「いや、帰ってくるんかい」――ハリー王子とメーガンの“凱旋帰国”が、どうにもダサく見えてしまう理由

ハリー王子とメーガン妃が、子どもたちとともにアメリカからイギリスへ戻ってきた。

2020年に王室の主要メンバーから離脱し、イギリスを飛び出してから約6年。ところが今度は家族そろって英国生活を再開し、ハリー王子は「イギリスに戻れてうれしい」と満面の笑顔で公の場に登場した。

この姿を見たイギリス国民の心中、お察し致します。

おそらく多くの人が、紅茶を飲む手を止めてこう思ったはずだ。

「いや、帰ってくるんかい」

あれだけ啖呵を切って出ていったのに

もちろん、海外へ移住すること自体は何も悪くない。

王室という特殊な環境に耐えられなかった、家族を守りたかった、自分たちの力で新しい人生を築きたかった――それならそれで、一つの決断として理解できる。

問題は、その出ていき方である。

ハリー王子とメーガン妃は、まるで古い王室制度と息苦しいイギリス社会に見切りをつけた革命家のように去っていった。その後もインタビュー、ドキュメンタリー、回顧録と、王室の内情を世界に向けて次々と発信した。

あれだけ大きな音を立ててドアを閉めたのだから、普通の人なら、少なくとも当分はそのドアを開けにくい。

ところがハリー王子は、数年後、その同じドアからニコニコしながら戻ってきた。

これでは映画の主人公というより、会社を辞めるときに「こんな会社、二度と来るか」と叫んだ人が、半年後に「まだ社員割引って使えますか」と聞きに来たようなものである。

“凱旋帰国”と呼ぶには少々無理がある

本人たちは新しい生活の始まりという雰囲気を出しているが、これは本当に「凱旋帰国」なのだろうか。

凱旋とは本来、何かを成し遂げた人が胸を張って帰ってくることである。

しかし今回の場合、イギリス国民から見れば、

「王室を離れて自由になると言っていた二人が、結局また王室のある国に戻ってきた」

という話にしか見えない。

しかも、バッキンガム宮殿は二人の帰国後、ハリー王子とメーガン妃が今後も公務を行う王族ではなく、慈善活動やビジネスを行う私人に近い立場であることを、わざわざ改めて明確にしている。

つまり王室側からは、かなり丁寧な英国式表現で、

「お帰りなさい。ただし、王室に復帰したわけではありません」

と線を引かれたのである。

玄関には入れてもらえたが、王室のスタッフ用パスまでは返してもらえなかった、というところだろう。

イギリス国民は歓迎よりも「もう好きにして」

実際、二人の帰国にイギリス全体が沸き立っているわけではない。

2026年8月末に行われたIpsosの調査では、二人の英国帰国について「支持する」と答えた人は18%、「反対」は29%。そして最も多かった48%は「支持も反対もしない」と答えている。

この48%という数字が、いかにもイギリスらしい。

怒って抗議するほどでもない。歓迎パレードを開くほどでもない。

ただ静かに新聞を畳み、

「ああ、そうですか。帰ってきたんですね」

で終わり。

これこそまさに、「呆れて物も言えない」という国民感情が数字になったものではないだろうか。

帰ってきたことより、帰り方がダサい

人間だから考えが変わることはある。家族との関係を修復したいと思うこともある。子どもたちをイギリスで育てたいと考えることも、決しておかしくない。

だから、帰国そのものを責める必要はない。

ただし、あれだけ王室とイギリスに啖呵を切って出ていった本人が、何事もなかったような顔で、へらへらと笑いながら戻ってくれば、話は別である。

せめて少し照れくさそうに帰ってくればいい。

「いろいろありましたが、やはり故郷は大切でした」と一言言えば、まだ格好がつく。

ところが現在のハリー王子から漂ってくるのは、

「僕は自由も欲しい。でも王子としての注目も欲しい。アメリカでの生活も欲しい。でもイギリスの安心感や伝統も捨てたくない」

という、全部乗せの雰囲気である。

王室の義務はいらない。しかし王子としての存在感は残したい。

英国メディアは嫌い。しかし自分の活動は英国で大きく報道してほしい。

イギリスを出て自由になりたい。しかし、やはりイギリスを自分と子どもたちのホームにしたい。

それを見せられた英国民が、

「ハリー、それはちょっとダサくないか」

と思うのは当然だろう。

お帰りなさい。ただし凱旋ではありません

イギリスは、出ていく人を永久に締め出すような国ではない。

ハリー王子にとってイギリスが故郷であることも、子どもたちに英国とのつながりを持たせたい気持ちも理解できる。帰ってきたいのなら、帰ってくればいい。

しかし、これを美しい凱旋物語に仕立てるのは無理がある。

大見得を切って出ていった人が、数年後に笑顔で戻ってきた。ただそれだけの話だ。

イギリス国民が求めているのは、感動的な帰国ストーリーでも、新しいサセックス公爵夫妻伝説でもない。

せいぜい、

「あれだけ言って出ていったのに、結局戻ってきたんだ」

という、冷静で少々意地悪な確認である。

だから最後に、英国民の心の声を代弁しておこう。

お帰りなさい、ハリー王子。

家族と穏やかに暮らすのは結構です。

でも、あれだけ啖呵を切って出ていったのに、へらへらしながら帰ってきたあなたを見て、みんな思ったよね。

「ハリー、やっぱりダサい」

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