
イギリスで生活するにあたり、公共交通機関だけでは生活が不便な地域も多く、車の所有を考える人は少なくありません。特に郊外や地方都市では、車はほぼ必需品です。しかし、いざ「車を買おう」と思っても、現地での購入方法やメンテナンス体制に不安を感じる人は多いのではないでしょうか。
日本と同様、イギリスにも新車・中古車を購入する選択肢がありますが、外国人という立場で考えると、新車を正規ディーラーから購入する方が圧倒的に安全で安心です。本稿では、その理由を深掘りし、中古車を買って整備工場を利用した際のリスクや、実際に起こり得るトラブルなども交えながら、約8000文字で徹底的に解説していきます。
1. 正規ディーラーで新車を契約する5つの安心ポイント
(1)初期不良の心配がほぼゼロ
正規ディーラーで新車を購入すれば、その車は出荷前に厳格な検査を受けています。加えて、走行距離もゼロに近く、前オーナーによる乱暴な運転や整備不良などの心配もありません。中古車だと、走行距離や使用状況により、納車直後に故障するケースも少なくありません。
(2)3年間はMOT(法定点検)が不要
イギリスでは新車は初回登録から3年間はMOT(Ministry of Transport Test)を受ける必要がありません。これは日本の車検に相当する制度で、通常は年に1度必要になります。つまり、新車であれば最初の3年間は法定点検・更新費用の心配がなく、非常に経済的です。
(3)正規サービスの品質と信頼性
正規ディーラーにはメーカーのトレーニングを受けたスタッフがおり、最新の設備と診断機器を完備しています。車両に不具合が生じた場合でも、純正部品と専門技術で修理され、修理履歴も公式に記録されます。これにより、万が一の際も責任の所在が明確で、安心して車を任せられます。
(4)外国人でも明朗会計と法的保護がある
正規ディーラーは契約書、保証内容、整備履歴を詳細に記録し、料金も事前に明示します。イギリスでは「Consumer Rights Act」などの消費者保護法があり、正規業者との取引はその範囲内で守られています。言語や文化の違いでトラブルになるリスクが最小限に抑えられるのです。
(5)アフターサービスと保証の充実
通常、イギリスの新車には3年または走行距離6万マイルのメーカー保証が付きます(一部メーカーは7年保証などもあり)。この保証期間内であれば、故障や不具合が発生しても無料で修理対応してもらえます。さらに、定期点検パッケージや延長保証などのオプションも選べるため、長期的にも安心です。
2. 中古車を買って整備工場に持ち込むと起きがちな問題
(1)中古車市場は「当たり外れ」が大きい
イギリスの中古車市場は日本以上に玉石混交です。個人売買、街角の小さなディーラー、大手中古車チェーンなど販売形態も多岐にわたり、整備履歴や事故歴が不透明なまま販売されている車も多く存在します。「安く買えた」と思った車が、実は多くの修理が必要なポンコツだった…というのはよくある話です。
(2)信頼できる整備工場を見つけるのが難しい
正規ディーラー以外の整備工場(インディペンデントガレージ)は、技術力や価格設定がまちまちです。中には優良な業者もいますが、外国人と見ると相場より高額な見積もりを出してくる業者も少なくありません。
(3)「修理したことにするだけ」の詐欺も横行
残念ながら、外国人がターゲットになることも多く、実際には修理していないのに高額な修理費を請求されるケースが報告されています。例えば、ブレーキパッドを交換したと伝えられたが、実際には古いまま。エンジンオイルの交換もされておらず、エンジンが故障するという被害事例もあります。
(4)保証がなく、トラブル時に泣き寝入りになることも
正規ディーラーと異なり、多くの小規模整備工場や中古車販売店は保証制度が曖昧です。書面で保証内容が明記されていないことも多く、トラブルがあっても責任を認めてもらえないことがあります。訴訟になった場合も、費用や時間がかかり、現実的に泣き寝入りになるケースがほとんどです。
3. 実体験から学ぶ:外国人が被害にあいやすい典型的パターン
パターン1:安さに惹かれて個人売買で購入 → 直後にエンジンが故障
ロンドン在住の日本人Aさんは、Facebook Marketplaceで「格安・即納」と宣伝されていた中古車(フォード)を£1200で購入。しかし納車3日後、エンジンから異音が。修理工場で見てもらうと、「タイミングチェーンが切れかけており、修理には£1500かかる」との診断。売主は「売った後は責任を負わない」と返答し、泣き寝入りに。
パターン2:「地元で評判」と聞いた整備工場 → 実際には過剰請求
マンチェスターで中古車を所有する中国人Bさんは、近所のガレージにオイル交換とブレーキチェックを依頼。£60程度の予定が、後から「サスペンションが壊れていた」と言われ、£500を請求された。さらに数か月後、別の工場で診てもらったところ、修理は行われておらず、ブレーキもパッドが削れたままだった。
4. イギリスで車を持つ外国人がとるべき最善策
① とにかく新車を選ぶ
価格は高めですが、安全性、長期的なコスト、精神的な安心感を考えると、新車購入が最も合理的です。さらに、リース契約やPCP(Personal Contract Purchase)など月額払いのプランも多く提供されており、初期費用を抑えることも可能です。
② 正規ディーラーを通じて整備・点検する
車のメンテナンスやMOT、修理が必要な際も、必ず正規ディーラーや認定ガレージを利用するのが安心です。料金はやや高くつくこともありますが、品質・責任の明確さ・法的保護の面で安心できます。
③ 口コミとレビューを重視する
やむを得ず中古車を買う場合や、整備工場を利用する必要がある場合は、Googleレビュー、Trustpilot、Yelpなどの口コミを必ず確認しましょう。星の数やレビュー件数が多い業者ほど信頼できます。
まとめ:結論として新車+正規ディーラーがベスト
イギリスでの車の購入・維持には、**「安全性」「信頼性」「法的保護」**という3つの観点が欠かせません。中古車+インディペンデントガレージという選択肢は、コストが安く見える反面、外国人には多くのリスクが伴います。
一方、新車を正規ディーラーから購入すれば、以下のようなメリットが得られます:
- 品質保証とメーカー保証
- 最初の3年間はMOT不要
- 明朗会計と契約の透明性
- アフターサービスの充実
- トラブル時の対応がしっかりしている
これらを総合的に考えれば、**「最初から信頼できる正規ディーラーで新車を買う」**という選択こそが、外国人にとって最も安全で賢明な方法なのです。
イギリスで快適なカーライフを送るために、ぜひ正しい選択をしてください。
ご不安な点があれば、現地の日本人コミュニティや専門家にも相談することをおすすめします。
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