「イギリス人って、実際どのくらい給料をもらっているの?」
海外の給料事情は、日本に住んでいると意外と分かりません。
イギリスは物価が高いとは聞くものの、実際の年収を日本円に換算してみると、ちょっと驚く数字になります。
イギリス国家統計局(ONS)によると、2025年4月時点のフルタイム労働者の年間給与中央値は、
£39,039
でした。
現在の為替を1ポンド=約217円として単純換算すると、
約847万円
です。
「イギリス人の普通の会社員って、年収850万円近くもあるの?」
と思ってしまいますよね。
日本では国税庁の2024年調査で、1年間勤務した給与所得者の平均給与は478万円でした。
数字だけを見ると、イギリスの給与はかなり高く見えます。
しかし実際にイギリスで生活すると、
「年収£40,000あっても、全然お金持ちではない」
というのが現実です。
なぜなのでしょうか。
イギリスの「普通の年収」は約£39,000
まず、イギリスの給料について見てみましょう。
ONSによる2025年の統計では、フルタイム労働者の給与中央値は、
年間 £39,039
週給では、
£766.60
でした。
前年の年間£37,439から4.3%増加しています。
ここで重要なのが「平均」ではなく**中央値(Median)**だということです。
中央値とは、給料の低い人から高い人まで順番に並べたとき、ちょうど真ん中にいる人の給料です。
一部の超高所得者によって数字が引き上げられにくいため、一般的な会社員の給料を見るには、平均値より中央値の方が実態に近いとされています。
つまり、
年収約£39,000は、イギリスのフルタイム労働者のかなり「普通」に近い年収
ということです。
日本円にすると約850万円
£39,039を1ポンド=約217円で計算すると、
約847万円
になります。
日本人の感覚だと、年収850万円と聞けば、
「かなり給料が高い」
という印象を持つ人も多いでしょう。
参考までに、
年収£30,000 → 約650万円
年収£40,000 → 約868万円
年収£50,000 → 約1,085万円
年収£70,000 → 約1,519万円
年収£100,000 → 約2,170万円
ほどになります。
こうして日本円にすると、英国の給料がものすごく高く感じられます。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
イギリスで稼いだポンドは、イギリスの物価で使わなければならないからです。
年収£40,000でも手取りは月£2,700程度
例えば、年収£40,000の会社員を考えてみます。
2026~27年度のイングランド、ウェールズ、北アイルランドでは、基本的なPersonal Allowance(所得税がかからない枠)は£12,570。
その上のBasic Rateは20%です。
さらに会社員の場合はNational Insuranceも支払います。
2026~27年度では、基本的に£12,570を超える一定範囲の給与に対して8%が課されます。
単純計算すると、年収£40,000の人の手取りは、
年間約£32,320
月にすると、
約£2,693
です。
もちろん年金、Student Loan、会社の福利厚生などによって実際の手取り額は変わります。
それでも、
「年収約870万円」
という日本円換算から想像するほど、毎月自由に使えるお金が多いわけではありません。
最大の問題は家賃
そしてイギリス生活で圧倒的に大きいのが、
住宅費です。
ONSによると、2026年7月のイギリス全体の平均民間家賃は、
月£1,393
でした。
日本円なら約30万円です。
さらにロンドンでは、
月£2,317
まで上がります。
現在の為替なら、およそ月50万円です。
もちろん、この£2,317はワンルームだけの数字ではなく、さまざまな物件サイズを含めたロンドン全体の平均なので、年収中央値と単純に比較することはできません。
それでも、
「給料も高いけれど、家賃もとんでもなく高い」
という英国事情はよく分かります。
年収850万円なのに「裕福」に感じない理由
日本円にすると約850万円という給料でも、イギリスでは必ずしも裕福とは感じません。
理由は家賃だけではありません。
Council Tax
電気・ガス代
交通費
外食費
食品
自動車保険
保育料
など、日本人から見ると非常に高く感じる支出がいくつもあります。
特にロンドンでは、
「給料は地方より高いのに、家賃を払ったらほとんど残らない」
という人も珍しくありません。
スーパーでも日本より高く感じるものが多い
最近イギリスを旅行した日本人なら、
「スーパーなのに意外と高い」
と感じたことがあるかもしれません。
外食になればさらに顕著です。
ロンドン中心部で普通のレストランに入り、
メイン料理
飲み物
サービスチャージ
まで払うと、一人£25~£40程度になることも珍しくありません。
£30なら現在の為替で約6,500円。
日本で「ちょっと普通にランチ」という感覚ではなくなってきます。
そのため、年収£40,000あるからといって、日本で年収850万円を稼ぐ人と同じ生活感覚になるとは限りません。
為替が「イギリス人が超高給」に見せている
もう一つ大きいのが為替です。
日本から見ると現在のポンドは非常に高いため、英国給与を円に直した瞬間に数字が大きくなります。
例えば£40,000なら、
1ポンド150円なら600万円。
1ポンド180円なら720万円。
1ポンド217円なら868万円。
同じ£40,000でも、日本円換算した年収はこれだけ変わります。
イギリスで働いてイギリスで生活している人にとっては、ポンド円の為替レートが上がったからといって、給料が突然増えたわけではありません。
日本から見たときだけ「年収870万円」に見えている面もかなりあります。
では年収£50,000なら裕福なのか?
では£50,000ならどうでしょう。
現在の為替なら、
約1,085万円。
ついに日本円では「年収1,000万円超え」です。
ところが、税金とNational Insuranceを引いた概算手取りは、
年間約£39,520
月額では、
約£3,293
です。
ロンドンで一人暮らしをして、高い家賃を払えば、これでも派手な生活ができるとは限りません。
日本の感覚でいう、
「年収1,000万円=かなり裕福」
というイメージを、そのまま英国に当てはめるのは危険です。
£70,000になるとかなり余裕が出てくる
年収£70,000になると、日本円では約1,520万円。
概算の月手取りは、
約£4,263
です。
このあたりまで来ると、一人暮らしであれば選択肢はかなり広がってきます。
ただし、ロンドンで子どもがいて、
広い家を借りる
保育園を利用する
車を所有する
となれば話は別です。
イギリスでは「年収が高い=生活費を気にせず暮らせる」というほど単純ではありません。
日本の平均給与478万円と単純比較してはいけない
国税庁によると、日本で1年間勤務した給与所得者の2024年の平均給与は478万円です。
一方、英国のフルタイム労働者の年間給与中央値£39,039を現在の為替で換算すると約850万円。
一見すると、
イギリス:約850万円
日本:約478万円
となります。
ただし、この2つをそのまま比較することはできません。
英国側はフルタイム労働者の「中央値」、日本側は給与所得者の「平均値」で、統計の対象や計算方法が異なるからです。
さらに物価、税金、社会保障、住宅費も全く違います。
それでも、
日本の賃金と英国の賃金にはかなり大きな違いがある
ということ自体は興味深いポイントです。
イギリスは「給料も高いが生活費も高い国」
英国の給与を日本円にすると、かなり魅力的に見えます。
フルタイム労働者の年収中央値は£39,039。
現在の為替なら約850万円です。
しかし、
ロンドンの平均家賃は月£2,317。
英国全体でも平均家賃は月£1,393です。
つまりイギリスは、
「給料が高い国」というより、「給料も高いけれど生活費も非常に高い国」
と考えた方が実態に近いでしょう。
日本から英国の年収だけを見ると、
「イギリス人はみんなお金持ち」
と思ってしまいます。
でも実際に暮らしてみると、
£40,000は決して大金持ちの給料ではありません。
この「日本円にした数字」と「実際の生活感」のギャップこそ、現在のイギリスを理解するうえで面白いところではないでしょうか。










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