

それが£1.20。

£1.30。

気が付けば£1.50。

一度上がった物価は、インフレ率が下がっても基本的には元の価格には戻りません。

ここは非常に重要です。

「インフレ率が6%から2%に下がった」=「物価が元に戻った」ではありません。

単に、

「値段が上がるスピードが遅くなった」

だけです。


2027年夏に6.4%なら、その後はどうなる?

今回のFDF予測では、食品インフレは2027年7月に6.4%でピークを迎えるとされています。

ただし、当然ながらこれは予測です。

戦争がどうなるか。

原油価格がどうなるか。

英国や欧州の天候がどうなるか。

世界の穀物生産がどうなるか。

為替がどうなるか。

これらによって数字は大きく変わります。

世界の食品価格そのものにも再び上昇圧力が出ており、FAO(国連食糧農業機関)の食品価格指数は2026年8月に2022年以来の高水準まで上昇しています。

つまり「英国国内だけの問題」ではありません。


結論:日本も高い。しかし今のイギリスで怖いのは「さらにこれから上がる」こと

今回、日本とイギリスを比べてみると興味深い結果になりました。

「英国の食料品は日本の2倍」というような単純な話ではありません。

卵、パン、鶏肉などは英国の方が高い。

ところが米、じゃがいも、果物などは日本の方が高いものも多い。

そして日本でも2026年だけで2万品目規模の食品値上げが見込まれています。

つまり、

日本も十分高くなっています。

しかしイギリスでさらに心配なのは、

すでに2020年から食品価格が約4割上昇している状態から、もう一段の値上げが予想されていることです。

2020年に£100。

現在£138.60。

2027年には£147.50。

ここまで来ると、

「どれだけ物価が上がれば気が済むのか?」

と言いたくもなります。

給料が同じペースで上がり続けるなら問題ありません。

しかしそうでなければ、数字上GDPが成長していても、株価が最高値を更新していても、一般家庭の生活が豊かになったとは感じられません。

経済ニュースで最も重要なのは、

「インフレ率が何%だったか」ではなく、結局、自分の給料で去年と同じものがどれだけ買えるのか。

そこなのではないでしょうか。

そして2026年のイギリスでは、その答えは残念ながら、

「以前より確実に買えなくなっている」

なのです。

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