改札がない駅でタッチし忘れたら?知っているようで知らないロンドン地下鉄の仕組み

ロンドンの地下鉄は一般的に「Underground(アンダーグラウンド)」、または車両がトンネルの中を走る様子から「Tube(チューブ)」と呼ばれています。

多くの駅には日本と同じような自動改札がありますが、駅によっては改札ゲートが設置されていなかったり、ゲートが開放されたままになっていたりすることがあります。

しかし、改札ゲートがないからといって、カードをタッチしなくてもよいわけではありません。

今回は、オイスターカードやコンタクトレス対応のデビットカード、クレジットカードをタッチし忘れた場合、どのような扱いになるのかを分かりやすく説明します。

改札がなくても黄色いカードリーダーを探す

ロンドンの地下鉄、DLR、London Overground、Elizabeth lineなどを利用する場合、基本的には次の2回のタッチが必要です。

  • 乗車する駅での「Touch in」
  • 降車する駅での「Touch out」

改札ゲートのない駅では、駅の入口やホームへ向かう通路の近くに、黄色い円形のカードリーダーが単独で設置されています。

そこにオイスターカード、コンタクトレスカード、スマートフォンなどをタッチしてから乗車します。降車時も同様に、駅を出る前に黄色いカードリーダーへタッチします。

TfLの規則でも、正しい運賃を支払うためには、乗車時と降車時の両方で同じカードまたは端末をタッチする必要があるとされています。

乗るときにタッチして、降りるときに忘れた場合

乗車駅では正しくタッチしたものの、降車駅に改札ゲートがなく、そのまま駅を出てしまった場合、TfLのシステムには次のように記録されます。

「乗車したことは分かるが、どこで降りたのか分からない」

この状態は「Incomplete journey」、日本語では「未完了の旅程」のような扱いになります。

降車駅が分からないため、通常の運賃を計算できず、Maximum fareと呼ばれる最大運賃を請求される可能性があります。

また、この最大運賃は通常の一日上限額である「Daily cap」の計算には含まれません。そのため、すでに一日の上限額近くまで交通機関を利用していた場合でも、追加で最大運賃が請求されることがあります。

乗るときにタッチせず、降りるときだけタッチした場合

それでは反対に、乗車駅に改札ゲートがなく、カードリーダーへのタッチを忘れたまま電車に乗り、降車駅で初めてタッチした場合はどうなるのでしょうか。

この場合も、システムには乗車駅の記録がありません。

出口でカードをタッチしたとしても、

「どこから乗ってきたのか分からない」

という状態になるため、正しい運賃を計算できません。こちらも未完了の旅程として扱われ、最大運賃を請求される可能性があります。

特に注意しなければならないのは、タッチせずに乗車している間は、カード上に「この駅から正しく乗車した」という記録がないことです。

車内や駅構内で係員による検札を受けた場合、有効な乗車記録が確認できなければ、単なるタッチ忘れであってもPenalty Fareの対象となる可能性があります。TfLの現行規則では、対象路線のPenalty Fareは100ポンドで、通知から21日以内に支払った場合は50ポンドに減額されます。

つまり、降りるときにタッチすれば問題ないというわけではありません。乗る前のタッチが非常に重要です。

出口でタッチすれば必ず正しく処理されるわけではない

改札ゲートのある駅では、カードをタッチするとゲートが開くため、「正常に支払いが完了した」と思ってしまうことがあります。

しかし、ゲートを通れたことと、正しい運賃が計算されたことは必ずしも同じではありません。

乗車時の記録がない場合、出口でカードが反応したとしても、通常運賃ではなく最大運賃として処理されることがあります。後から利用履歴を確認しなければ、タッチ忘れに気付かないこともあります。

最大運賃は自動的に修正されることもある

TfLは、同じカードの過去の利用状況や普段の移動パターンなどから、実際に利用した可能性が高い乗車駅または降車駅を判断し、未完了の旅程を自動的に修正することがあります。

ただし、必ず自動修正されるわけではありません。

TfLは、返金を申請する前に少なくとも48時間待つよう案内しています。多くのケースでは、その間に自動的な修正や返金が行われるためです。48時間経過しても修正されない場合は、利用日から8週間以内であれば返金を申請できます。

タッチを忘れたときの確認方法

まず、TfLのオンラインアカウントから「Journey and payment history」を確認します。

コンタクトレスカードの場合は、使用したカードをTfLのアカウントに登録することで、利用履歴や請求額を確認できます。過去7日以内の利用であれば、カードを登録せずに確認できるサービスも用意されています。

オイスターカードの場合も、オンラインアカウントにカードを登録しておけば、利用履歴の確認や未完了旅程の返金申請ができます。

履歴に「Incomplete journey」や通常より高い金額が表示されている場合は、実際に利用した乗車駅または降車駅を入力して、返金を申請します。

同じカードでもスマートフォンとカードは別扱い

もう一つ注意したいのが、乗車時と降車時に異なるカードや端末を使ってしまうケースです。

例えば、乗車時にデビットカードそのものをタッチし、降車時に同じカードを登録したApple PayやGoogle Payを使用した場合、TfLのシステム上では別の支払い手段として扱われます。

また、乗車時にスマートフォン、降車時にApple Watchを使用した場合も、別々の端末として処理されます。

この場合、乗車記録だけの旅程と降車記録だけの旅程が別々に作られ、2件の未完了旅程として最大運賃を請求される可能性があります。

乗車時と降車時は、必ず同じカードまたは同じ端末を使用しましょう。

「改札がない=無料」ではない

ロンドンでは、改札ゲートがなく、駅員も見当たらない駅があります。そのままホームへ入れるため、初めて利用する人は「ここではタッチしなくてもよいのでは」と思うかもしれません。

しかし、改札ゲートがなくても、通常は駅の入口やホーム付近に黄色いカードリーダーがあります。

カードリーダーにタッチすると、緑色のランプと確認音が出ます。赤いランプやエラー音が出た場合はタッチが完了していないため、別のカードリーダーを使用するか、駅員に相談する必要があります。

まとめ

ロンドン地下鉄の運賃は、乗車駅と降車駅の記録を組み合わせて自動的に計算されます。

そのため、

  • 乗るときだけタッチして、降りるときに忘れる
  • 乗るときに忘れて、降りるときだけタッチする
  • 乗車時と降車時に違うカードや端末を使う

このいずれの場合も、正しい旅程として認識されず、最大運賃が請求される可能性があります。

特に乗車時のタッチを忘れると、検札時に有効な乗車記録を提示できず、Penalty Fareの対象になる可能性もあります。

改札ゲートのない駅では、周囲をよく確認して黄色いカードリーダーを探しましょう。

ロンドンで電車に乗るときの基本は、シンプルです。

乗る前にタッチ、降りた後にもタッチ、そして必ず同じカードまたは同じ端末を使う。

この3点を覚えておけば、余計な運賃を請求されるトラブルの多くを防ぐことができます。

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