イギリスでの中古車購入:個人売買や小規模業者から買ってはいけない理由

近年、イギリスでは物価高騰とともに中古車市場も大きな変化を見せています。特にコロナ禍以降、新車の供給が滞った影響で、中古車の需要が急激に高まり、その結果として価格も高騰しました。多くの人が手頃な価格で信頼できる車を求める中、「Autotrader」や「Gumtree」、「Facebook Marketplace」などのオンラインプラットフォームを通じた個人売買や、小規模修理工場が販売する車を検討する人も増えています。

しかし、結論から言えば、「イギリスで車の個人販売には手を出してはいけない」と断言できます。本記事では、なぜそう言い切れるのか、その背景にあるリスクやトラブル事例、信頼できる購入先の選び方などを詳しく解説していきます。


目次

  1. イギリスの中古車市場の現状
  2. 個人売買の魅力と落とし穴
  3. 小規模修理工場の闇
  4. ロンドン西部の修理工場事情
  5. よくあるトラブル事例
  6. 法律と消費者保護の限界
  7. 安全な中古車の購入方法
  8. おすすめの信頼できるディーラーとプラットフォーム
  9. 賢く買うためのチェックリスト
  10. まとめ:安物買いの銭失いにご用心

1. イギリスの中古車市場の現状

イギリスでは、自動車の新車登録台数が年々減少傾向にある一方で、中古車の販売数は安定的に推移しています。これは新車の価格上昇、サプライチェーンの混乱、ブレグジットによる輸入制限など複合的な要因が関係しています。

これにより、中古車の需要が急増。2023年には、平均的な中古車価格が過去最高を記録したとの報告もあります。小型車でも£5,000以上、中型車で£8,000〜£12,000が相場になりつつあり、以前のような「数百ポンドで良い車が手に入る時代」は完全に終わったと言えるでしょう。


2. 個人売買の魅力と落とし穴

AutotraderやFacebook Marketplaceには個人が直接出品する中古車が多く出回っています。一見、ディーラーを通さない分、価格が安く見えるのが魅力です。しかし、そこには大きなリスクが潜んでいます。

主なリスク

  • 虚偽情報:走行距離の改ざんや事故歴の隠蔽。
  • 整備不良:最低限の整備すらされていない車。
  • 保証なし:購入後すぐに故障しても泣き寝入り。
  • 「車の業者による偽個人出品」:実はプロの業者が「個人」を装って売っていることも。

特に走行距離(Mileage)の改ざんや、HPI(Hire Purchase Information)未チェックの車が多く出回っており、トラブルが絶えません。個人間売買では法的保護も非常に弱く、販売者が雲隠れすればそれで終わりです。


3. 小規模修理工場の闇

一部の中古車は小さな修理工場(mechanic garage)から販売されており、こうした業者は「プロだから安心」と思われがちです。しかし、現実はそう甘くありません。

小規模工場の特徴とリスク

  • 安価な部品での簡易修理のみ実施
  • 事故車を見た目だけ修復して販売
  • 販売記録を残さない「現金取引オンリー」
  • 返品・交換不可、保証なし

こうした業者は、表面上は清掃や塗装がされており綺麗に見える車でも、ブレーキパッドの摩耗やタイミングベルトの老朽化など、致命的な故障リスクを抱えた車を平然と売りに出しています。


4. ロンドン西部の修理工場事情

特に注意が必要なのがロンドン西部(例:Southall、Hounslow、Hayes、Ealingなど)にある小規模修理工場です。

ここでは次のような傾向が見られます。

  • 客を見て値段を変える(いわゆるぼったくり)
  • 見積もりと最終請求額が大幅に異なる
  • 不要な修理項目を勝手に加える
  • 整備の質が低く、再修理が必要になるケース多数

この地域には比較的多国籍なバックグラウンドを持つ工場経営者が多く、言葉の壁や文化的背景を悪用して交渉を不利に進めるようなケースも報告されています。


5. よくあるトラブル事例

事例1:購入後1週間でエンジン警告灯点灯

Facebookで見つけた車を£3,000で購入。3日後にエンジンチェックランプが点灯し、修理工場に持ち込むとターボが完全に壊れていた。修理費は£1,800。

事例2:HPI未確認で未払いローン付き

Autotraderで見つけた車を安く購入したが、数ヶ月後にファイナンス会社から差し押さえの通知。実はローンが完済されていなかった。

事例3:ブレーキが効かない

小規模修理工場で「点検済み・安心」と書かれた車を購入。2週間後、高速道路でブレーキが効かなくなり事故未遂。整備記録もなかった。


6. 法律と消費者保護の限界

イギリスには「Consumer Rights Act 2015」や「Sale of Goods Act」など、消費者を守る法律がありますが、これはあくまで商業ディーラーからの購入が前提です。個人間売買では、基本的に「現状有姿(sold as seen)」が適用されるため、購入後に問題が発覚しても訴訟するしかありません。

加えて、訴訟費用や手間を考えると、多くの人は泣き寝入りするしかないのが現状です。


7. 安全な中古車の購入方法

最も安全なのは、以下の条件を満たす大手中古車ディーラーを利用することです。

  • 認定中古車(Approved Used)を扱っている
  • HPIチェック済みである
  • 最低3ヶ月以上の保証付き
  • 返品・クーリングオフ制度がある
  • オンラインレビューで高評価

たとえば以下のような販売店やプラットフォームが該当します。


8. おすすめの信頼できるディーラーとプラットフォーム

  • Arnold Clark:スコットランド最大手、全車保証付き
  • Evans Halshaw:全国展開、認定中古車多数
  • Motorpoint:低走行車中心、価格透明
  • RAC Approved Dealers:RACの基準を満たした販売店のみ掲載

これらは価格は若干高めでも、トラブルリスクが圧倒的に少なく、安心して購入できます。


9. 賢く買うためのチェックリスト

中古車を検討する際には、以下の項目を必ず確認しましょう。

  • HPIレポート取得(Finance、Stolen、Write-offのチェック)
  • MOT履歴をオンラインで確認(GOV.UK MOT check
  • サービス履歴(Service History Book)があるか
  • 現車確認(試乗・異音・オイル漏れ等)
  • 販売者の情報と住所確認
  • 書類一式(V5Cログブック、MOT証明、保証書など)の確認

10. まとめ:安物買いの銭失いにご用心

中古車選びは慎重に行わなければ、高額な修理費や、最悪の場合には命に関わる事態を招く可能性もあります。

「安く買えた」喜びは一瞬、「トラブルの連続」は数年続く。

イギリスで中古車を買うなら、安易に個人売買や小規模業者に手を出すのではなく、信頼できる販売店から購入するのが最善です。

車は日々の生活を支える大切なパートナー。購入時には「安さ」よりも「信頼」と「安全」を優先しましょう。

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