イギリスのスーパーで小麦粉を買おうとすると、日本とはまったく違う名前が並んでいて戸惑います。
Plain Flour
Self-Raising Flour
Strong White Flour
Very Strong Bread Flour
Wholemeal Flour
など、初めて見ると、
「薄力粉はどれ?」
「強力粉はStrong Flourでいい?」
「Self-Raisingって何?」
「Plain Flour=薄力粉なの?」
と迷ってしまう人も多いでしょう。
特に注意したいのが、よく日本語で**「Plain Flour=薄力粉」**と説明されていることです。
実際には、これは完全には正しくありません。
この記事では、イギリスの小麦粉を日本の薄力粉・中力粉・強力粉と比較しながら、料理やお菓子作りではどれを選べばいいのか分かりやすく解説します。
まず結論|イギリスの小麦粉を日本の小麦粉にすると?
大まかに覚えるなら、次のようになります。
| イギリスの表示 | 日本で近いもの | 主な用途 |
|---|---|---|
| Plain Flour | 中力粉~薄力粉寄りの汎用小麦粉 | お菓子、ソース、衣、料理全般 |
| Self-Raising Flour | 小麦粉+ベーキングパウダー | ケーキ、スコーン、マフィン |
| Strong White Flour | 強力粉 | パン、ピザ |
| Very Strong Bread Flour | 高たんぱくの強力粉 | 食パン、パン作り |
| Wholemeal Flour | 全粒粉 | パン、焼き菓子 |
ここで最も重要なのは、
Plain Flour=日本の薄力粉そのものではない
という点です。
Plain Flourとは?
イギリスの家庭で最も基本的な小麦粉が、
Plain Flour(プレイン・フラワー)
です。
Plainとは「何も加えていない」という意味で、基本的には膨張剤などが入っていない普通の小麦粉です。
WaitroseでもPlain Flourを、ケーキ、ビスケットなど幅広く使える基本的な小麦粉として紹介しています。膨らませる必要がある場合は、ベーキングパウダーなどを別に加えます。
日本人からすると「普通の小麦粉=薄力粉」と考えたくなりますが、ここに大きな落とし穴があります。
Plain Flour=薄力粉ではない?
よく英国生活の情報サイトなどでは、
Plain Flour=薄力粉
と紹介されています。
料理上の代用品としては間違いではありませんが、厳密には同じものではありません。
日本の小麦粉は、たんぱく質量によっておおよそ、
- 薄力粉:6.5~8%
- 中力粉:8~9%
- 準強力粉:9~11.5%
- 強力粉:11.5~12.5%
と分類されます。
ところが、現在販売されているTesco Plain Flourの例を見ると、100gあたりのたんぱく質は9.9gです。
日本の分類だけに当てはめれば、むしろ薄力粉よりかなり高たんぱくです。
つまり、
Plain Flourは「英国で料理やお菓子に広く使われる普通の小麦粉」であって、日本の薄力粉と完全に同じではない
と考えるのが正確です。
ではPlain Flourは日本の何に一番近い?
これが少し難しいところです。
単純にたんぱく質量だけで考えると、英国のPlain Flourには日本の中力粉~準強力粉に近い商品もあります。
しかし、英国ではPlain Flourを、
ケーキ
ビスケット
マフィン
ペストリー
ソース
衣
などに普通に使用します。
TescoもPlain Flourを「Pastries, Biscuits and Muffins」に適した小麦粉として販売しています。
そのため英国のレシピで「Plain Flour」と書かれている場合は、素直にPlain Flourを使うのが一番です。
日本のレシピで「薄力粉」と書いてあったらPlain Flourでいい?
多くの家庭料理では、Plain Flourで代用できます。
例えば、
お好み焼き
唐揚げの衣
ホワイトソース
クッキー
一般的なケーキ
などなら、Plain Flourでも作ることができます。
ただし、非常に軽くふわふわしたスポンジケーキなど、日本の薄力粉の性質を前提にしたレシピでは、仕上がりが少し違う場合があります。
Plain Flourの方がたんぱく質が高い商品ではグルテンが形成されやすいため、混ぜすぎると日本の薄力粉より生地がしっかりした食感になりやすいからです。
本格的な日本のお菓子作りをしたい場合は、商品の栄養表示にある**Protein(たんぱく質)**を確認し、できるだけ低いものを選ぶのも一つの方法です。
Self-Raising Flourとは?
日本人が最も「これは何?」と思うのが、
Self-Raising Flour(セルフ・レイジング・フラワー)
でしょう。
名前を直訳すると、
「自分で膨らむ小麦粉」
です。
もちろん小麦粉が勝手に膨らむわけではありません。
小麦粉の中に最初から**膨張剤(Raising Agents)**が混ぜられています。
現在のTesco Self Raising Flourも、小麦粉にMonocalcium PhosphateとSodium Bicarbonateという膨張剤が加えられています。
つまり日本人的に考えるなら、
小麦粉+ベーキングパウダー
に近い商品です。
Self-Raising Flourは「薄力粉」ではない
ここも非常に重要です。
Self-Raising Flourは、
薄力粉
中力粉
強力粉
のような小麦粉の強さを表した名前ではありません。
「膨張剤が最初から入っている小麦粉」という意味です。
実際、Tesco Self Raising Flourのたんぱく質は100gあたり9.8gで、同社のPlain Flourの9.9gとかなり近い数値です。
そのため、
Self-Raising Flour=薄力粉
ではなく、
Self-Raising Flour=膨らむように調整された小麦粉
と覚える方が分かりやすいでしょう。
Self-Raising Flourは何に使う?
イギリスでは特に、
スコーン
スポンジケーキ
マフィン
一部のパンケーキ
などによく使われます。
TescoもSelf Raising Flourをケーキ、クッキー、スコーン向けの商品として販売しています。
イギリスのレシピには、
「200g self-raising flour」
などと普通に書かれています。
この場合、レシピに別途ベーキングパウダーの指定がなければ、基本的には追加する必要はありません。
Plain Flourしかない場合、Self-Raisingの代わりになる?
Plain Flourだけでも、レシピに合わせてベーキングパウダーなどの膨張剤を加えればSelf-Raising Flourの代わりとして使えます。
逆に注意したいのは、
Self-Raising FlourをPlain Flourの代わりに何でも使わないこと。
例えば、
ホワイトソース
天ぷら
パスタ生地
餃子の皮
など、膨らませる必要のない料理ではPlain Flourを使う方が適しています。
Self-Raisingを使うと、意図しない仕上がりになる可能性があります。
Strong Flourとは?これは日本の強力粉にかなり近い
パンを作る人が覚えておきたいのが、
Strong Flour
です。
正式には商品によって、
Strong White Flour
Strong White Bread Flour
などと書かれています。
これは日本の、
強力粉
にかなり近い存在です。
なぜ「Strong=強い」の?
小麦粉の「強い・弱い」は、味の強さではありません。
重要なのはたんぱく質とグルテンです。
小麦粉に水を加えてこねると、小麦に含まれるたんぱく質からグルテンが形成されます。
たんぱく質が多い小麦粉ほど、一般的に強く弾力のある生地を作りやすくなります。日本でも強力粉はパン用、薄力粉はケーキや菓子用に使われるのが基本です。
英国でも同じ考え方で、WaitroseはStrong Flourについて、高たんぱくで、こねることによってパンに必要な構造と弾力を作る小麦粉と説明しています。
Strong Flourのたんぱく質はどのくらい?
現在のTesco Strong White Flourでは、
100gあたりProtein 11.7g
となっています。
これは、日本で一般的に強力粉とされる11.5~12.5%という範囲にほぼ一致します。
ですから、
日本のレシピに「強力粉」と書いてあれば、英国ではStrong White Flourを選ぶ
と覚えておけばかなり分かりやすいでしょう。
Strong Flourは何に使う?
代表的なのは、
食パン
ロールパン
ピザ
フォカッチャ
などです。
TescoもStrong White Flourをパンとピザ生地向けとして販売しています。
パンは発酵中に発生するガスを生地の中に保持する必要があるため、しっかりとしたグルテンを形成できる小麦粉が向いています。
日本の強力粉とほぼ同じ考え方です。
Very Strong Bread Flourとは?
さらにスーパーを探すと、
Very Strong White Bread Flour
という商品もあります。
「Strongでも強いのにVery Strongって何?」
と思いますが、その名の通り通常のStrong Flourよりさらにパン作りに適した高たんぱくタイプです。
Tescoでも現在、Strong White Flourのほかに「Very Strong Bread Flour」が販売されています。
日本でいう、
高たんぱくタイプの強力粉
と考えると分かりやすいでしょう。
食パンなどをしっかり膨らませたい場合に向いています。
PlainとStrongは見た目ではほとんど分からない
Plain FlourとStrong White Flourを皿に出して比べても、普通の人にはほとんど違いが分かりません。
しかし水を入れてこねると違いが出てきます。
Strong Flourはグルテンが形成されやすいため、
伸びる
弾力がある
もちっとする
という性質が出やすくなります。
一方Plain Flourは、パン用Strong Flourほど強い生地を作ることを目的としていません。
だからこそ、
ケーキにはPlain
パンにはStrong
という使い分けになるわけです。
イギリスには「薄力粉」という名前の商品がほとんどない
日本ではスーパーへ行けば、
薄力小麦粉
強力小麦粉
と大きく書かれています。
一方、イギリスでは基本的に、
Plain
Self-Raising
Strong
という「用途や性質」を表す名前で売られています。
ここが日本人にとって非常に分かりにくいポイントです。
特に日本では家庭料理に薄力粉を使うことが多いため、
「薄力粉が見つからない!」
となりやすいのです。
しかし通常の英国料理であれば、まずPlain Flourを探せば問題ありません。
Wholemeal Flourとは?
もう一つよく見かけるのが、
Wholemeal Flour(ホールミール・フラワー)
です。
これは日本でいう、
全粒粉
です。
白い小麦粉では取り除かれる外皮や胚芽などを含んでいるため、色は茶色く、小麦らしい風味があります。
英国では、
Strong Wholemeal Bread Flour
なども販売されています。
つまり、
「Wholemeal=強力粉」
ではありません。
Wholemealは小麦粒のどの部分まで使っているかを表しており、
Strongはパン作りに適した小麦粉の強さ
を表しています。
そのため、
Strong Wholemeal Flour
という組み合わせも成立します。
Cornflourは「コーンフラワー」ではない?
英国スーパーでもう一つ注意したいのが、
Cornflour
です。
日本人が文字だけ見ると「とうもろこし粉」と考えてしまいますが、英国でCornflourとして売られているものは、通常、日本のコーンスターチに近いものです。
料理のとろみ付けや、ソースなどに使います。
Plain Flourとはまったく別の商品なので注意しましょう。
「00 Flour」は何?
イタリア料理コーナーなどでは、
Tipo 00 Flour
00 Flour
を見ることもあります。
これはイタリア式の小麦粉の分類で、英国のPlain / Strongや日本の薄力粉 / 強力粉とはまた別の基準です。
特にピザやパスタ用として販売されることが多いため、
「00だから薄力粉」
とは考えない方が安全です。
商品ごとに用途やProtein表示を確認しましょう。
日本のレシピをイギリスで作る場合はどれを買えばいい?
最も実用的にまとめると、次のようになります。
日本のレシピ:薄力粉
👉 Plain Flour
一般的な料理ならこれで問題ありません。
ただしスポンジケーキなど繊細なお菓子は、日本の薄力粉より仕上がりがしっかりする可能性があります。
日本のレシピ:中力粉
👉 Plain Flour
英国で最も手に入りやすい選択肢です。
うどんなど食感が重要な料理では、Protein表示を確認するとさらに選びやすくなります。
日本のレシピ:強力粉
👉 Strong White Flour / Strong Bread Flour
パン、ピザなどはこちらです。
これは日本の強力粉にかなり近いと考えて問題ありません。
日本のレシピ:全粒粉
👉 Wholemeal Flour
パン用なら、
Strong Wholemeal Bread Flour
を選ぶ方法もあります。
イギリスのレシピでは名前をそのまま信じてOK
逆に、英国のレシピを作る場合は難しく考える必要はありません。
レシピに、
Plain Flour
と書いてあればPlain Flour。
Self-Raising FlourならSelf-Raising Flour。
Strong Bread FlourならStrong Bread Flour。
英国のレシピは英国で販売されている小麦粉を前提に作られているので、指定されたものを使うのが一番確実です。
小麦粉選びで迷ったら「Protein」を見る
英国で日本のレシピを再現したい場合、覚えておくと非常に便利なのが栄養表示の、
Protein
です。
袋の裏に、
Protein 9.9g per 100g
などと書かれています。
100gあたりの数字なので、おおむねそのままたんぱく質の割合として比較できます。
日本の目安では、
| Proteinの目安 | 日本での分類イメージ |
|---|---|
| 6.5~8% | 薄力粉 |
| 8~9% | 中力粉 |
| 9~11.5% | 準強力粉 |
| 11.5~12.5% | 強力粉 |
となります。
ただし、小麦粉の性質はたんぱく質量だけですべて決まるわけではないため、あくまで選ぶ際の目安として考えてください。
結局、英国で3種類だけ覚えるならこれ
英国に住み始めたばかりなら、すべての小麦粉を覚える必要はありません。
まずはこの3つだけで十分です。
Plain Flour
普通の料理・お菓子用
日本の薄力粉の代用品として使われることが多いですが、実際には薄力粉よりたんぱく質が高い商品もあります。
Self-Raising Flour
膨張剤入りの小麦粉
スコーンやケーキなどに便利。
Strong Flour
パン用
日本の強力粉にかなり近い小麦粉です。
つまり、
料理・お菓子=Plain
膨らませるお菓子=Self-Raising
パン=Strong
と覚えておけば、英国のスーパーで小麦粉売り場を見てもほとんど困らなくなるでしょう。
イギリスの小麦粉・早見表
| 英国名 | 日本で近いもの | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| Plain Flour | 薄力~中力粉の代用 | 膨張剤なし | 料理、お菓子 |
| Self-Raising Flour | 小麦粉+膨張剤 | 最初から膨らむ材料入り | ケーキ、スコーン |
| Strong White Flour | 強力粉 | 高たんぱく | パン、ピザ |
| Very Strong Bread Flour | 高たんぱく強力粉 | より強い生地 | 食パン |
| Wholemeal Flour | 全粒粉 | 外皮なども含む | パン、焼き菓子 |
| Cornflour | コーンスターチ | でんぷん | とろみ付け |










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