11月3日の米中間選挙で、野党・民主党が連邦議会の上下両院で過半数を奪還した。開票が進む中、ドナルド・トランプ大統領は米FOXニュースに「一因はイランだったと思う」と語った。自ら承認した戦争が、共和党の議席を奪う一因になったと認めた形だ。だが、戦争を始めた判断をどう評価するかと問われると、答えは「同じ状況なら、またやる」だった。 AP通信/FOXニュース/ウォール・ストリート・ジャーナル
トランプ氏が認めたのは、戦争が票に響いたこと
トランプ氏は開票当夜のインタビューで、戦争そのものへの反発よりも、ガソリン価格の上昇が選挙に響いたという見方を示した。翌4日、ホワイトハウスで記者団に、イラン戦争が敗因だったとするヴァンス副大統領の発言について聞かれると、ガソリン価格を押し上げたため「おおむねその通りだ」と答えた。そのうえで、イランの核兵器保有を阻止するために必要な決断だったと主張し、原油価格はもっと上がると見込んだうえで攻撃に踏み切ったとも語った。 FOXニュース/WSJの発言映像・文字起こし
ただ、有権者の反発をガソリン代だけで説明するのは難しい。AP通信の有権者調査では、約6割がイランへの軍事行動を「誤った判断」だったと回答した。一方、議会選挙での投票にイラン戦争が決定的だったと答えたのは約3分の1で、生活費や政府の腐敗を決定的とした人はそれぞれ約半数だった。生活費と戦争への不満は重なりうるが、戦争に反対することと、それを最優先に投票先を決めることには違いがある。 AP通信の有権者調査
ネタニヤフ氏の名前が浮上する理由
ネタニヤフ首相は、米国とイスラエルが2月28日にイランへの攻撃を始める直前、最高指導者ハメネイ師を標的とする共同作戦をトランプ氏に働きかけたと、ロイター通信は関係者の話として報じた。さらに米ニュースサイトのアクシオスによると、ネタニヤフ氏は10月31日の電話会談でも、中間選挙の直後に攻撃を再開するよう求めた。当時、トランプ氏はイランとの交渉に時間を与えたい意向だったという。 ロイター通信/アクシオス
しかし、ネタニヤフ氏の働きかけと、米軍の参加を承認した大統領の判断は別の話だ。トランプ氏自身、開戦直後の3月3日に「ネタニヤフ氏に引き込まれたのか」と問われ、むしろ米国側がイスラエルに決断を促した可能性があると答えている。選挙後に確認できる一連の発言でも、ネタニヤフ氏個人を敗因に挙げた箇所は見当たらない。 ロイターの3月3日の発言映像/ロイター通信の11月4日の報道
対イスラエル関係に踏み込んだのはヴァンス氏
ヴァンス氏は4日のXへの投稿で「負けた理由は戦争だ」と述べた。さらに共和党から離れた有権者を取り戻す条件として、戦争の終結や物価対策とともに「イスラエルとの関係を変える」ことを挙げた。トランプ氏が「おおむねその通り」と答えたとき、記者の質問はイラン戦争が敗因だったかに絞られていた。トランプ氏はその理由としてガソリン高を挙げており、対イスラエル関係を変えるべきだという提案に同意したかどうかは、このやり取りからは分からない。 ウォール・ストリート・ジャーナル/発言映像・文字起こし
公の発言から読み取れるのは、トランプ氏が戦争による選挙での損失を認めながら、開戦の判断は正しかったと主張していることだ。ヴァンス氏の発言で、米国とイスラエルの関係も共和党の敗因をめぐる議論に入った。選挙後の政策を見極めるうえで焦点になるのは、ネタニヤフ氏が追加攻撃を求めるなか、トランプ氏がイランとの交渉にどこまで時間を与えるかだ。










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