英国の不動産売買価格が下がり始めた。といっても数年前から不動産価格は過熱気味と言われていたので、上がったものは自然の摂理で下がるときがくるのは誰にも止めることはできません。問題は価格が下がる原因とどのくらい下がるかということです。不動産価格の下落には国内の問題と国外の問題と2つあります。今回の下落は、双方が原因です。 不動産価格下落の内的要因 内的要因は、皆さんもご存じの住宅ローンの値上がりでしょう。英国の中央銀行が2021年の12月から公定歩合をなんと13回にわたり引き上げてきました。英国は2008年のリーマンショック以降、金利の引き下げを行い、2009~2020年の3月まで金利1%以下という状況でした。金利の引き下げは、もちろん住宅ローンに反映し、人々の不動産購入意欲を煽る結果となり、多くの人々がマイホームや投資用物件を買い、不動産価格は右肩上がりに上昇しました。英国で物件を購入する際、住宅ローンを固定金利にするか、変動金利にするか選ぶことができます。固定金利の場合、2年、3年、4年、5年など、個人によって固定される期間が違ってきます。通常期間が短いと金利が高くなり、期間が長くなると金利が低くなります。ただ、この固定金利の期間が過ぎると住宅ローンを組みなおす必要があります。もし、5年固定ローンを組んだ人が今年5年の期間が終了する場合、1~2%の金利だったのが、5~6%という金利で住宅ローンを組むという状況になります。この金利の差は月々の返済にどのぐらいしてくるのかといいますと、個人によって異なってきますが、平均約500~600ポンドと言われています。500~600ポンド月の出費が増えるということは、一般家庭にとって大きな痛手となることは言うまでもありません。また、住宅ローンの金利が上がったことにより、住宅ローンの審査が通らないひとがでてきます。住宅ローンの返済額は、個人の収入をもとに計算されますが、返済額が500~600ポンド上がることによって現在の収入では返済が難しいですよとなってしまうのです。住宅ローンの値上がりが購入者の減少させ、需要の減少で、不動産価格が下がり始めたのです。 不動産価格下落の外的要因 外的要因は。ロシア資金の凍結です。英国はロンドンだけではなく、全国的にロシア人の投資先として多額の資金が流れ込んでいました。しかし、ロシアのウクライナ侵攻により、英国政府はロシアから資金の流れを完全にストップしてしまいました。過去20年間は、ロシア、中国資金が英国の不動産価格を下支えしたと言っても過言ではないぐらい、資金は膨大なものです。そのロシア資金の流動がなくなってしまったのです。中国資金は、いまだに流動していますが、自国の経済が悪化し始めている影響もあり、前ほど膨大な資金は動いていないという噂もちらほら耳にするようになりました。 物件価格の下落はいつまで続くのか? 内的要因の住宅ローンに関しては、国内のインフレ率が下がり次第、固定歩合も下がり、住宅ローンの金利もさがるので、不動産市場にもひとが戻ってくるでしょう。英国人の基本的な考え方として、物件は賃貸より購入というのが根付いているので、今後も物件を購入する人の割合は減ることはないと思います。問題は海外の資金が今後どのくらい戻ってくるかということです。恐らくロシアからの資金は戦争が終わってもしばらくの間は戻ってくることはないでしょう。今回のロシア資金の凍結が、多くのロシア投資家に金銭的ダメージを与えたのは間違いありません。また、いつどこでプーチンが戦争を起こすのかわからない状況では、ロシア投資家はしばらく静観といったところではないでしょうか。
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英国人と国際結婚を検討中の方必見!
英国人の借金状況 英国人の平均借金については、複数の調査や報告がありますが、以下に最新の数字を紹介します。2022年の調査によると、英国人の平均借金額は£13,000程度で、そのうち消費者金融やカードローンなどの個人間融資が占める割合が高くなっています。また、この調査では、英国人のうち約60%が少なくとも1つの借金を抱えており、そのうちの約30%は3つ以上の借金を抱えていると報告されています。また、別の報告によると、英国人の平均クレジットカード残高は£572で、これに消費者金融や銀行のローン、車や住宅のローンなどが加わると、平均的な借金額はさらに増加します。 政府の対策も功を奏していないのが現状 借金問題が深刻な社会問題となっており、政府や関連団体は借金返済の支援やアドバイス、借金の返済計画の策定などを行っています。しかし、依然として多くの人々が借金に苦しんでおり、借金問題の解決に向けた取り組みが必要とされています。2021年の調査によると、英国人の平均的な借金額は、車のローン、住宅ローン、クレジットカード、学生ローンなどを含めて、約31,000ポンド(約520万円)で、2022年の段階では約33,000ポンド(約560万円)となっています。ただし、この平均値は、年齢、収入、地域、家族構成など、様々な要因によって異なります。また、COVID-19の影響により、多くの人々が財政的な苦境に立たされています。2021年の調査によると、約60万人以上の英国人が、請求書やローンの返済が遅れているか、債務整理中であることが報告されています。特に若年層や低所得者層、自営業者などが、経済的な影響を強く受けているとされています。英国政府は、COVID-19の影響による財政的な困難に直面している人々を支援するため、様々な措置を講じています。例えば、住宅ローンの支払い猶予、政府保証による中小企業向け融資プログラム、労働者向けの給付金プログラムなどがあります。以上のように、英国人の平均的な借金額は、約31,000ポンドであることがわかります。しかし、COVID-19の影響により、多くの人々が財政的な苦境に立たされており、政府は支援策を講じています。 英国人は何にお金を使っているのか? 英国人の資金の使い方について、彼らの消費トレンドや投資傾向などについて探っていきます。近年、英国の経済状況や生活スタイルの変化があり、それに伴ってお金の使い方も多様化しています。 トラディショナルな消費パターンの変化 過去の英国人の消費パターンは、食料品、住宅、教育などの基本的な生活費に重点を置いていました。しかし、最近では、若者を中心に、エンターテイメント、旅行、ファッションなどの非必需品への支出が増えています。消費者の関心は、体験とライフスタイルに向けられており、これによって産業やサービス業界にも変化がもたらされています。 デジタル決済の普及 現代の英国では、デジタル決済手段の普及が進んでいます。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、スマートフォンアプリなど、さまざまなオプションがあります。これにより、支払いが簡素化され、スピーディーに行われるようになりました。また、オンラインショッピングの増加に伴い、デジタル決済はますます重要な役割を果たしています。 投資意識の高まり 近年、英国人の間で投資意識が高まっています。株式、債券、不動産、仮想通貨などへの投資が増えており、特に若い世代の間で人気があります。金融教育の充実やテクノロジーの進歩により、個人投資家が市場にアクセスしやすくなりました。資産運用やリタイアメントプランニングの重要性が広く認識されるようになりました。 ここからは私見になりますが、英国人も日本人もお金の使い方にはあまり違いはありませんが、お金に対する価値観が大きく違うような印象を受けます。英国人は100万円が手元にあった場合に100万円すべて使って楽しむという感覚のひとが多いように見受けられます。なかには、100万円以上使ってしまい、借金をさらに増やすというひともいます。お金を将来に何かあったときのために残すという日本人のような考えを持っているひとはあまりいません。英国人と国際結婚をする日本人の離婚が多いのもこの辺に問題があるのではないでしょうか。お金に対する考え方はなるべく自分に近いひとかどうかを見極めてから結婚に踏み切ったほうがいいのですが、英国人はあまりお金の話をしたがらないので嫌がられるかもしれません。ただ、お金の話をしないと結婚生活はすぐに破綻してしまいます。国際結婚に憧れる気持ちはわかりますが、先立つものがないと自分が苦労する羽目になるだけなので、勢いで結婚することはおススメしません。
ロンドンの家賃が17%上昇した理由
ロンドンの賃貸物件の家賃ってとにかく高いというのが7年前はじめて不動産会社に勤めたときの感想です。どのぐらい高いかといいますと、2LDKのマンションで、ロンドンでは2ベッドルームフラットって言うんですが、ロンドン中心部で3000ポンドぐらい。日本円で50万円といったとこでしょうか。50万円って言えば東京でけっこういいところ住めますよよって話です。7年前でそんな高かったロンドンの家賃がなんと2022年の9月に17%上昇すると言ったありえないことが起きてしまったのです。要因はいろいろ言われていますが、いちばんの要因は賃貸物件の数が減少して、賃貸物件に住みたいと思うひとが増加したことです。価格が決まるのは、需要と供給のバランスですから、重要が増す、供給が減る、価格は上がるしかないじゃないですか。 なぜ、需要と供給のバランスが崩れてしまったか? 物件の数が減少した理由 まず、賃貸物件の件数が減少した理由についてですが、多くのランドロード(英国では家主をランドロードと呼びます。)が物件を売ってしまったからです。では、なぜ、売ってしまったのかと言いますと、投資としての魅力がなくなってしまったからです。英国の中央銀行であるイングランド銀行が2021年の末から段階的に利上げを行い、ターニングポイントと言われていた0.75%を2022年の5月に超えてきたことで、今後も利上げを続けるという見方が広がり、多くの家主は売りに出すことを決断したと言われています。確かに不動産投資の収益は年率3.2~3.5%ともともとそんなオイシイ投資案件ではなかったところに利上げとなり、経費、税金等を差し引くと手元にそんな残らないじゃ、売ってしまいますよね。さらに、ウクライナ戦争でロシアに経済制裁をし始めたため、近い将来ロシアの資金がロンドンから撤退するのではないかという不安を多くの投資家の頭をよぎったのはあるかと思います。相当な額のロシア資金がロンドンの不動産に投資されており、ある意味ロシア資金がロンドン不動産価格を下支えしているといってもいいぐらいでしょう。 需要が増加した理由 賃貸物件への需要が増加した理由ですが、2020~2021年にコロナパンデミック中にロンドン市内から郊外への移住者が急増しました。さらに、大学がオンライン授業になったため、英国内に住むひとは地方にいながら大学の講義を受けることができようになり、ロンドン市内に住む必要がなくなり、ロンドンから学生がいなくなりました。しかし、2021年7月に政府のコロナ対策が終了し、人々が徐々にロンドン市内に戻ってきました。2021年内は、まだ、人々が疑心暗鬼でしたが、2022年に入り、人々の間にもうコロナによる規制はないという安心感が広がり、ロンドン市内にどんどん人が戻ってきました。ということで賃貸物件に対する需要が増加したのです。 今後賃貸物件の数は増え、前のように簡単に物件が見つかるのか? さて、これから2023年にロンドン市内の賃貸物件の数はどうなっていくのでしょうか。ロンドン市内に賃貸物件が増える要因としては、まず投資案件としての魅力を取り戻せるかがカギとなってきます。ロンドンといえば、観光もさることながら、ビジネスの街として今後はもっと栄えていくことになります。2022年の1月にはグーグルがロンドンの中心部のオフィスビルを730ミリオンポンドで購入しましたし、メタ(Facebook)もキングス・クロスに大きなオフィスがあり約4000人が働いていますし、その他アップル社、アマゾン、ブルームバーグなど大手の会社が軒並みロンドンにオフィスを構えています。大企業が街に来ると雇用が増え、街も洗練されどんどんオシャレになっていき、更に人がどんどん集まるといった感じで景気も良くなっていきます。それに伴い世界中の投資家からもっと注目されるようになり、賃貸物件の件数も増えていくことになるでしょう。ただ、ウクライナとロシアの問題が解決すればの話ですが。
最近「クライシス」という言葉をよく聞くが
「クライシス(Crisis)」日本語に訳すと「危機」という言葉をコロナパンデミックが始まってからほぼ毎日のようにテレビやネットで見かけるようになりました。英国のEU離脱後からと言ったほうが正しいでしょうか。本日は、英国で過去3年以内に起こったクライシスについて紹介します。 長距離大型トラック運転手のクライシス 簡単に説明すると、長距離大型トラック運転手の大半は東ヨーロッパからの出稼ぎで成り立っていたのだが、英国のEU離脱後に、英国の貨幣価値が下がった影響で東ヨーロッパの人たちが英国から自国へ引き揚げてしまいました。もともと、労働環境の悪い長距離大型トラック運転手という職は英国人には人気がなく、運転手の数は十分だったわけではありませんでした。それが英国のEU離脱後から運転手不足問題が深刻化し、さらにコロナパンデミックが追い討ちをかける形となりました。食料のほぼ50%を輸入に頼る英国にとってはかなり深刻な問題で、一時期スーパーの野菜コーナーから野菜が消えるという事態にまで発展しました。 PPE(個人防護用具)クライシス コロナパンデミックは全世界で起きたことではありますが、英国ではコロナパンデミックが起きた後にいろいろな問題が発生しました。そのうちの1つがこのPPE(個人防護用具)が不足するというクライシスでした。日本でも薬局の店頭からマスクが消えて、ネット上で高値取引されるというのがニュースになっていましたが、英国では病院のスタッフが使うPPEが不足事態となり、医師や看護師が使い捨てのマスクや手袋を使いまわすという状態になり、多くの医師や看護師が命を落とす結果となってしまいました。このクライシスの裏側には政治家の利権問題が大きくかかわっていたのは言うまでもありません。ボリス・ジョンソンが人命よりもお金を重んじる人間だというのが垣間見られた瞬間でもあります。 エナジー・コスト・クライシス ウクライナ戦争が起きてからのガソリン、ガス、電気代の急激な値上がりが、国民の家計をひっ迫しているという話です。英国はロシアのガス供給にそんなに頼っていないので影響ないと思われがちですが、ロシアからたくさんのガス供給を受けていた国々が英国のガスの供給元(ノルウェー、カタール、USなど)からガスを購入することになり供給が一気に加速したのです。ロシアからのガスの供給がなくなったから、ガスは使いませんとはなりません。そのため、ガスがある国に注文が殺到するわけで、ガス所有国がそれを断る理由はありません。需要が増え、価格が上がるのは自然の摂理といえるでしょう。ただ、英国では石油会社、ガス会社が過去最高益をただき出してバッシングを浴びていますが、石油会社、ガス会社が利益を上げているのは、各会社の投資部門が大きな利益を上げているというだけで、一般市民から高い公共料金をせしめて利益を上げているわけではありません。バッシングされる相手はいまだに30-40%の税金をガソリンにかけている英国政府なのではないでしょうか。 賃貸物件クライシス 賃貸物件クライシスとは、賃貸物件の件数が昨年にくらべ3分の1に減少したことで、家賃が急激に上昇してしまったことです。ロンドン市内の平均賃貸価格は17%も上昇しました。賃貸物件もガソリン、ガスと同じで原理で供給が急激に減り、需要は去年と変わらないので、家賃が上昇してしまうのは当たり前の話です。ただ、問題はなぜ賃貸物件が減少したのかということです。ある調査によりますと、今年の3月~6月にかけて約94%の賃貸物件のオーナー(英国ではランドロードと呼ばれています。)が物件の貸し出しを辞めて売りに出したという報告がされています。理由は、税制の改正や中央銀行の金利引き上げなどで不動産投資自体にうまみがなくなってしまったことでしょう。 住宅ローン・クライシス 賃貸物件クライシスとつながってきますが、英国中央銀行が利上げに踏み切ったことで、住宅ローンの金利も今後上がってきます。通常は2年、5年の固定金利で住宅ローンを組むのが一般的で、今までは安い金利の人だと2%、通常で3.5%でした。それが今後ローンの金利が6%ぐらいに上がることになりますので、月々の返済額が約4%上がります。人によっては400~500ポンドの出費となり、住宅ローンを払えずに銀行に家をとられてしまう人が出てくることも考えられます。さらに、これから物件を買おうと考えていたひとが金利の引き上げに伴い、既に通っていた住宅ローンの融資実行が取り消しになる事態も発生しています。9月下旬から10月上旬にかけ、約2000件の住宅ローンの融資実行が取り消しになりました。前の首相リズ・トラスのせいだというマスコミもいますが、本当の理由は金利の引き上げです。 フード・コスト・クライシス 単純に食料品の値段がとにかく上がって一般家庭の家計をひっ迫している状態です。英国はとにかく昔から物価が高いということを言われていましたが、ここ10年ぐらいはそんなに物価が上がっているという実感はありませんでした。しかし、今年に入りウクライナ戦争が始まってからは、食料品の値上げに歯止めがかかりません。先月の食料品だけに関しての値上げ率は17%と、異常な値上がり率になっています。英国には、フードバンクという生活保護団体が低所得者向けにスーパーの食料品を無料で配布するサービスが普及しており、現在そのフードバンクを利用している人の数は英国内で217万いると言われています。 今後どうなる? 英国に現在住まわれている方、これから英国に来る予定の方がいちばん知りたいのは、今後英国はどうなっていくのか、ではないでしょうか。正直わかりませんが、このまま政府が何もしなければ、状況がよくなることはないと思います。英国はアメリカと同じで、金融の引き締めという道を選んでしまったため、もとの金融緩和に戻ることは、まず、ありえないでしょう。金融緩和がないということは、減税も恐らく行われないでしょう。ただ、底辺の人たちを見捨てないというのが英国のいいところではあるので、金融支援的なことは要所要所で行われることになるでしょう。英国にいれば、飢え死にすることはないということです。
イングランド銀行が公定歩合を2.25%に引き上げたことによって今後起こりえること
公定歩合の上昇はインフレを鈍化させる? 公定歩合の引き上げは、単純にお金を借りたときの金利が上がることに直結します。英国人はとにかく借金が大好きな人種で、何か買い物をするとき手持ちのお金には手をつけずクレジットカードなどで支払いします。手元のポートフォリオが目減りすることを嫌う、まさに企業経営者の考えが英国では一般家庭にも浸透しているのです。今までは低金利で借金できたものが、今後はそれなりの金利を支払わなければいけなくなるのです。中央銀行のイングランド銀行は、消費者には直接お金を貸すことはありません。イングランド銀行がお金を貸すのは各銀行、そして、各銀行を通して消費者にお金が貸し出される仕組みは日本も同じですよね。ということは、イングランド銀行が利上げをしたということは、各銀行の金利はそれよりも高くなければいけません。現時点で公定歩合は2.25%なので各銀行は消費者にお金を貸し出すときおそらく最低でも倍の5%の金利をつけて貸し出すことになります。では、消費者の心理として今までは気軽に借金して買い物を楽しんでいたのに、金利が上がることで物を買うという欲求がかなりの割合で落ちます。つまり、人が物を買わなくなります。皆さんもご存じのように物価というのは需要と供給で決まってきますので需要(買いたいという欲求)が減少するイコール、物の値段が下がるということにつながり、インフレが鈍化するのではないかというのが、英国政府とイングランド銀行の見通しです。 インフレからデフレにはならないのか? さて、前項で金利上昇が物価上昇を鈍化させるという話をしたのですが、インフレからデフレ(物価の下落)になるのかという疑問が出てきますが、残念ながらデフレになるのはまだまだ先の話です。というのも、今回の急激なインフレのきっかけは皆さんもご存じ「ウクライナ戦争」です。ガス、原油の高騰が、各企業のコスト高につながり、物価を押し上げてしまったのです。ということは、この戦争が終わらない限り物価の下落は起こりにくいということになります。英国も日本と同じで食料品の約46%を輸入に頼っています。日照時間が短い国なのでしょうがないと言えばしょうがないのですが、戦争などでその道が絶たれると連動して弱くなってしまいます。ということで、公定歩合が上がっただけではデフレになる可能性はかなり低いのではないでしょうか。 住宅ローンの金利があがることで、住宅の販売価格は急落するのか? 各銀行は住宅ローンの金利を2年間の固定金利6%に、5年間の固定金利を5.8%にすると発表しましたが、住宅の販売価格は下落するのでしょうか。これは私見ですが、住宅の価格は下がらないと思います。なぜかと言いますと、前項でも言いましたように、価格というのは需要と供給のバランスで決まってきます。住宅ローンの金利が高くなったから今は家を買わないという選択をする人は出てくるかと思いますが、ローンの金利が高くなったから家を買わないで済む人はいいですが、家を買わなければいけない人が英国にはたくさん存在します。そういった人たちは住宅ローンの金利が高くなろうが、欲しい家が見つかれば買うのです。住宅ローン金利の引き上げは、今の右肩上がりの相場を一瞬崩すことになることは考えられます。でも、いずれ多くの人は住宅ローンの金利が今後下がることはないことに気づくでしょう。住宅ローンの金利は2000年~2008年は4-6%で推移していました、2008年にリーマンショックがあり、それを皮切りにどんどん下がり、コロナパンデミックがさらに金利の下げに拍車をかけ、2021年の後半には、1.2%まで下がりました。(参考文献)英国政府というか先進諸国の多くは景気が悪くなったら金利を下げるということを繰り返し行ってきたが、景気回復につながりませんでした。つまり、今後景気が悪くなっても金利を下げることはもうないのではないかとみています。遅かれ早かれ人々が5%、6%の金利に慣れてしまいます。そうなってから本当の好景気が訪れるのではないかと私は予測しています。
英国で何が起きている?
住宅ローンの却下、金利の見直し 英国でも住宅ローンを組んで家を購入するのがスタンダードになっておりますが、その住宅ローンが組めない状況になっています。理由は、公定歩合の引き上げ、英国ポンドの下落です。どういうことかと言いますと、数週間前に銀行から住宅ローンは承認がおりますと言われて、いざ物件を購入となった段階で住宅ローンを申請していた銀行から「待った」がかかってしまったのです。基本的に、英国の中央銀行が将来的に金利を6.85%まで引き上げると発表したものだから、住宅ローンを販売している各銀行はあわてふためいているといった状況です。晴れているときは傘を貸してくれて、雨が降ったときには傘を貸してくれない、日本の銀行も英国の銀行も同じです。 公共料金の値上げ 英国では、10月1日より電気、ガスの料金が上がります。実際のところロシアによるウクライナへの軍事侵攻の翌月あたりから電気、ガス料金はすでに上がっています。これが10月1日からさらに上がるというのですから、国民はこの冬凍えながらの生活が強いられてしまうのでしょうか。でもご安心ください、公共料金の値上げが影響するのは全国民ではありません。普通に電気、ガスを利用しているひと、年間1,500ポンドぐらいおさまっている人は去年と同じように利用しても支払い金額がほぼ変わりません。ただ、ヘビーユーザーに関しては年間の料金が2,500ポンドまで上がる可能性はあります。ちなみに電気、ガス料金の上限はこれからの2年間は政府のサポートによって2,500ポンドが上限と設定されましたので、それを超えることはないということです。ただ、今すでに年間2,500ポンド以上払っているヘビーユーザーには適応されませんのでご注意ください。目安ですが、電気、ガス両方の使用量が年間12,000キロワット(核家族の平均使用量)が境目で、これより少なければさほど影響はないと思います。さらに、10月からの6カ月間、政府から合計400ポンドの援助金が受けられます。公共料金に関してはそんなに心配する必要はなさそうですね。 押し寄せるインフレの波 現在、英国内では全国民の約15%にあたるひとがフードバンクを利用しています。 フードバンクとは日本でも最近は普及してきているようですが、ここ英国では低所得者など国からの生活保護を受けているひとは、定期的に食料品が無償で提供される制度のことです。 では食料品はいったいどのぐらい値上がりしたのでしょうか。去年2021年の9月の値段に比べ、今年2022年の9月は10.6%も上昇しました。そのため、なんと国民の50%にあたる人々が今まで利用していたスーパー(Waitrose、Mark and Spencer、Sainsbury’s)はやめディスカウントスーパー(ALDI、LIDL、ASDAなど)を利用し始めています。専門家によると、食料品の値上がりは今年いっぱいは続き、2023年の年初から少しずつ下がるのではと予想されていますが、実際のところは神のみぞ知る。 食料品は上がりましたが、酒類はそんなに上がっていないのは私の思い込みなのでしょうか。英国にお住いの皆様からのコメントお待ちしております。
英国ついにコロナ規制をすべて撤廃
今や、テレビをつけても、ネットでニュースをみても、ツイッター、インスタなどのSNSでも、ロシアとウクライナの話題で持ちきりだ。私も、ロンドンにウクライナ人の友達がいるので、とても他人事とは思えない。英国のロシアやウクライナとの関係は、日本とのよりも深いのでニュースでの取り上げかたも違う。メディアはここぞとばかりに、もっとウクライナに対して支援をしたり、ウクライナからの避難民を受けれるべきだと政府や政治家をたたいている。戦争が始まったころ英国政府はウクライナからの避難民を200人ぐらいは受け入れてもいいようなことを言っていたが、メディアからたたかれてそのあと750人まで枠を増やし、最近やっと英国に家族がいるひとにかぎり4000人という枠に広がった。それには政治家がロシアの富豪からお金をたくさんもらっているという背景があるからだ。でも今日はそんな話ではなく、戦争の影にかくれ鳴りを潜めてしまったコロナウィルスの話です。 今、英国のコロナウィルス事情はどうなっている? 英国政府は、2月下旬にコロナウィルスに関するほぼすての規制を撤廃した。ほぼすべてというのは、公共の場(屋内)でのマスク着用、公共交通機関(駅を含む)を利用する際のマスク着用、コロナウィルス感染者との濃厚接触者への自主隔離などの規制が撤廃された。現時点で、残っている規制とはなにかといいますと、コロナウィルスの症状がでているひとが、コロナウィルスの検査(簡易検査とPCR検査)で陽性と判断されたひとは10日間の自主隔離をしなければいけないというものと、外国から英国にくるひとがその国を出発する前と英国に到着したあとにPCRテストを受けないといけないというものの2つだ。上の2つの規制の1つである外国を出発する前の検査と到着後の検査に関しての規制が、3月18日(金)の午後4時で撤廃される。すべての規制の撤廃ではなく、まだ、コロナウィルスに感染した人は10日間の自主隔離をしなくちゃいけないのではないのか?その通りなのですが、実際にコロナウィルスに感染しても検査をする必要がないので、ただの風邪とかインフルエンザのような扱いになるのです。風邪やインフルエンザに感染して具合が悪くなったら仕事や学校を休みますよね。でも、具合が悪くなっても病院に行くひとと行かないひと、仕事や学校を休むひとと休まないひとがいる。コロナウィルスが発生する前ってそんな感じでしたよね。英国はそうすることにしましょうってことになったのです。私も最近はスーパーや電車でマスクをすることはなくなった。昔から日本にいたときも花粉症の時期でさえマスクをしていなかったので、正直マスクをしなくてよくなってほっとしている。 英国のコロナウィルス感染者数は減っているのか? 3月14日時点でのコロナウィルスの感染者数ですが、過去7日間の合計が44万4千201人なので1日あたりの平均が6万3千人ぐらいで、死者に関しては過去7日間の合計が726人なので1日あたり100人以上は死んでいることになる。それでも一時期に比べればかなり減ったほうである。ちなみに英国で確認されたコロナウィルス感染による死者数の合計は現時点で18万4千458人、20万人に迫る勢いだ。日本でも経済か人命かなんて議論を今でもしているのを聞くが、英国はとうの昔に経済を優先する道を選んだある意味「本当の先進国」と言えるのではないだろうか。
投資先としてイギリスはいかがでしょうか
イギリスの不動産は安全 日本国内だけに投資をしていて不安になることはありませんか?もし、日本という国が沈没してしまったら、あなたは資産をすべて失うことになります。日本が沈没するなんてそんなバカなことが起きるわけがないと思っていませんか?日本が経済的な意味で沈没することはないでしょう。しかし、日本が物理的に沈没する可能性はいくつか考えられます。 地震などの天災によって沈没する可能性 年間1000~2000回起きると言われる地震。1923年に発生した関東大震災では10万人以上のひとが亡くなっていて、2011年人起きた東日本大震災では2万2000人以上のひとが亡くなっています。最近では、新型コロナウィルスが原因でなくなったひとが現時点で1万4000人以上となっています。単純に日本にひとがいなくなった時点で日本沈没と言えるでしょう。 北朝鮮からの核攻撃 日本はアメリカに守られているから大丈夫だろうと思っていませんか?キム・ジョンウンのようないかれた独裁者が仕切っている国に私たちの常識は一切通用しません。北朝鮮はアメリカを脅威ともなんとも思っていませんので、日本をつぶしたいと思った瞬間にいつでも核攻撃をする準備はあります。核攻撃された時点で日本は沈没することになります。 資産は分散するというのは基本中の基本 なぜ、イギリスの不動産に投資するべきなのか?下のグラフですがロンドンの過去20 年の不動産価格の動きになります。 値上がりはしていますが、直近3年は横ばい状態です。上がり続けているなかを購入するのは勇気がいりますが、横ばいの現状を買うのは比較的安全と言えるのではないでしょうか。 不動産の相場観について ロンドンの物件の価格というのは平均どのぐらいなのでしょうか。日本人に馴染みの深いマンションの価格で見てみましょう。ロンドンといってもエリアによって価格帯が大きく異なってきます。今回は価格的にお手ごろ感のあるロンドン北部、地下鉄のエリアでいうゾーン4を見てみます。 1LDKのマンションですと安いもので18万ポンド、日本円で約2700万円。家賃収入は年間で12000ポンド、日本円で約182万円。 2LDKですと安いもので38万ポンド、日本円で約5700万円。家賃収入は年間で18000ポンド、日本円で約273万円。 3LDKですと安いもので47万ポンド、日本円で約7100万円。家賃収入は年間で21600ポンド、日本円で約328万円。 どんな物件がお手ごろで利益率がいいのか? 上の価格を比較していただくと一目瞭然です。投資物件として魅力的なのは1LDKのマンションに間違いありません。 1LDKのマンションとはどんな感じなのか見てみましょう。比較的大きめのリビング(10畳ぐらい)、寝室(8畳ぐらい)、キッチン(4畳半)、浴室(ユニットバス)という構成になっています。内装は下の写真をご覧ください。 大儲けをしようという考えのかたはイギリスの不動産投資はおすすめしませんが、減価償却だったり、貯金するよりもマシだとお考えのかたでしたらぴったりではないでしょうか。とにかく安全な投資先です。
コロナウィルスがイギリスに与えたもの
政府の補償があったから被害が最小限に抑えられた イギリスといえば政府の休業補償を先進国のなかでもいち早く労働者と企業を守るべく休業補償制度(ファーロウ・スキーム)を敷きました。休業補償制度がわからないひとのために簡単に説明します。イギリス政府はコロナ感染が拡大しはじめた昨年の3月にロックダウンを発令しました。ロックダウンによって生活必需品を販売する以外の小売店はすべて休業、国民は在宅勤務を強いられることとなりました。しかし、ビジネスのなかには在宅勤務では成立しないものがたくさんありました。サービス業のほとんどがそれにあたります。経営者はビジネスができなくなり収入がなくなる時点で経営危機、会社が倒産すればもちろんそこで働いている従業員は職を失ってしまいます。そこで政府はロックダウンよりビジネスができなくなる企業の従業員に対して給料の8割を政府が出しますという話になったのです。これが休業補償制度(ファーロウ・スキーム)です。昨年3月にはじまった休業補償制度は現在も続いています。イギリスというのは素晴らしい国ですよね。 政府が国民の給与を負担しているのだからなぜ職を失うひとが増えているのか? 政府が補償するのは給与の8割だけでそれ以外の社会保険料や国民年金などは会社の負担となります。ビジネスができなくなって収入が0になっても会社の負担はなくなることはないのです。2,3カ月の期間だけのことならまだいいですが、イギリスはロックダウンの期間が半年を超えているだけに雇用者の数が多ければ多いほど会社の負担は積み重なっていきます。そこで経営者は会社を守るために人員削減という苦渋の決断をする結果となってしまったのです。 業界別でみる職を失った人の数とその他の傾向 小売り 4万3029人 航空関連 3万7104人 サービス業 3万4542人 一般 2万7921人 エネルギー関連 9600人 製造業 9072人 一度目のロックダウンがあった昨年の3月~9月の間にかけて人員削減を発表している企業が多く、特に4月28日の1日で1万人以上が職を失った 失業者が多い企業ですが、1位は航空会社のブリティッシュ・エアウェイズの1万2千人、2位は高級スーパーのマーク・アンド・スペンサーの7千人、3位は航空機を製造するロールス・ロイスで6千人 失業者が多い年代ですが、いちばん多いのが16~24歳、次いで25~34歳、50歳以上、35~49歳 失業者が多いエリアですが、1位はロンドン、2位はイギリス北西部、3位はイギリス西部 GDP(国内総生産)は4月にマイナス20%を記録し、第2四半期全体ではマイナス18.8% 国民1人あたりの負債は1960年以降最高額
コロナパンデミック中にリストラ、破産申請した会社
ロックダウンによる外出自粛生活がついに170日間を超えました。半年間は自粛生活をしていることになります。イギリスのロックダウンは、感染の可能性のあるビジネスはすべて一時的に閉鎖となっています。日本のように時短営業などの対策はありません。多くの会社はリストラをしてコスト削減しましたが、それでも経営が成り立たず破産申請にいたった会社も数多く存在します。そこで今日はどのような会社が破産に追い込まれたのか見てみましょう。 Bonmarché 全国に225店舗をもつ女性用衣料品を販売する会社。2020年12月2日に破産申請1500人の雇用者が失業の危機 Arcadia Group Topshop、Dorothy Perkins、Burton、Miss Selfridgeといったイギリス人なら誰でも一度は足を運んだことがある衣料品ブランドを国内外に展開する会社、店舗数は国内444、海外222020年11月30日に破産申請1万3千人の雇用者に影響 Peacocks and Jaeger 全国に500店舗を持つ衣料品販売会社2020年11月19日に破産申請4700人の雇用者が失業の危機 M&Co リーズナブルな価格で衣料品を販売する会社47店舗を閉鎖、381人の雇用者をリストラ DW Sports スポーツジムの運営とスポーツ用品店を販売する会社2020年8月に破産申請スポーツジムが73店舗、スポーツ用品店75店舗 Oliver Sweeney Trading ロンドンの中心部に7店舗のかかえる靴屋。2020年7月中旬に破産申請 Peter Jones 50年以上続くギフト品、家具、雑貨などを販売する会社2020年7月中旬に破産申請8店舗、70人の雇用者に影響 Harveys Furniture 業界2位の家具販売店を全国展開する会社2020年6月初旬に破産申請20店舗の閉店、240人をリストラ Debenhams Debenhamsは全国展開する大手デパート。2020年4月に破産申請後、大手スポーツ用品店のJD Sportsが再建計画に名乗りをあげたが、2度目のロックダウンが影響しJD Sportsは辞退。124店舗の閉鎖を予定しており、1万2千人の雇用者に影響。 Cath Kidston 日本でもおなじみCath Kidston2020年11月に破産申請店舗の閉鎖により900人の雇用者に影響。 上にあげました会社はあくまで一部です。政府が給付している休業手当てが3月末で終了する予定です。もし、給付期間の延長がなかった場合に4月以降さらに多くの企業が倒産に追い込まれ、多くのひとが職を失うこととなるでしょう。 ワクチンの接種が急速にすすめられて、感染者も減少傾向にはあるようです。ただ、新型コロナウィルスが完全に終息し、普通の生活に戻れるのは半年から1年かかるといわれています。コロナで淘汰されたビジネスが普通の生活に戻り次第市場にまた戻ってくるのか、それとも再度コロナパンデミックを想定したビジネス形態に変わっていくのか。今年2021年が多くのビジネスにおいて分岐点になることは間違いありません。